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リアクション
■マジック魔法少女と悪の魔女■
「きゃー! 助けてー!!」
舞台の袖から走って現れたのはミリィ・ラインド(みりぃ・らいんど)だ。
舞台の下まで下り、子供達の側へと寄る。
「待てー!! 私から逃げられると思ったかー!」
するとホイップがミリィを追って登場した。
今度は黒いローブを身に纏った格好をしている。
ミリィは子供達の側でうずくまり、子供共々簡単に捕まってしまった。
「皆! こんな時は一緒にマジカル☆セシリーを呼びましょう! せーの」
ホイップに捕まえられた状態でミリィが声を出す。
「マジカル☆セシリー!」
すぐに子供達は応えた。
「そこまでじゃ! その子を離せい!」
ホイップ達が出てきた方向とは逆の袖からセシリア・ファフレータ(せしりあ・ふぁふれーた)が出てきた。
「私に敵うと思っているの?」
子供達を盾にホイップが叫ぶ。
「助けてーー!」
子供達は劇にすんなり入り込めたらしく、声を出し、助けを求める。
「今、助けるのじゃー!」
マジカル☆セシリーが向かってくると、ホイップは子供達から離れた。
舞台へと上がり、対峙する。
「えーい!」
ホイップが自前の杖を振るとマジカル☆セシリーは尻もちをつき、やられてしまう。
「もう降参?」
にやりと悪役の笑顔を湛える。
「みんなの力を貸して! もう一度呼びかけましょう!」
そんな状態を見て、ミリィが声を掛けた。
「マジカル☆セシリー!」
子供達は今度も素早く応える。
「うむ、頑張るのじゃ! 来て! マジカルステッキ!」
セシリアは立ち上がり、手を上にかざすと舞台の上に設置されたリールから見えない糸インビジブルスレッドによって吊り下げられたマジカルステッキが登場した。
しかし、頭上に到着するも、言う事を聞かず、なかなかマジカル☆セシリーの手にはこない。
マジカル☆セシリーはうまくインビジブルスレッドを引っ張り、ふよふよ浮かせているのだ。
「もう、また不機嫌なのかえ……。今度お菓子やるからちゃんとやってじゃ!」
そう言うとすんなりマジカル☆セシリーの手へとステッキが落ちてくる。
「くっ!」
ホイップが苦い顔を作る。
マジカル☆セシリーは頭に被っていた三角帽子を取り、お辞儀をした。
「さあ、この私の華麗な魔法を見せてあげるのじゃ! 1、2、3……はい!」
帽子をステッキで3回叩くと、帽子から紙吹雪と共に銀鳩が飛びだした。
子供達から歓声が上がる。
更に、鳩が飛んで行った軌道に氷術を使った細かい氷の粒で道を作り、演出もする。
氷の粒は作られて直ぐに煌めいて消えていき、儚く美しい光景を生み出していた。
人体切断、消失マジックと次々とマジックを披露していく。
最後のマジックが終わり、もう一度帽子を取り、お辞儀をするとホイップがマジカル☆セシリーへと近づいた。
「素晴らしい魔法だったよ! 魔法がそんなにも素晴らしいものだったなんて忘れてたよ」
と握手を求めてきた。
勿論、マジカル☆セシリーはその手を取り、強く握った。
「さあ、皆で歌いましょう!」
観客席からミリィが言うとルディがセットした童謡『魔法使いって良いな』の曲が流れ皆で合唱し終幕となった。
■派遣戦士ディスパーチ■
幕が上がるとそこは田園風景が背後に描かれた村だった。
軽やかな効果音が鳴り、赤い戦隊もの衣装のファタ・オルガナ(ふぁた・おるがな)と緑の戦隊もの衣装の桐生 円(きりゅう・まどか)が現れた。
「……あれ? 他のメンバーは?」
他にも居るはずのメンバーを探し円はキョロキョロするが、一向に現れる気配がない。
「おかしいな、今日ここに来るのは伝えてあるんだが……」
ファタも辺りを見回す。
「ふん、この程度しかないのか、しかしすべて貰って行くがな。このダークホイップ様が!」
するとホイップが露出の激しい青光りするエナメル衣装を身に纏い、村人役のパラ実生達を足蹴にし、更には札束でほっぺをビンタする姿を発見する。
(……なんていう……ううん、これはお芝居! それも小道具! 札束に感情移入しちゃ駄目!)
