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結成、ガーディアンナイツ!

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結成、ガーディアンナイツ!

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ACT3 第3の影


 ガーディアンナイツたちが町の入り口にやってきた頃とほぼ同じ時刻。
 サンドタウンの出口側にはヴェルチェのパートナー・クリスティから『”ガーディアンナイツとかいうミルザムの犬たちが、パラ実の縄張りを狙ってるわよ♪”とヴェルチェ様からのご伝言です』という連絡を受けた自由無法同盟のガートルード・ハーレック(がーとるーど・はーれっく)がパートナーのシルヴェスター・ウィッカー(しるう゛ぇすたー・うぃっかー)、同じく自由無法同盟の高崎 悠司(たかさき・ゆうじ)とハーレック興業の子分を引き連れミスターカメレオン側に協力するためにやってきていた。
「なっ、ななっ、なんなんだアンタらは?」
 出口側の見張りをしていた男は突然現れた大部隊に目を白黒させながらもそう言った。「俺たちは自由無法同盟だ。同じパラ実生のミスターカメレオンに協力するためにやってきた。ガートルードはパラ実D級四天王でこの同盟の代表だ。おまえみたいな奴でも聞いたことくらいはあるだろ?」
 そう見張りに説明するのは高崎。端整な顔立ちをしているが瞳がどこか気だるげだ。
 そして高崎が自由無法同盟の代表として説明したガートルードは長身艶美な白人女性だ。
 何事にも動じなさそうな青い瞳が見張りを射抜いている。
「ガートルード・ハーレック……」
 見張りの男は本物は見たことはなかったが、名前だけは聞き及んでいた。
 ガートルードはハーレック興業という組織を持っているので荒野でもそれなりに名前は知られている。
 そして何より、実際目の前にこれだけ多くの部下を引き連れてきているという事実が見張りを信用させた。
「わっ、わかりました。歓迎しますぜ自由無法同盟の皆さん。しかし、こんな大部隊を引き連れてきて一体何事です? 戦争でもおっぱじめるんで?」
「……そうです」
 と、今まで黙っていたガートルードがおもむろに口を開いた。
「ミルザムの私兵がこの町を狙っているのです。これはパラ実に対する明らかなる敵対行為……すぐにミスターカメレオンにも連絡してください。ミルザムの犬どもはもうすぐそこまで迫っています」



