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リアクション
ガーディアンナイツとミスターカメレオンの部隊が町の中央で激突する。
剣戟の音や銃声が響き、先ほどまで静かだったサンドタウンは一瞬にして戦場へと化した。
「思っていたよりも手下どもの数が多いな――ならば!」
その戦場の後方で冷静に戦況を見極めながら、小さな鍵の書を開いて呪文の詠唱を開始するのはイーオン・アルカヌム。
イーオンの足元には魔方陣が生じ、呪文の言葉が詠み上げるたびにその魔方陣が反応して魔力を帯びた光を放つ。
その光がイーオンの掲げる左手に集まると、紫電を発する雷へと変化していく。
呪文の詠唱を終え、イーオンは左手に集まった雷を握り締めるようにその手を閉じる。
「行け、セル! ミスターカメレオンを確実に討て!」
「イエス・マイロード」
と、イーオンはパートナーの機晶姫セルウィー・フォルトゥム(せるうぃー・ふぉるとぅむ)に指示を出しミスターカメレオンに向かって突撃させる。
「ひとりで向かわせて大丈夫なのか?」
火術を使い、イーオンの周囲でサポートをしていたフィーネ・クラヴィス(ふぃーね・くらびす)は敵陣に斬り込んで行くセルウィーの背中を見ながら言った。
「ひとりではない。俺の雷と共にセルは行くのだ」
そういうとイーオンはバチバチと紫電を放つ左手を開いて前に突き出して叫んだ。
「裁きの雷よッ、誇りも信念もない虫どもに終わりを告げろ!!」
すると巨大な魔方陣が中空に現れ、そこから生じた迸る稲妻が敵陣へと襲い掛かる。
大量の敵を容赦なく塵へと変えていくイーオンの放った雷の嵐の中を加速ブースターを使用してセルウィーは進む。
赤い瞳が探している目標はただひとつ――ミスターカメレオンのみ。
「…………!」
と、セルウィーはその目標を発見し握っていたライトブレードの柄から光の刃を伸ばす。
そして地面を蹴り上げてミスターカメレオンへと躍りかかった。
「しゃらくせぇッ!」
ミスターカメレオンは大鎌を振り回し、そんなセルウィーを迎え撃つ。刃が交錯し激しい火花が飛び散った。
鍔迫り合いとなったがミスターカメレンがパワーでセルウィーを押し切って、後方へと吹き飛ばす。
だが華麗な身のこなしでセルウィーは地面へと着地。すぐさま態勢を整えるとミスターカメレオンに再び突進し、怒涛の如く攻撃を繰り出していく。
セルウィーの連続攻撃の前に防戦一方のカメレオンは顔を歪めた。
「ぐっ、カメレオンズ!」
と、カメレオンがそう叫ぶと「カメッへーイ!」という掛け声と共に複数のカメレオンズが現れる。
そして手にした得物で次々とセルウィーに襲い掛かった。その間にカメレオンはその姿を消してどこかへと逃げ出した。
「大丈夫かっ!」
セルウィーがひとりでカメレオンズを相手にしていると、そこに他のガーディアンナイツが援護へとやってきた。
やってきたのは試作型星槍を手にした夢野 久(ゆめの・ひさし)。
「……大丈夫です」
「そうかい。でもここは俺にまかせな、アンタはボスを追え!」
「わかりました。感謝します」
そういうとセルウィーはイーオンの命令を実行するべく、再びカメレオンの姿を求めて走り出した。
「カメレオンズとか言ったか? 今度は俺が相手になってやるぜ! 束にならねぇと何もできないザコなんて俺ひとりで十分だッ!」
久は群がる敵を前にそう啖呵を切ると試作型星槍を構える。
彼はオールバックで目つきは悪いが、硬派な不良を自称している男気のある青年である。
「ザコ担当とか、久は本当地味好みー。精神年齢お爺ちゃんなんじゃないの?」
「うるせぇぞ、そこ!」
久が怒りを向ける人物は彼のパートナー、ルルール・ルルルルル(るるーる・るるるるる)。
彼女はいやらしい、色っぽい、妖艶などという言葉がピッタリと当てはまりそうな見た目も派手な魔女である。
「はははっ、いつもの痴話喧嘩をしている場合じゃないよ。周りを見てごらん。ザコがいっぱいだ」
そう言いながら妖刀村雨丸を構える女性は佐野 豊実(さの・とよみ)。
