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リアクション
第3章
昼の部が全て終わり、ここは女性控室。
コンコンと軽く扉を叩いてから入ってきたのは久世 沙幸(くぜ・さゆき)だ。
「ホイップー! お疲れ様ーー! 差し入れ持って来たよ」
その手にはコンビニの袋が握られていて、中には色んなものが入っていそうだ。
「……はっ! 沙幸さん有難う!」
「大丈夫? やっぱりこんなに沢山の舞台をこなすなんて無謀なんじゃ……」
「ううん。大丈夫! ちょっとぼーっとしちゃっただけだから」
「もう!」
無理をしているホイップに頬を膨らませ、背後へと回る。
手を肩に乗せ揉みだした。
「はぅ〜気持ち〜……って、悪いよ! 大丈夫だよ!」
「良いの! 私がやりたいんだから、ホイップは大人しくする!」
「う、うん……えへへ、有難う」
手つきは慣れたもので、なかなか上手い。
大きな胸もホイップの背を押しており、柔らかにマッサージされているようだ。
ホイップはそんな事気が付いていないが。
「……上手いものだな」
横から月夜がやってきて、マッサージを褒める。
「でしょ〜? あ、差し入れ良かったら食べてね!」
「有り難い」
月夜は袋から蜂蜜飴を取り出し、袋を開けると口の中へと放り込んだ。
「あら……私も良いかしら? こちらの飲み物もどうぞ」
音楽を担当していたルディが袋いっぱいにペットボトルのジュースやお茶を持って現れた。
「勿論!」
沙幸がホイップの首をマッサージしながら元気よく答えた。
「梅干しもあるのね。ホイップさん、食べると疲労回復が見込まれるんじゃないかしら?」
「そっか、食べておくね! うはぁ〜そこ気持ち良い〜」
などとやりながらホイップはルディが取りだした梅干しを口の中へと入れた。
「すっぱいけど、美味しいね!」
「ふふ……そうですわね。では、私はもう行きますわね」
「えっ? もう?」
「ええ、まだやる事がありますの」
「私も何か――」
言いかけたホイップの口をルディが人差し指を唇にあて、留める。
「ホイップさんはこれからまだ舞台に立つのでしょう? なら、今は休む事が仕事ですわ」
「う〜、でも――」
「ねっ?」
結局、ウィンクを1つして、ホイップを黙らせてしまった。
そのまま控室を後にする。
「ルディさんって、近寄りがたいイメージがあったけど、なんか格好良い人だね!」
「うん!」
最初から隣に居たメリエルの言葉にホイップが嬉しそうに返事をした。
「くしゅんっ! 誰か噂しているかしら? うふふ……鬼畜な方でしたら狙い目ですわね」
ルディは廊下でそう言うと、まだまだこれから奇想天外な舞台があるかもしれないから覚悟をしておくようにとデパートの人間に言い含めに行ったのだった。
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