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リアクション
「外の警備は頼むぞ」
新しい監禁場所にたどり着き、人質を中に入れると高崎はそう言って自分も建物の中に入っていく。
そして高崎は小人の鞄から小人達を出して、建物の中に放つ。
「さて、あとは簡単なトラップをでも仕掛けておくか――用心しとくに越したことはないからな」
一方人質たちに紛れた三人は建物の状況や人質がいる場所、警備の状況を隼が隠し持ってきた通信機で仲間に連絡。
その連絡を受けたガーディアンナイツは行動を開始した。
「少々失礼する」
「んっ?」
外の見張りをしていたひとりは突然誰かに声をかけられ、間抜けな顔でそちらを見た。
するとそこにいたのは見知らぬポニーテールの少年――刹那。
「なんだ今度は違うガキかよ――母ちゃんとは会えねぇぞ」
先ほどの一件があったので、この男の警戒は緩んでいた。
「……ふむっ、どうやらおまえは頭の回りが悪いようだな」
刹那は男の言葉を聞いて、ため息をつきながらそう言った。
「なっ、なんだとォッ!?」
「怒るということは事実のようだな」
「くぬぅっ……!」
刹那にバカにされ、この男は顔を赤くする。
(頃合いかな)
と、刹那は突然踵を返してその場から走り出した。
「チッ、待ちやがれ!」
男はそう言って逃げた刹那を追う。そして他の仲間にも「怪しい奴が逃げたぞ!」と叫び、応援を呼んだ。
刹那は自分を追ってきた数人の男たちを確認し、パートナーであるユーニス・アリマプティオが罠を仕掛けて待っている場所まで誘導する。
「ユニ、いまだ!」
「はい、刹那様!」
刹那が狭い路地を走り抜けると、向かいの建物の一部に巻きつけてあったロープをユーニスは「えいや」と思いっきり引っ張った。
男たちは走ってきた速度を落とせずに、古典的な足引っ掛けの罠に嵌って勢いよく折り重なって倒れ込む。
「――やはり頭の回りが悪いな」
そんな男たちの姿をみた刹那はぽつりとつぶやいた。
「くっ、くっそーっ! 舐めたマネしやがって……」
と、男たちが低い呻き声を上げながら起き上がってくる。
「まだやる気――ならば、折角なので俺と遊んでいただこうか!」
刹那はそういうと光条兵器を使用して、赤い光を発する日本刀を顕在化させる。
「全力でサポートいたします! 刹那様、頑張ってくださいませ!」
ユーニスは刹那の後方でサポートするようだ。
刹那と男たちは睨みあい、どちらともなく動き出すと戦闘が始まった。
「チッ、ガーディアンナイツとかいうのがきやがったのか! 建物には入れるなよ!」
刹那が囮となって外の警備の何人かを引き連れて行った頃。建物前に残っていた何人かは入り口の前を固めていた。
と、そんな男たちを後目にアリア・セレスティとルナミネスが光学迷彩、隠れ身を使いつつこっそりと中に侵入しようとしていた。
その二人のサポートをするのはシルフィスティ。もしどちらかの姿がバレればスナイパーライフルで狙撃してすぐに援護できるようにしている。
その近くではリシル、千歳、リカインもいつでも飛び出せるように待機中だ。
と、アリアとルナミネスはなんとか内部に侵入成功。それぞれそのまま隠れつつ、内部の敵を排除していこうと考えていた。
だが――。
「きゃっ!?」
アリアが高崎の仕掛けておいたトラップに引っかかり、声をあげて床に倒れてしまった。
「うっ、いたたたっ」
光学迷彩で隠れていたアリアだったが、いまは姿が丸見えである。
とそこに声を聞きつけた小人達がいち早く集まってきた。
「えっ、ちょっと、なに!?」
そして小人達はどんどんとアリアの体に纏わりついていく。
「くうっ!! こ、のっ……え!? や、やだ……何を……や……いやあああぁぁっ! どこに潜り込んでるのッ!?」
小人達はもぞもぞとアリアの体の上を張って、遠慮なく服の内部に侵入していく。
「いっ、やっ、あぁぁぁんん! はあっ……あ……ぅ! もっ、もう誰かコレを取ってーッ!!」
アリアが身悶える声に男たちが集まってきた。そして男たちはスタイルの良いアリアが身悶えている姿を見てごくりと喉を鳴らす。
「へっへっへっ――お嬢ちゃん、俺たちが小人を取ってやろうか〜っ」
「いっ、いやぁぁぁっ! それはいやぁぁぁっ!!」
男たちのわきわきと動くいやらしい指がもうすぐアリアを捉えようかというその時――!
