|
|
リアクション
新たな女王を守護せよ 1
シャンバラ女王、
ネフェルティティ・シュヴァーラ(ねふぇるてぃてぃ・しゅう゛ぁーら)を護衛し、
ソウルアベレイターのリーダーの元へ
連れて行くべく、
契約者たちは、万魔殿の奥深くへと進んでいく。
ネフェルティティの姉で、
今はパラ実校長の一人の
ジークリンデ・ウェルザング(じーくりんで・うぇるざんぐ)や、
ロイヤルガードたちも同行している。
イルミンスール魔法学校の、
土方 伊織(ひじかた・いおり)が、
パートナーで、『ウインドリィの雷電の精霊』である、
サティナ・ウインドリィ(さてぃな・ういんどりぃ)とともに、
女王の露払いを買って出る。
「はわわ、ネフェルティティさまを女王様にしちゃったから
こーなったとか言わせない為にもーってエルキナさんにもう言われてたのですぅ」
「エルキナか。
奴にとっては須らく駒のように思っておるのかもしれぬの。
かような輩の思うままに事が進むというのも癪じゃしのう」
「そうですよー。
まだ、だめだめーって決まった訳じゃないですし、
微力ながら僕もお手伝いするのですよー」
エルキナの言葉を思い出してしまい、一瞬、がっくりしていた伊織だが、
サティナとともに、しっかりと前を見据えなおす。
「ネフェルティティさまや、
戦力の要となる、星辰の武器を持っている人がもしいれば、その人たちを、
なるべく、力を使わせず、
ソウルアベレイターのリーダーさんの元へお届けできればと思うのですよ。
そうすれば、僕たちの勝率が上がると思うのですよ」
伊織の言葉に、サティナがうなずいた。
「残念ながら、ここに星辰の武器でただ一つの物を持っておる者はおらぬようじゃが、
女王の補佐を全力でするということは重要じゃな。
我らのことは気にせず、女王には本懐を遂げてもらいたいものじゃ」
「はい、希望と想いは女王様に託すのですよ」
「ありがとうございます。
皆さんの託してくださった想いを、きっと形にしてみせます」
伊織たちに、ネフェルティティがうなずいた。
七枷 陣(ななかせ・じん)と、
パートナーの仲瀬 磁楠(なかせ・じなん)も、
同様に、戦いの先陣を買って出る。
「亡者も死霊もどけや!
オレは、死者の妄執よりも生者の未来のために戦う!」
陣が、死霊たちを睨みつけ、
ヒロイックアサルト『クウィンタプルパゥア』を乗せた魔法を放つ。
「唸れ、業火よ!
轟け、雷鳴よ!
穿て、凍牙よ!
侵せ、暗黒よ!
そして指し示せ……光明よ!
陣が呪文を詠唱し、亡者の群れを見据え、叫ぶ。
「セット!
クウィンタプルパゥア!」
ゴオオオオオオオオッ!
亡者たちの抵抗するような、威嚇するようなうめき声が上がる。
「爆ぜろ!」
天の炎が、闇の亡者たちを焼き尽くす。
「退け亡者ども。
我々の歩みを止めさせはせんよ」
磁楠が、陣の近くへと迫ってきていた、亡者に対峙し、
凍てつく炎をの呪文を詠唱する。
「セット、
クウィンタプルパゥア!」
磁楠が、陣と同様のヒロイックアサルトを使った魔法を放った。
「すべてを薙ぎ払うぞ、小僧」
「言われなくてもわかってる!
オレたちは、生きて生きて生きて……生きて生きて生きねばならんのや!
