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リアクション
「アキさんのきょぬーもマッサージし心地は良かったですわね」
美海は右手をリズミカルに閉じたり開いたりしながら、南雲 アキ(なぐも・あき)の事を思い出していた。
丁度その時、街頭のオーロラビジョンにバニーガール姿のアキが映し出されていた。
「うさぎのあなにようこそ〜。たぁっぷり私達うさぎちゃん達を可愛がってね〜。も・ち・ろ・ん、私達うさぎちゃん達も〜、お客様の日頃の疲れを癒せるよう〜、ご奉仕するよ〜」
バニーガールなアキは、ソフトドリンクのボトルとグラス、ロックアイスの入ったアイスペールを載せたシルバートレイを片手で持ち、その場でクルッとターンして画面に向かってウインク。
“ぷるん♪ ぷるん♪ ぷるるるるん♪”
そんな音が聞こえてきそうなくらい、バニースーツ越しにアキのきょぬーが揺れる。揺れまくる。
それはもうプリンのように、張りと弾力を持ち、且つ柔らかなまま。
それを見ていた周りの男性達は否が応にも盛り上がる。嗚呼、悲しい男の性か。
「お客様は〜、今日はお疲れですね〜。学校で嫌なことがありました〜? 嫌なことはぜ〜んぶ、私達うさぎのあなのうさぎちゃん達が慰めてあげますね〜」
アキはソファーに腰掛けると、黒部峡谷の谷間の如く深く薄暗い胸の谷間から、カバーの付いたアイスピックを取り出し、アイスペールの中のロックアイスを砕くと、グラスにロックアイスとソフトドリンクを入れて画面の前に差し出した。
ソフトドリンクながら、そういったサービスをしてくれるようだ。
「楽しくおしゃべりして〜、カラオケなどで盛り上がっても〜、まだ癒されないひ・と・に・は〜♪」
アキはそういうと、おもむろにレヴェナ・バイオレット(れう゛ぇな・ばいおれっと)の頭を抱き、胸の谷間に掻き抱いた。
そして緑色のロングヘアを、優しく、慈しむように手で梳いた。
美少女然としたレヴェナの顔にうっとりとした表情が浮かぶ。
「うおおおお! 俺も抱かれてー!」といった心の叫びがそこかしこから聞こえる。
「うさぎちゃん達1人1人の心の篭もったサービスで〜、お客様達を癒しちゃいますよ〜」
「(……あのバカ姉は……アキ姉さんに何をやらせてるのですか……大体……何ですか、ちっぱい教って。ちっぱい教の同志になってアキ姉さんをうさぎのあなに売り渡すなんて……私怨で人様に迷惑を掛けるなど……器が小せェです。小さいのは胸だけにしてくださいよ)」
オーロラビジョンを見ていたレオナ・バイオレット(れおな・ばいおれっと)は内心溜息を付いていた。
姉のレヴェナはちっぱい教の同志になると、アキを狩らせないよう、うさぎのあなに彼女を専門モデルとして提供したのだ。
その見返りとして、C−Dayにおけるきょぬー狩りの同志達の指揮権を得ていた。
こうしてレオナと共に同志を引き連れてショッピングモールに来ていた。
「これがちっぱい教とうさぎのあなの……きょぬー狩り……?」
「ええ。ちっぱい教は狩ったきょぬーの女性をうさぎのあなに提供し、バニーガールに仕立てているのです」
オーロラビジョンを見ながら身体を震わす芦原 郁乃(あはら・いくの)に、綺羅 瑠璃(きら・るー)がそう説明した。
「元凶であるちっぱい教は、どうみても男性のリビドーによる教団。そもそも大きいとか小さいとか比較するのが間違いです。ちっぱい教の行動を静観したら、胸の大きい人を僻んでいると世間から思われかねない」
「やめてよねぇ! そういうことされるとまるで小さい胸がマニア向けで少数派で劣等感の象徴みたいじゃないッ! 冗談じゃない!! 分かったわ。胸の大小で騒ぐよこしまな輩に鉄槌を下すため、わたしは今日鬼になる!!」
瑠璃の言葉に郁乃はガッツポーズを取っていた。
「(たま〜に「ちょっといいなぁ」って指くわえるくらいのささやかな