彼女も久のパートナーだ。ルルールとは違い知的で落ち着いた印象がある。
「あら、囲まれちゃったの。ザコザコ言ってたから怒っちゃのかしら?」
「へっ、いいぜ。まとめて相手をしてやるよ……ついてこいザコ!」
と、久の言葉にザコどもは逆上し彼の後を追う。久はザコどもがミスターカメレオンをサポートできないようにある程度離れた場所まで誘い出すと足を止めた。
「もういいだろう。そんじゃあ一丁やるかぁ――ウオオオオオッッ!!」
久が雄叫びを上げる。すると、その雄叫びに呼応するように荒野の魔獣たちが走りこんできた。
ザコたちはそれに怯んで、動きが止まる。
「よっしゃ、いまだ行くぜ!」
敵に隙が生まれたのを見逃さず、久は手に持っていた試作型星槍を振りまして目の前のザコたちを一気に薙ぎ払う。
「――刀の錆にしてやるよ」
そんな久の横では豊実が縦横無尽に刀を閃かせ、容赦なくザコたちを斬り捨ていく。
「ギャザリングヘクス一気飲みっ――そんでからアシッドミストー!」
ルルールは得意の魔法で攻撃。魔女特製のスープを飲んで魔力の増大したルルールの放ったアシッドミストは敵の体を容赦なく溶かした。
「……戦いはもう始まってるみたいね」
と、小型飛空艇を巧みに操りサンドタウンの上空をぐるりと飛び回っているリネン・エルフトが地上の様子を見て言った。
「そうね、今回はミルザムの陰謀とかそういうのじゃないみたいだし――ガーディアンナイツの方が正当性の分はあるのか」
そう言うのはリネンと並ぶように小型飛空艇で空を舞うヘイリー・ウェイク。
「……じゃあ助けにいく?」
「そうね、まあ今回は手助けしてあげましょう」
ふたりはそんな会話をかわすと頷き合う。
するとリネンが乗っていた飛空艇の出力を上げ、先陣を切って敵の上を飛翔していく。
「なんだありゃ!?」
砂埃が舞い上がる地上でそんなリネンの姿をみたもの達がそう言いながら空を見上げた。
と、リネンは一度上空へと高く上がりそこから爆竹などを放り投げる。
突然落ちてきた爆竹などに驚いて、声を上げるザコたち。
敵の混乱を見てとったリネンは空中で風の波をカットバックするように飛空艇を操り旋回すると、さらにスピードをつけてもう一度敵の上へと舞い戻る。
そして手にした武器で地上の敵を一斉に掃射していく。
「シャーウッドの森空賊団、参上ッ!」
さらに名乗りを上げながらそこに登場したヘイリーが追い討ちをかける。
ふたりは空中を華麗に舞いながら敵を翻弄した。
「行っくよー、全速全開!」
と、地上ではハルバートを手にしたミルディアがひとり敵の中へと突撃して行った。
「ボッコボッコにしてやんよ!」
ミルディアは視界に捉えた最初の敵に向かって足蹴りをかまし、地面へと蹴り倒す。
そしてハルバートを振り回し、周りにいた数人の敵をいっぺんに薙ぎ払う。
「ん〜、カメレオンはどこだろ?」
ミルディアはそう言いながらさらに敵陣深くに斬り込んで行く。行く手を阻むものはハルバードの斧の部分でぶった斬り、薙ぎ払う。
「後ろだよねッ!」
と、後ろから近づいてきていた敵には振り向き様にハルバード突き出して串刺しに。
「歯ごたえないなぁー……あっ! みぃつけたー!」
ミルディアはそういうと発見したミスターカメレオンに向かって踊りかかる。
「ミスターカメレオン、ボコりに来たよぉっ!」
「むッ!?」
振り上げたハルバードを遠慮なく振り下ろしたミルディアの一撃をカメレオンは飛び上がってかわす。
ミルディアの攻撃は地面を抉るのみとなった。
「なかなか反応がいいんだねー」
「カメッへっ、俺様に喧嘩を仕掛けたことを後悔させてやるぜぇッ!」
と、飛び上がっていたカメレオンの姿はスッと消えた。
ミルディアはぱちくちりと目を瞬かせる。
『カメッへーイ! どうだ俺の姿を捉えられるかよ!?』
声のみが響き渡り、カメレオンの姿は見えない。
と、ミルディアの死角からカメレオンの姿がぬっと現れる。
「死にさらせぇッ!」
そしてミスターカメレオンはミルディアに向かって大鎌を振り下ろす。
「おおっと危ない!」
と、その一撃をミルディアの代わりにタワーシールドで受け止めたのは日比谷 皐月(ひびや・さつき)。
