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リアクション
■パラミアントVS悪の科学者軍団■
「こーんにーちはーー!」
幕の前へと出てきた愛沢 ミサ(あいざわ・みさ)が子供達へ向かって大きな声で呼びかける。
「こんにちはーー!」
子供達はそれを素直に返した。
「これから始まるのはパラミアントVS悪の科学者軍団だよー! ピンチの時は、大きな声でパラミアントを呼んでみよう。一度練習してみよっか、せーの!」
「パラミアントー!」
子供達に合わせてミサも大声を出す。
「うん! 準備は万全だね! それでは始まり始まり〜」
「汝ら愚民にもったいなくも我等が首領サチリーナ様のお役に立つ栄誉を授けてやろう。大人しくついてまいれ!」
幕が上がり直ぐ、ホイップとジーナ・ユキノシタ(じーな・ゆきのした)がガイアス・ミスファーン(がいあす・みすふぁーん)の引きつれたパラ実生達に捕まってしまった。
「は、放して下さいー! 私はただの一般人ですー!」
ジーナがじたばたと抵抗するが、手が放される事はない。
「……」
ホイップは割と落ち着いて捕まっているようだが、ガイアス達は気にしている様子は微塵もなかった。
「大変! さっそくヒーローを呼ぼう! せーの!」
「パラミアントー!」
声が響くと直ぐに五条 武(ごじょう・たける)と緋桜 遙遠(ひざくら・ようえん)が登場した。
「こちらから助けを呼ぶ声が聞こえたな。……チッ、こいつらか」
「民間人に手を出すなど、許せませんね!」
武は舌打ちをしてからガイアスへと向き合う。
「ここは我に任せるがよい」
ガイアスは数人のパラ実生達にホイップとジーナを預け、基地へと向かわせると自分は残ったパラ実生達と戦闘態勢に入った。
武が周りのパラ実生を一手に引き受け、遙遠がガイアスを引き受けた。
「くらえーい!」
ガイアスは掌から氷術を使った杖を作りだし、ぶん殴って攻撃をしてくる。
それには火術を素早く発動させ、氷の杖を融かし対応。
「やるではないか!」
「お前なんかにやられている暇はないんですよ」
そう言うとガイアスへと一気に間合いを詰め、右の掌を胴体にあて雷術(攻撃力ないバージョン)を発動させる。
「ぐあぁ!!」
派手に掌から雷が散る。
「ふっ、なかなかの強さよな……しかし、我も無為にやられはせん!!」
膝を地面につけ、遙遠を睨みつけながらセリフを吐く。
ガイアスはいきなり立ち上がり、遙遠へと抱きつくと火術を発動。
「くっ! しまっ……」
遙遠は気がついたのだが、対応に遅れ、ガイアスの自爆に巻き込まれたのだった。
パラ実生達を蹴散らし、遙遠へと合流しようとしていた武はその様を見てしまい呆然とする。
「よ、遙遠ーーーー!」
叫び、近寄ると遙遠の遺体を残っていたパラ実生に素早く持っていかれてしまった。
「くっそ……!」
地面へと拳を打ちこみ、悔しさがにじむ。
「ヒーローがやられちゃった! この後どうなるの!?」
ミサが煽り、曲調が一気に変わった。
今度は暗く陰気な雰囲気の曲がかかり、背景も一新され、悪の秘密基地内部へと子供達を導く。
手術室、ここでは連れてこられた遙遠の亡骸が台の載っていた。
「うふふっ、改造は最強♪ 最強は改造♪」
その脇では手にメスを持ち、楽しげに歌を歌っている島村 幸(しまむら・さち)が居た。
黒い革の露出度の高い服の上から白衣という姿だ。
「うふふっ」
体にメスを入れていく、歯医者で削っている時のような音が響き、メスからは火花が散っているようにさえ見える。
暫くすると、メスを置き上を仰ぐ。
その表情は恍惚を浮かべていた。
「素晴らしい、貴様こそ私の最高傑作よ! さぁ立ち上がりなさい、ヒザクラー!!」
台の上に居た遙遠はゆっくりと上体を起こし、しっかと幸を見つめる。
