リアクション
■□■ そして、葦原島の夜空の下でも、 二人でいること誓いあっている二人がいた。 「もう、10年になるねぇ……」 「不思議ですね。 飽きるほど一緒にいたのに、 それでも足りないと思ってしまいます」 御影 美雪(みかげ・よしゆき)は最愛のパートナーである、 風見 愛羅(かざみ・あいら)と見つめ合う。 この10年間、美雪と愛羅はいつも一緒にいた。 苦しい時も、悲しい時も、そしてなにより楽しい時も。 そうした二人の時間の中で、感情的な美雪と冷徹な愛羅という対称的な二人は、 より互いを深く理解し、足りない部分を補い合い、成長してきたのだった。 これまでの事を思い出して、愛羅はつい、微笑んでしまう。 「私達は……ちょうどいい組み合わせなのですね」 「そうだな」 美雪は頷き返す。 ずっと共にいた。 だからこそ。 美雪は意を決して、用意していたエメラルドの指輪を取りだした。 そして愛羅の左手の薬指にそっと取りつける。 「え、これって……」 「俺と……ずっと一緒にいて欲しい」 美雪の言葉に愛羅は涙が溢れ出した。 「はい。一緒に……いたいです……」 美雪は愛羅を抱きしめ、彼女もそれに応える。 天空の星々もそれを祝福するように輝きを放ち続けていた。 ■□■ ザンスカール。 アゾート・ワルプルギス(あぞーと・わるぷるぎす)が “賢者の石”を求めてパラミタに渡ってから10年が過ぎていた。 賢者の石を生成することが出来たアゾートは、白瀬 歩夢(しらせ・あゆむ)と結婚し、 今日は二人の子供と共に公園に来ていた。 「ほら、泣かないで!」 アゾートは生まれたばかりの息子をあやしている。 それを愛おしそうに見つめる歩夢は外見は女性で、一見ママ友にしか見えない。 それを心配そうに見つめる4歳の娘を歩夢は抱き上げた。 「ママ、次は妹が欲しいな!」 その言葉に歩夢は笑みを見せた。 「あはは、もう次の子のリクエストが来ちゃったね……」 「……ど、どうしようか」 歩夢とアゾートはお互いに顔を見合わせた。 「今夜は出来るだけ優しく……するね」 顔を真っ赤にした歩夢の言葉に、アゾートは顔を赤らめた。 二人の間に新しい子が出来る事も遠い事ではないだろう。 |
||