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【2019体育祭】燃えよ…冬の陣!東西丸太戦争

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【2019体育祭】燃えよ…冬の陣!東西丸太戦争

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第2章 姑息な手を使ってでも叩き落とすべし!

 プールから少し離れた場所でロザリンド・セリナ(ろざりんど・せりな)は折りたたみの椅子に座り、紅茶を飲みながらオペラグラスで戦況を眺めていた。
「満夜さん丸太から落ちそうになったみたいですけど、ギリギリセーフだったみたいですね。さて西軍側の人は今どの辺りにいるんでしょうか・・・」
 オペラグラスを覗き込み西軍側の生徒たちを探す。
「おや・・・あそこにいるのは東軍側の人でしょうか。敵陣の人を待ち構えているのですかね?なんだか面白い戦いが見れそうな予感がします♪」
「ふっふふふ、相手の手法はすでに把握しているアル」
 チムチム・リー(ちむちむ・りー)は敵陣の者の後をこっそりつけて、何を購入したか事前に調べていた。
 相手に気づかれないよう光学迷彩で姿を隠し、レキの傍に控えている。
「相手の武器だとか分かってれば対処もしやすいよね♪」
 ピコピコハンマーを握り締めレキ・フォートアウフ(れき・ふぉーとあうふ)もクスリと笑う。
 動きやすいようにTシャツとスパッツを着ている。
「まぁっ、ボクは小細工なんて使わないけどね」
「やはり東軍の人と遭遇してしまいましたね・・・。ですが点はいただきます!」
 樹は赤色の双眸で睨み、市販のロケット花火にライターで火をつけて放つ。
「そんなものコレだけでカードできちゃうよ!」
「(―・・・フフッ避けてもまだ仕掛けがあるんですよ)」
 迫り来る花火をピコピコハンマーで叩き落とそうとするが、シュールストレミングの汁とハバネロ粉末を混ぜた水風船が衝撃で割れてしまう。
「―・・・・・・そんなの調査済みだよ!」
 両腕で防ぎレキはニヤリと笑った。
「(こっそり後をつけさせてもらったアル♪)」
「―・・・くっ、ですけど少しくらっただけでもかなり効いているはずです」
「冷水シャワーアル〜」
 チムチムは両手でプールの水をすくい、レキにバシャァアアッとぶっかける。
「洗い流し完了・・・今度はこっちの反撃だねっ」
「水神ー!!」
「手出し無用です、先に行ってください。後で必ず追いつきますから」
 加勢しようとするイリーナを止め、敵陣に向かうように言う。
「すまない・・・」
 レキと睨み合う樹を残し、イリーナたちは東軍に向かって駆けていく。
「油断大敵だねー♪百合園だからって甘く見ないでね!」
「しまった・・・うぁあーっ!」
 見方を見送り振り返ると、レキとチムチムが2人がかりでピコピコハンマーを振り降ろす。
「2人がかりとは・・・」
「これで減点だねぇ。逃がしちゃった人たちは残念だったけど」
 彼女たちは撃ち落した満足さに、点を入れに行こうとウキウキ気分で西軍の方へ走る。
「やーっと到着〜!やったねーっ」
「楽勝アル♪」
 見事渡りきった東軍側に40点が加算され、敵に丸太から叩き落とされた西軍はマイナス10点となった。

-PM17:00-

「私としたことが・・・うかつだった・・・・・・」
 丸太によじ登ろうとすると、プールの水面に三角形のヒレが現れた。
「ま・・・まさか・・・」
 チャァーラン・・・ジャージャーン・・・・・・。
 凶暴な海のハンターのヒレが、どんどん樹の方へ迫る。
「落とされたあげく、食われてたまるもんですかぁああっ」
 必死でよじ登り雷術をサメに向かって放ち、感電した標的はプールの底へ沈んでいく。
「早く彼女たちに追いつかないと・・・」
 フルフルと首を左右に振り、濡れた髪の水気を払うと再び丸太の上を走る。
「うぁあ・・・サメが倒されたよ・・・・・・」
 “救出班”と書いたハッピを羽織った和原 樹(なぎはら・いつき)が、プールサイドで救助しようと待機していた。
「―・・・ふむ・・・我らの出番あるのだろうか?」
 フォルクス・カーネリア(ふぉるくす・かーねりあ)も勇敢に丸太を渡っていく生徒たちを眺めながら呟く。
「一度・・・一本釣りってのをやってみたかったんだよなー」
「サメを・・・?」
 ボソッと言う和原にフォルクスは首を傾げる。
「5mなんて結構な大物じゃないか」
「だが相手は凶暴な人食いサメだぞ・・・食われるかもしれないじゃないか」
「なんとかプールに入らず釣ってみたいけどな」
「ふむ・・・・・・。(参加する!とか言い出すかと思ったぞ・・・)」
 やっぱり参加したいと言われると思ったフォルクスはほっと安堵した。