リアクション
エミリオ・ザナッティ(えみりお・ざなってぃ)の担当するドラムが軽快なリズムを刻み、観客の注意を惹いていく。次いで舞台下から飛び出すように現れたロランアルト・カリエド(ろらんあると・かりえど)と飛鳥 菊(あすか・きく)の鳴らすギターが、音楽に彩りを添える。
「イェーイ!」
最後に飛び出してきた飛鳥 桜(あすか・さくら)が、マイク越しの声を響かせる。
「一番手、『Tricolore・Star』!! 曲は『Wind』、さあみんな、思い切り楽しもうよ!」
桜の紹介が終わると同時に、ロランアルトと菊、エミリオがそれぞれの担当する楽器を震わせ、奏でる音楽に乗せて桜が伸び伸びとした声を響かせる。
「夢」という風を追い求め走り出した僕等
溢れる想いは 僕らの新しい世界
その道しるべを示しだす
恐れないで
ただ前を見て 足を動かせばいいんだ
「大丈夫 一人じゃないさ」
差し込む光に手を伸ばした
エミリオがスティックを上空に投げ、自ら飛び上がって空中でキャッチしてそのまま叩き出す。菊は桜と隣り合わせの位置に移動し、二つの歌声が絡み合う。
向かい風も追い風にして
上り坂も下り坂も越えて
走りぬけよう
まだ見ぬ世界
風と光が生まれる場所へと
「楽しんでるかーいっ!」
桜が観客に呼びかけ、菊が手拍子を求める。打ち鳴らされる両手が作り出す音楽に力をもらうように、エミリオのソロパートが駆け抜けていった。
そう全てを感じるままに…走れ!
最後はエミリオとロランアルト、菊がかき鳴らす音色を桜がジャンプして断ち切り、演奏を終える。
「みんなーありがとー!!」
弾ける汗が眩しい桜の、『Tricolore・Star』の面々へ、惜しみ無い拍手と歓声が届けられた――。