たま〜に『天使のブラ』つけて「ふふっ」ってほくそ笑むくらいのささやかな
たま〜に恋人の胸に埋もれて感触を味わうくらいのささやかな
そんなささやかな生活を守りたいんだもん!)」
「分かってくれましたか! ちっぱい教は解体し、『(適切な胸の)女子の、(適切な胸の)女子による、(適切な胸の)女子の為の、(適切な胸の)女子の教団』にする必要があります!」
「荀灌にも怒る権利はあるわ、一緒に行こう!」
郁乃は栄光の刀を抜き(峰打ち用に逆さに構えているが)、瑠璃は光条兵器を展開させた。
「(一般人なら躊躇するけど、ちっぱい教の同志達はコントラクターのようだから手加減は無用ね。まぁ、鏖殺寺院のテロ鎮圧の訓練と思えばいいかも知れないわね)」
「(怒るお姉ちゃんに引きずられるように来た私……この後起こるであろう惨劇が頭に浮かぶ。
でも……言えない……あの人たちは見た目16歳以上の人しか対象にしてないなんて……。
だからって止めれない、止められるわけがないです。お姉ちゃんから立ち上る気配は、恐ろしいほどに燃え上がってるです)」
方やパートナーの沙 鈴(しゃ・りん)と荀 灌(じゅん・かん)はあまり乗り気ではない様子。
あくまで瑠璃と郁乃に連れてこられた感があり、温度差があった。
「あはは! アキ姉以外のきょぬーなんて滅びればいいのよ! ひんぬーだって……ひんぬーだって頑張って生きてるの! だからきょぬーは盛大な恥でもかいて、持たぬ者と同じ痛みを知ればいいんだわ!」
「(まあ、こんな不肖な姉でも家族……アキ姉さんともども護ってやります)」
レヴェナの号と共に、オーロラビジョン前でもきょぬー狩りが開始された。
「“観胸保護団体”として、シャンバラ教導団として、ちっぱい教の構成員を確保するわ!」
幻槍モノケロスを旋回させて、迎え撃つ沙鈴。
どう見てもちっぱい教の同志達の攻撃は沙鈴に集中していた。瑠璃や郁乃、荀灌は総スルーで、彼女達は沙鈴へ向かってくる同志達の露払いに専念した。
「(あぁ、やっぱり……想像通りでした……)」
「ちょ、ちょっと、沙鈴さんばかりじゃなく、わたしとも戦いなさいよ! は? 16歳未満の少女に手は出さない!? ちっぱい教の同志達は紳士の集まりだぁ!? わたしはこれでも17歳だよ」
ちっぱい教は『外見年齢16歳未満の少女には手を出さない』という鉄の掟がある。
しかし、それは荀灌が溜息を付くように、郁乃を怒らせる結果となった。
「ちっちゃいからってバカにすると痛い目見るんだからね! わたしの拳が光って唸るぅっ! 幸せ掴めと轟き叫ぶっ!! ばぁぁぁくはつ、乙女の則天去私―――――!!」
「あたし達が倒れても、第二、第三のちっぱい教が現れるわ……必ず!」
【ヒロイックアサルト】によって郁乃の腕が虹色に光り輝くと、【則天去私】が繰り出され、同志達は次々とお星様になってゆく。
レヴェナに迫ると、彼女はそう言い残した。
「させません! ったく、バカ姉は自業自得なのに、面倒見させないでください」
「お姉ちゃん危ない!」
だが、レヴェナへの攻撃は寸前のところでレオナが【歴戦の防御術】と【ディフェンスシフト】を駆使して守った。
翼の剣を構えると、【バーストダッシュ】で加速を付け、【チェインスマイト】を繰り出す。
がら空きの郁乃の前に荀灌が割って入り、女王のソードブレイカーで辛うじて受け流した。
「防御から攻撃への、流れるような良いコンボね。ちっぱい教の同志を辞めて、“観胸保護団体”に入らない?」
「それはどうも。でも、こんなバカ姉でも姉妹ですし、アキ姉さんもいますから」
レオナの流れる動きに、ニヤリと笑って勧誘する沙鈴。
だが、レオナにも譲れないものがあった。
こんな戦いの中でも、友情は芽生えるものなのかも知れない。
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