それを、別の世界からやってきた奴らに邪魔されてたまるかい!」
磁楠の言葉に、陣は深くうなずいた。
「ケンカは先手必勝、アタマをつぶした方が勝つのよ!」
エルサーラ サイジャリー(えるさーら・さいじゃりー)が、
ネフェルティティに、自らが信じるケンカの極意を教えつつ、
則天去私を放つ。
いかにも元不良少女然としたサイジャリーが、
それでもネフェルティティに迫ってくる亡霊を、斬り捨てる。
「斬ろうと思ったときには、すでに斬っているのよ」
「ありがとうございます。
とても心強いです」
ネフェルティティが、力強い笑顔を浮かべ、うなずいた。
「さあ、さっさとこんな辛気くさい場所移動して、
ヘッド同士で対決するのよ。
他人のシマを荒らしたらどうなるか、思い知らせてあげようじゃない!」
威勢よく言ったサイジャリーと、
対照的に、
かわいらしい白モモンガのゆる族、ペシェ・アルカウス(ぺしぇ・あるかうす)が、
ネフェルティティに抱きついていく。
「ネフェルティティちゃん女王様おめでとうっ!」
「どうもありがとうございます。
皆さんにとってよき女王であるよう頑張ります」
「うん、だから、ネフェルティティちゃんにお願いがあるんだ」
ペシェが、つぶらな瞳で、
ネフェルティティを見つめる。
「奥にソウルアベレイターさんがいると思うんだけど、
ちゃんとお話合いしたら、わかってくれると思うから、
できたら戦わないでおくれよ」
ペシェが、小さな手を合わせてたのむ。
「パラミタで戦っても
ニルヴァーナで戦っても、ボクは悲しいよ。
皆でにこにこできるようきっとできるから」
皇帝ペンギンゆる族のピノ・クリス(ぴの・くりす)も、
ネフェルティティにとことこと近づいていって、
じっと顔を見上げる。
「ピノ、みんなで仲良く遊びたいのー。
何でみんなケンカするの?
仲良くした方が楽しいのにぃ……ピノ、わからないよぉ。
これが終わったらみんなで仲良く遊べるのかな?」
ピノは、心配そうに瞳を潤ませていた。
ネフェルティティは、ペシェとピノをぎゅっと抱きしめる。
「そうですね。できれば、
ソウルアベレイターの方々とも、
話し合いができればと思います。
皆さんの安全のためにも、
無駄な争いが回避できるのであれば、
それが一番望ましいですから」
【東シャンバラ・ロイヤルガード】のヴァーナー・ヴォネガット(う゛ぁーなー・う゛ぉねがっと)が、
そんな、ネフェルティティたちに、自分も抱きつきながら同意する。
「ボクもお話上手じゃないけど、
みんなが仲良くなれるようにおてつだいなんです!
ロイヤルガードですし、
ネフェルティティおねえちゃんを守ってみせるですよ」
「ええ、ありがとうございます。
光条世界との交渉がままならない今、
ソウルアベレイターのリーダーと話をすることは、とても大切だと考えています」
「ネフェルティティちゃん、ありがとう!」
「うん、ピノも、お話し合いで仲良くなれるなら、
それがうれしいよっ!」
「みんなで、がんばりましょうです!」
ペシェとピノとヴァーナーの純真な瞳に見つめられ、
ネフェルティティは、優しく力強くうなずいた。
「来ましたわ、ヴァーナー!」
注意深く、パートナーたちの安全に気を配っていた
セツカ・グラフトン(せつか・ぐらふとん)が、
死霊の群れの襲撃に、注意を促す。
「ネフェルティティも、ピノも、
私が護ってみせるわ!
私にできることは全力でやってやるわよ!」
白波 理沙(しらなみ・りさ)も、
小さなパートナーを気づかいつつ、
死霊の群れの前に飛び出した。
「敵にも死んでほしくなかったですけど……。
死霊だからもう死んでいるんですよね?
じゃあ、もう、苦しまないで、解放されてくださいです!」
まじかる☆すぴあを振るい、
ヴァーナーが、死霊たちを薙ぎ払う。
「ヴァーナーやネフェルティティ様の願う、平和な世界、
脅かそうとするのは許しませんわ。
ヴァーナーの言うとおり、
苦痛から解放されて、浄化されてくださいませ!」
セツカが、星と翼の杖を構え、天の炎で死霊たちを焼く。
「私には女王の加護があるのよ。
しかも、こんなに近くに本物の女王、
ネフェルティティがいるんだから!
絶対に倒れないわ!」
理沙も、体術を繰り出し、則天去私を叩き込む。
ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!
契約者たちの決意に抵抗するかのように、
死霊の群れが、
地響きのようなうなり声をあげた。