ACT4 人質救出作戦


 サンドタウンに侵入し、人質救出へと向かうガーディアンナイツたち。
「……妙だな」
 と、辺りを警戒しながら進んでいたトライブは思わずそう言葉を洩らす。
 だがそう感じていたのはトライブだけではなく、他のメンバーも同じだった。
 青年の話で聞いていた町を巡回している者たちの姿が見当たらないのだ。
「敵の罠か?」
 物陰に隠れながら先行するアルフレートの後を追い、後に続くものにサインを出しながら進んでいたローザマリアはそんな勘繰りをする。
「――んっ?」
 と、先行していたアルフレートが足を止めて後ろに”止まれ”と合図を送った。
 商人に化けて屋敷に向かっていたエンリルや光太郎、エヴァルトたちも物陰に身を潜めている。
 ローザマリアはパートナーと共にアルフレートの側へと素早く動くと状況を尋ねた。
 するとアルフレートは首を振って、前を見るように促す。
 ローザマリアが前を窺うと、人質が囚われている屋敷の前でひとりの男が見張りだと思われる男達に囲まれていた。
 ガーディアンナイツのメンバーは一旦身を隠し、事の成り行きを見守る。
「何度も言うようだが、オレはミスターカメレオン氏に面会を希望している。帰ってくるまで待たせてもらいたいだけだ」
 多く屈強な男たちに囲まれながらも臆した様子を微塵も浮かべない精悍な顔つきをした国頭 武尊(くにがみ・たける)
 彼はヴェルチェのパートナー・クリスティから『”ミスターカメレオンとかいうパラ実生がキマクへ向かう巡礼者にも手を出してるみたいよ♪”とヴェルチェ様からご伝言です』という連絡を受け、それを止めさせるためキマクから話し合いの為にやってきたのだった。
 だがカメレオンの部下たちには信用してもらえずに立ち往生をしていた。
「その人は私の知り合いです。手荒なマネはやめてください」
 と、そこへ助け舟を出す声。
 国頭が男たちの間から声のした方を見れば、そこにはガートルードと部下たちの姿があった。
「なんだテメェらは!?」
 国頭を囲んでいたうちのひとりが語気を荒げた。
「……ガートルード・ハーレック、どうして君が?」
 国頭がぽつりとつぶやく。
 先ほど語気を荒げていた男はその名を聞いて、表情を大きく崩す。
 と、出口の見張りをしていた男が前に出てきて仲間たちに事情を説明し始めた。
 ミスターカメレオンの部下達はその説明で、なんとか状況を把握はしたが理解は上手くできなかった。
「ガートルード、たぶんガーディアンナイツの奴らは人質の解放を狙ってくる。一箇所に集めておかずに分散させた方がよくないか? そうすれば全員奪還されることもないと思うんだが――」
「そうですね。では、すぐに人質たちを分散させて部下達を警備に当たらせてください」 だがそんなミスターカメレオンの部下達を後目に高崎とガートルードは話を進め、人質を分散させる。
 屋敷にいた人質のうち数人が外へ出され、どうやらどこかに向かう2組といままで通り屋敷に残される3つに分けられるようだ。
「あたい達も警備に付くよ。ガーディアンナイツとかいう奴らが来たら、一発ぶちかましてやりたいからねぇ」
 と、そう言うロッテンマイヤーは凶悪な笑みを浮かべる。
「人質を他の場所に移す気か?」
 そんな様子を見ていたローザマリアはつぶやく。
「いま外に出ている人質の数を数えたが青年から聞いた人質の数と合わない――ということは、あの屋敷にもまだ何人か人質が残されていることになるな」
 ローザマリアと一緒に敵の動きを観察していたアルフレートはそういうと眉をしかめる。
 と、ローザマリアが所持していた携帯が静かに着信を告げる。相手は少し後方で様子を覗っている玖朔だ。
 通話ボタンを押して、ローザマリアはその通信を受ける。
『ローザマリア、あれは敵の援軍か? 公社の説明ではあんなに人数がいるとは聞いていなかったが……』
「状況が変わったんでしょう。恐らくツァンダに助けを求めにきた青年が逃げ出したことがバレたか何かして相手は人員を増員したのかもしれないわ」
『確かにそう考えるのが適当だな。それと現在奴らは何をしている? こちらから視認する限りでは人質を外に出しているようだが?』
「どうも人質を3つに分散させる気らしいわね。だからこちらも戦力を分散して事に当たらないと――玖朔、悪いけど他のメンバーを集めてくれる。チーム分けをしたいの」
『了解だ』
 玖朔はそう答えると通信を切って他のメンバーに集まるように合図を送る。
「リンクス、あなた達が事を決めるまで私が相手の状況を偵察します」
 と、玖朔のパートナー・ハヅキがそう声をかけた。
「ああ、頼む」
「ハイ」
 玖朔に了承を得ると、ハヅキはこくりと頷いて敵に気付かれぬように前線へと向かう。 こうして人救出班のガーディアンナイツたちは一旦集まり、ローザマリアの提案でアルファ、ブラボー、チャーリーの3チームに別れることになった。
 ローザマリアはツァンダで入手した通信機をそれぞれのチームの者に渡し、救出に成功あるいは失敗した場合などにはチーム間で連絡を取り合うことを約束する。
 と、玖朔の携帯がハヅキからの着信を告げた。
『リンクス、敵が動きました。外に出されていた人質たちを移動させています』
「了解だ」
 玖朔は通信を切って、仲間たちに敵が動き出したことを知らせる。
 そしてガーディアンナイツたちは無言で瞳を合わせると頷きあい、それぞれのチームに分かれて行動を開始した。