「パラミアント……排除すべき敵……」
「そう! その通りよ!」
手術室では幸の笑い声だけが支配した。
「一方その頃、正義の司令部では……」
ミサが言うと、背景がまた変わり、曲は小気味よいリズムの格好良いものへと変化した。
「パラミアント、エージェント・ホイップ殿からの通信発信位置を特定。敵のアジトの位置を割り出した。急行してくれたまえ」
藍澤 黎(あいざわ・れい)が赤い革で作られた重厚な椅子へと腰かけ、通信機へと話しかける。
「言われなくても行くっつーの……あとその呼び方止めろよ。俺はただの五条武だ」
通信機からは武の元気のない声が漏れ、切れた。
「正義は時に過酷なものだ……」
そう呟くと場面はまた切り替わるのだった。
「ここからは私が司会のお姉さんですぅ〜!」
ミサからバトンタッチされシャーロット・マウザー(しゃーろっと・まうざー)が現れた。
「さぁ、ついに敵と決着を付ける時が来ましたぁ! 頑張れパラミアントー!」
舞台の背景は悪の秘密基地前となった。
小高い丘から武が赤いマフラーをなびかせ、基地の前でスタンバイしているパラ実生の敵役を見つめていた。
「随分と数が多いな……怪人の大安売りでもすんのかよ」
溜息を吐いてから、丘を一気に下りていった。
「貴様ら……俺が息の根をとめてやるぜ!」
「おーっほほほほほ! 私こそが最強最高の頭脳を持つ魔科学者サチリーナさ!」
武が叫ぶと今度は基地の高い場所から幸が現れた。
「お前が……敵の首領だな」
「そうよ……でも首領だなんて美学のかけらも無さそうな呼び方はやめて! 私は魔科学者よっ! さあ、ムッシュJ、ヒザクラー、やっておしまい!」
指図をすると基地の扉からは戦闘民族の戦闘服っぽいのを着て、戦闘力を数値で知る事の出来る片っぽのみのごつい色眼鏡を装着しているムッシュJこと七枷 陣(ななかせ・じん)と、その後ろから改造されてしまった遙遠が登場した。
「よ、遙遠……そうか、お前はもう俺の知っている遙遠じゃなさそうだな」
悲痛な面持ちで告げる。
「与えられた命令を実行するのみ……消えろ、パラミアント!」
「オレも忘れてもらっちゃ困るぜ! 戦闘力たったの5しかないゴミ野郎さんよ」
「くそうっ!」
陣はワンドに雷術を纏わせ、ヒザクラーは革の手袋を嵌め直すと拳で向かってきた。
パラミアントも迎え撃つが、遙遠の事が気になるのか全く攻撃をかわす事が出来ず呆気なくやられてしまった。
地面に突っ伏し、起きあがる様子を見せない。
「口ほどにもない……おーっほほほほほ!」
その様子を楽しそうに高笑いして眺めるサチリーナ。
ここでパラミアントのハードロックなテーマソングをルディが流す。
「まだ諦めるのは早いですぅ! ここに居る皆様の応援があればきっと大丈夫! 思いっきり応援してあげてください! せーの!」
「パラミアント頑張ってーーーー! 負けないでーーーー!」
子供達の応援がパラミアントを勇気づけ立ちあがらせる。
「うおぉぉぉ! 生憎だが、何度も死に損なってるからな、今更さっさと死ねるとは思ってねーんだよ、俺は!」
雄叫びをあげ、パラミアントへと変身が完了した。
「……どういう事だ!? 姿が変わった途端に戦闘力が3000まで増えてやがる!? ……いや、関係ない! いくぞ、ヒザクラー! 全てはサチリーナ様の為に!!」
「……任務を遂行するのみ」
2人同時に向かってくるが、今度は攻撃をあっさりとかわす。
「くっ! 死ね! サイコスパイク!」
避けられ、パラミアントの背後に位置していた陣が後方2回宙返りを加えての蹴りを繰り出すが、これも見事にかわされてしまった。
「ひでぶっ!!」
パラミアントはかわすと、今度はそのまま裏拳を食らわせ、陣を吹き飛ばした。