正面入り口の扉が派手に蹴破られた。
仲間の悲鳴を聞いて外の警備たちを倒して強行突入してきたガーディアンナイツたちが現れたのだ。
「大丈夫!?」
そう叫ぶリカインが、視線を向ければそこには男たちに囲まれたアリアの姿。
「あっ、あんた達――!」
女性ばかりのメンバーはその光景を目にしてキレた。
「ひっ、ひいっ――!?」
アリアを囲んでいた男たちが女たちに「死ね」とか「金髪ブタ野郎」などと汚く罵られながら瞬殺されたのは言うまでもないであろう。
マリアに張り付いていた小人たちはメンバーが協力して取り除いた。
「チッ、めんどいことになっちまったなぁ」
建物の中にいた高崎は残った3人の部下を連れて人質のいる部屋へと向かう。
「こうなったら人質を利用するしか――んッ!?」
と、人質たちがいる部屋の扉をあけた高崎は目を丸くした。それは人質を守るような3人の姿があったからだ。
「あちゃあっ、これは一本取られたのかな?」
高崎は3人を睨みつけながらそう言った。
「……そのようですな」
美央が武術の構えを取り、冷ややかな口調で高崎に答える。
「さてどうしますか?」
隼はそう言うと三又槍の光条兵器・光麟槍を呼び出した。
「これが現実、というものですわ。降参なさった方がよろしいのでは?」
そういうのはイルマ。
「そうだねぇ、降参……なんてまだしないぜッ!」
高崎はそういうと鬼のような目つきになって3人に躍りかかった。
それに続き、3人の部下たちも攻撃を開始する。
3人は散らばって迎撃。
「……その銃は危ないから下に置きなさいッ!」
美央はそう叫びながら飛び交う銃弾に臆することなくランスバレストを応用した突撃技で銃を使うザコの懐まで潜り込み、強烈な一撃をお見舞いする。
「そっちのあなた達もです!」
と、美央は息もつかせぬ間に拳と足の連続攻撃を繰り出し2人のザコもノックアウトした。
「あなた達はもう死んでいます……嘘です」
「ちっ!」
隼と戦いながら、美央の姿を見ていた高崎は舌打ちをする。
「よそ見をしていると怪我をしますよ!」
そこへ隼の放った突きが飛び込んできた。高崎はその一撃を雅刀で横にいなす。
「……あーあっ、もうおしまいかね」
と、高崎は回りの状況をみてそうつぶやいた。
そして観念したかのように武器を落とす。
「なーんてねッ!」
と、高崎は光条兵器で銃を生じさせ、人質に狙いを定めて引き金を引いた。
3人が驚いてその弾の行方を見ていると、弾丸は人質に当たる前に光となって消えた。
「じゃあな、ガーディアンナイツ!」
高崎のそういう声が聞こえると共に窓ガラスが大きな音を立てて割れた。ハッとなって部屋の中を見て見るともう彼の姿はどこにもなかった。
「……逃げられましたか」
隼がそうつぶやいた。
「隼、無事か!?」
と、リシルが一番に人質達の部屋に駆けつけてきた。
「ええ、自分も人質の方々もみんな無事ですよ」
隼はリシルにそう答える。
その後ガーディアンナイツのほかのメンバーも駆けつけて互いの無事を確認しあう。
こうしてブラボーチームも人質の救出に成功した。
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