カメレオンの大鎌を盾で押し返すと肩越しに振り返ってミルディアに言った。
「大丈夫かい、キミ?」
「んっ、大丈夫。ところでお兄さん誰? さっきまでいなかったからガーディアンナイツじゃないよね?」
「うーん、まあサンドタウンが危ないってことを通信で盗み聞きしたとかなんというか……ま、とりあえずオレもキミたちと同じ理由で戦いに来たってことで」
そういうと皐月は満面の笑みを浮かべた。
「チっ、カメレオンズ!」
「カメッへーイ!」
と、ミスターカメレオンの掛け声と共にトミーガンで武装したカメレオンズが現れて、銃を乱射する。
ミルディアと皐月は即座に散らばってその攻撃をかわす。
「おーいっ、夜空こっちの援護を頼む!」
と皐月はポケットから取り出した無線機に向かってそう言った。
「オーケー、あたしにまかせな!」
その通信を受けた皐月のパートナー・如月 夜空(きさらぎ・よぞら)は舌なめずりをしながら、狙撃スコープを覗き込む。
「距離はかなりあるか……でもやってやろーじゃないか」
屋根の上に身を潜めた夜空は慎重に照準を合わせ、スナイパーライフルでの狙撃の時を窺う。
「いまだ!」
と、夜空が引き金を引いた。銃弾が目標へ向かって一直線に飛翔していく
「カッ!」「メッ!」「ヘッ!」と、トミーガンを乱射していたカメレオンズたちが次々に声を上げて倒れる。
「んっ、カメレオンの野郎は消えたか……じゃあしょうがねぇ、残りのザコでもやっちゃいますか!」
「あっ、じゃあ私も手伝うよお兄さん。助けてもらったしね」
皐月とミルディアはそう言うと敵陣へと斬り込んで行く。
「オマエら許さねェ! 絶対絶対やっつける! むっきー!!」
と、バスターソードを振り回して敵に突撃していくのはテディ・アルタヴィスタ。
「てっ、テディ! ボクをひとりにしないでよぉ〜!」
そんなテディの後を必死に追いかけるのはテディの契約者、皆川陽。
「超ウルトラスーパーテディスラッシュDXをお見舞いだぁっ!」
テディは勝手にそうな名付けた特技・チェイスマイトを放ち、敵を撃退する。
「よっしゃっ、次は誰だ! かかってこーいっ!!」
おりゃーと剣を無闇やたらと振り回すテディ。だがその背後に忍び寄る影。
「後ろがガラ空きだぜぇ!」
と、蛮族が振り上げた棍棒でテディを狙う。
「――えいやっ!!」
とそんなテディを助けようと蛮族の頭を殴ったのは陽。敵を倒したかと思ったが――。
「……あんッ!?」
「うわーんっ、全然効いてないよぉ! 助けてテディ!!」
と、陽は腰を抜かしてテディに助けを求める。
だが、そのテディはというと――。
「むっきー! オマエら全員、超ウルトラスーパーやっつけるし!」
と、こんな感じで陽のピンチに気付いていない。
蛮族はその間にも陽に迫る。
「このガキぃ……覚悟は出来てるんだろうなぁ」
「ううっ、怖いよぉ……お母さん、お父さん。ボク日本に帰りたいよぉ」
陽は半べそをかきながらぶつぶつとつぶやく。
「なにをぶつぶつ言ってやがるっ!」
陽は蛮族に足蹴りされて吹っ飛んだ。
「ううっ――もうダメだぁ」
「へへっ、そうだな。これで終わりだ!」
蛮族はそういうと棍棒を振り上げる。
「――炎よ、アイツを懲らしめろ!」
と上空からそう叫ぶ声。
見ればそこには空飛ぶ箒に乗ったカサブランカの騎士団・伏見明子の姿。
彼女の手にした火龍の杖から魔力で生み出された炎の渦が生じ、蛮族へと襲い掛かる。
「ぐわぁああ――!?」
蛮族は炎の渦に飲まれて黒コゲになるとバタンと仰向けに倒れた。
「大丈夫だった?」
と、明子と同じカサブランカの騎士団・秋月葵は陽にヒールをかけながらそう言う。
「あっ、はい。誰か知りませんけど助かりました。どうもありがとう」
ぺこぺこと頭をさげる陽。
「この戦いを終わらせましょう。カサブランカの騎士団は敵の大将を叩きますわよ」
そう言うのは騎士団リーダーの崩城亜璃珠。
亜璃珠は上空の明子にミスターカメレオンを捜索するように命令を発した。
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