「この戦いが終わったら……オレは、世界の王に……なるんだあぁ!」
地面へと落ちた陣はセリフを吐くと爆発を起こし、舞台から退場となった。
「次はお前だ!」
ヒザクラーも拳を繰り出してくるが、当たらず、パラミアントの拳が腹部へと入った。
「……すまなかった……ありが……と……う」
「遙遠!?」
自らの腕の中で今度こそ本当に息絶えた遙遠を見つめるが、そこにもう未練はなく、目の前の敵へと集中していく。
「くっ! お前達! お行き!!」
指示が来ると基地の扉からはまた違う敵が現れる。
「このゴールドジェネラルにはパラミアントの攻撃など通用しないぜ、HAHAHA」
金ぴかの鎧を身に纏ったエル・ウィンド(える・うぃんど)。
「まったくですわ〜。ムッシュJもヒザクラーも弱過ぎなのですわ」
パートナーが徹夜して作ったほぼビキニの様な露出度の高いコスチュームで現れたのは晃月 蒼(あきつき・あお)だ。
胸がやけに強調されているようだ。
「ワタシが手を下すまでもないですわ〜! ゴールドジェネラル、GO〜!」
「了解ですよ、シャイニングブルームーン様……HAHAHA!」
ゴールドジェネラルは背中の仕込み箒を取り出すと構え、仕掛ける。
パラミアントとつばぜり合いになる直前、ゴールドジェネラルが動く。
「食らえ、ライトニングボール!」
指にはめた光精の指輪の光を更に黒子刀真が反射板で増幅させ、パラミアントへと当てた。
目がくらみ、一瞬見失うが箒での攻撃を受け止め鳩尾へ膝蹴りを入れた。
「やり……ますね……HAHA……HA」
がくりと地面に落ちた。
「全く情けないですわ!」
シャイニングブルームーンはレイピアを構えて、誰よりも素早く攻撃をしてきた。
が、レイピアを跳ねあげられ、その反動で胸の衣装が外れた。
ぽろりと2つの大きな膨らみが露わになってしまった。
「サチリーナ様ぁ〜!!」
胸を押さえながらシャイニングブルームーンは基地の中へと戻って行った。
「最強の魔科学の力を今こそ見せてくれよう!」
サチリーナは高い場所から飛び降り、華麗に着地をしてみせる。
「やっとラスボス登場か……待っていたぜ!」
対峙する2人の間にはピンと張りつめた空気が流れる。
サチリーナの手からはまるで拳から刀身が来ているようなジャマダハルの光条兵器が握られていた。
対する、パラミアントは綾刀を手にしていた。
素晴らしく早い風が巻き起こったと思った瞬間、2人の位置は逆転しており、背を向け合っていた。
「ごふっ……ま、まだ、私の夢が……改造パラダイスの夢がまだっ……」
そう言うと、サチリーナは崩れ落ちた。
パラミアントは変身を解くと、遙遠を見たがそのまま基地の中へと入っていったのだった。
無事に一般人のジーナとエージェントのホイップを救い出し、脱出。
ホイップに至っては何故かお姫様抱っこされていた。
「助けてくれて有難う!」
そう礼を告げると真っ赤になりながら武の頬へとキスをしたのだった。
こうして無事に昼の部は幕を閉じ、握手会へと移行した。
やはり、人気があるのはケンリュウガーこと牙竜と、パラミアントこと武。
2人の前には長蛇の列が出来ている。
「は〜い! ちゃんと順番来るからねぇ! きちんと並ぼうね!」
列の整理をしてくれているのはリリィだ。
「…………やれやれ。苦手な子供を克服しようと来たというのに」
子供達から目つきが怖いと避けられ軽く涙目になっている乾も居た。
「どんまい!」
その横で、アニアがフォローしていつ姿が見受けられた。
「わ、私は着ぐるみでは無い! 気安く触るな髪を引っ張るな!」
ジゼルはとても子供達になつかれていた。
握手会も何事もなく終了し、夜の部の準備へと入っていったのだった。
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