ホイップはなんとか自分に言い聞かせ、ショーへと戻った。
「その種が無いと来年は作物も植えれません。どうかそれだけは」
「ふははは、我が覇道に情など不要! 愛など不要なのだ! 世の中金よ、ふははは」
「そこまでだ! お金は無くとも正義を愛するディスレッド!」
「自然と残業を愛するディスグ――ぐはぁ!」
ディスグリーンの口上途中でホイップが回し蹴りを食らわせ、見事にクリーンヒットしてしまった。
「何をする!」
蹲るディスグリーンの側へと駆けより、ディスレッドが反論をする。
「馬鹿め! 名乗り終わるまで待たぬわ、そんなもの悪役ではないわ」
「そ、そんな悪役がいたなんて!」
ディスグリーンが驚愕の表情を作った。
「おい、お前達も攻撃をしてやれ」
「お、お前達は!?」
ホイップの側へと寄って来たのは派遣戦士と色違いの衣装、黒いオリヴィア・レベンクロン(おりう゛ぃあ・れべんくろん)と黄色いミネルバ・ヴァーリイ(みねるば・う゛ぁーりい)、白いサン・ジェルマン(さん・じぇるまん)だ。
「何故そんなところに! こっちに来て一緒に『ホイップ金融』を倒そう!」
レッドが声を荒げるが、3人はにやにやと笑っているだけだ。
「やってられないんだわぁ〜、サービス残業を一か月50時間よ? 裏切りたくもなるわぁ〜。お父さんとお母さんに聞いてみたらわかるわぁ〜」
ディスブラックが子供達へと向けて声を出す。
「土曜日も無く仕事仕事なんてやだよー! 残業をできるだけしないようにって言っても終わる量じゃないよ……これじゃぁ子供たちと遊べないの!!」
ディスイエローが言うと、子供達は熱心に耳を傾け出した。
「だから、たくさんお金と休日をもらえるこっちが正義なのよ!」
ブラックとイエロー、そしてホワイトの声がはもる。
「そ、そんな……言葉の攻撃をしかけてくるだなんて」
「いや、そこじゃないから!」
レッドがグリーンにツッコミを入れる。
いきなりレッドの携帯が鳴りだす。
正義の基地からの着信だ。
「はい……はい……は……!? はぁーーー!?」
「何事!?」
「基地が……ホイップ金融に買収されたって……」
「はいーーーーー!?」
レッドからの驚きの新事実を聞き、呆然としてしまった。
「だから、お金って正義ですよネ?」
ホワイトが黒い笑顔でレッドとグリーンを見つめた。
「はっ!」
正気に戻ったグリーンはマイクを持ち、ぽかんと口を開けている子供達の方へと向いた。
「もっと熱くなって、応援しなよ! ほら、せーの!」
「…………」
正義の基地が買収といいう事実は子供達にはついていけず、声が出ない。
「そんなーーー!」
レッドとグリーンの悲痛な声が響く。
「とりあえず、週休2日の基本給50万でどうだ?」
「……へっ?」
ホイップのいきなりの提案に子供達と同じ表情をする2人。
「契約書に名前を書くだけで、その素晴らしい正義が君たちのものに!」
ふらふらと吸い寄せられるようにイエローとブラックが持っている書類にサインを書いた。
「これで君達も立派な『ホイップ金融』の社員だ!」
呆然としながらも、にやけた顔が止まらない。
「ん〜? このケースわぁ〜……お金!?」
「あ、それは――」
制止も聞かずにホイップが持ってきていたケースを開けてしまったブラック。
「あらぁ〜?」
寝返った正義の味方も全てが閃光に包まれ、大爆発が起きたのでした。
「お金って怖いよネ」
1人逃げていたホワイトが最後に子供達に向けてウィンクをしたのだった。
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