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リアクション
準備の為にツァンダ市内へと出た今回ガーディアンナイツとして参加するひとり毒島 大佐(ぶすじま・たいさ)は、パートナーであるプリムローズ・アレックス(ぷりむろーず・あれっくす)とジギタリス・ハワード(じぎたりす・はわーど)に罠を仕掛ける為の材料を集めさせる。
「貴様ら、トラップの為の材料を素早く的確に集めるのだ!」
女装した姿でそう命令を下すのは毒島。
「わかりましたー」
そう答えるのはパートナーであり、恋人でもあるプリムローズ。
ニッコリと笑ったときに覗く八重歯が可愛らしい女の子である。
「酒を飲みすぎて頭が痛ぇ……ということで私は寝る」
と、毒島の元から逃げ出そうとするのはジギタリス。
一見すると普通の女にも見えるが、頭とお尻に生えている耳と尻尾からパンダの獣人であることがわかる。
「またんかジギタリス・ハワードッ! 我の命令に背く気か?」
と、逃げ出そうとするジギタリスをギロリと睨む毒島。
毒島の瞳が逃げたらどうなるかをジギタリスに物語る。
「わかった。わかったよ、あんたの言う通りにするって」
逃走に失敗したジギタリスは渋々と毒島の命令通りにすることにした。
「さて、俺たちも用意をしますか」
毒島たちのやりとりを遠目で見ていた御凪 真人(みなぎ・まこと)は、そういうと日用品などが売っている普通の店へと入っていった。
「真人よ、こんなどこにでもある平凡な店に入って何をしようというのじゃ?」
そんな真人に付き添って店に入ったパートナーの魔導書、名も無き 白き詩篇(なもなき・しろきしへん)は店の中を見回しながらそう言った。
「……白、お店の人に失礼ですから店内でそう言うことは言っちゃダメですよ」
「そうなのか? わらわは見たままの事実を言うただけなんじゃがなぁ」
真人の言葉に、首を傾げる白。
小柄でどこかはかなげな印象のある白は黙っていれば可愛いのに――というのは真人の心の声。
だが毒舌というかハッキリと思ったことを言えるのは白の良い所でもあると真人は思っていた。
「しかしこの店でおぬしは何を買うのじゃ?」
「えっと今回俺は行商に化けようかと思っているので、ヘアスプレーとかワイヤーとかそう言うものを買って行こうと思いまして」
「ふむっ、そんなもの持っていって何をするのじゃ?」
「そうですね。ヘアースプレーは敵に向かって投げつけて白の火術で爆発させればそれなりに効果のあるものになると思いますよ」
「ふむっ、相変わらず色々と考える奴じゃの」
「どうもです。じゃあ、お買い物のお手伝いよろしくお願いしますね、白」
「うむっ、わかったぞ」
真人と白はそういうと店の奥の方へと入っていった。
と、その二人が買い物をしている店の前でおりゃーっ、と拳を振り上げて気合を入れる男の子がひとり。
「よっしゃぁっ! 今回は騎士として、悪を倒して民を守るぞっ!!」
茶色の髪に緑の瞳、開いた口から覗く八重歯がやんちゃな印象を与えるこの男の子はテディ・アルタヴィスタ(てでぃ・あるたう゛ぃすた)という。
そしてこのテディの契約者皆川 陽(みなかわ・よう)はというと――。
「あわわっ、テディ。お店の前でそんな大きな声ださないでよ」
勢いの良すぎるパートナーを止めようと側で手をぶんぶん振っていた。
野暮ったいメガネをかけたこの陽は村人Aと呼ばれても違和感のないようなとても普通な男の子だ。
「なんだよ、陽。君は僕のヨメなんだからちょっとは応援してくれてもいいだろ?」
「おっ、応援するよ。応援するから恥ずかしい事はやめて」
「わかった、やめる。で、今回僕たちはどうするの?」
「えっと、そうだね。ボクはそのまま商人に化けて、テディは護衛の騎士になって潜入……なんていうのはどうかな?」
「わかった。じゃあ色々と用意しよう!」
「そうだね」
陽はテディが言うことを素直に聞いてくれてホッと胸を撫で下ろす。
そして二人は買い物へと出かけた。
ガーディアンナイツの面々はこのように買い物などをして用意を整えていた。
一方、先ほどまで皆が集まっていた公社の部屋に残って事情説明をした中年の髭男に声をかけるものがいた。
「すまないが今回ツァンダ家に助けを求めにきた青年に話を聞きたいのだが……」
そう言うのはアルフレート・シャリオヴァルト(あるふれーと・しゃりおう゛ぁると)。
銀色の長い髪をした彼女はサンドタウンからきた青年に町のことや人質の囚われている屋敷についてのもっと詳しい情報を得ようと考えていた。
「わかりました。少々お待ちください」
中年男はそういうとアルフレートを残して部屋を出て行く。
「有益な情報を得られればいいな」
と、アルフレートの後ろに控えていた巨漢のドラゴンニュート――彼女の相棒であるテオディス・ハルムート(ておでぃす・はるむーと)はそう言った。
「……ああ」
それにアルフレートは短く答えた。
と、アルフレートたちの他にその部屋にいた人物。
霧島 玖朔(きりしま・くざく)とパートナーのハヅキ・イェルネフェルト(はづき・いぇるねふぇると)は、今回協力して事にあたるローザマリア・クライツァール(ろーざまりあ・くらいつぁーる)とそのパートナーグロリアーナ・ライザ・ブーリン・テューダー(ぐろりあーならいざ・ぶーりんてゅーだー)と挨拶を交わしていた。
「今回はよろしく頼む」
「……よろしくお願いします」
そう言うのは玖朔とハヅキ。
「こちらこそよろしく」
「うむっ、苦しゅうない」
それに答えるのは姿の似ているローザマリアとグロリアーナ。
4人は挨拶を終えるとさっそく本題に入る。
「さて、さっそくだけど今回私たちは人質救出に向かおうと思ってる」
「了解だ、ローザマリア。今回は連携して動こう」
「ええ、そうね。それには連絡用の携帯なんかが必要よね」
「ああっ、そう思って一応俺たち4人の分は用意してきた」
「あら、用意がいいのね。でも私たちだけじゃなくて他のメンバーとも連携が取れるように幾つか通信機が欲しいわ」
「ふむ、そうだな。じゃあ街に行ってみるか」
「ええっ、そうしましょう。他にも手に入れたいものがあるしね」
二人はそう言いながらパートナーを連れて部屋を後にする。
所変わって再びツァンダ市中。
小さな冒険者の店。
「すまないこの店から『叢雲の月亭』の名前で、独立傭兵団『風の旅団』に依頼を出してもらいたいんだが……」
その店に入り、カウンターにいた男に依頼料を渡しながらそう言うのは独立傭兵団『風の旅団』の一員でもあるエンリル・アメレタト(えんりる・あめれたと)。
「それはかまわんが、どのような内容で?」
「ええっと、サンドタウンの――」
シャンバラ荒野で行商として活躍するエンリルは、サンドタウンの町をよく利用していたひとりだった。
最近サンドタウンによくない噂があるのを知って独自に色々調べていたが、今回その件でミルザムが動くという情報を得てエンリルはそれに便乗。
そしてサンドタウンの現状を知り、自分が所属する独立傭兵団『風の旅団』にもサンドタウン奪還の協力を要請しようと依頼受け付けの窓口であるこの店にやってきたのだった。
「――という依頼を頼む。報酬はここにある金で」
エンリルはカウンターの男に依頼内容を告げると公社で受け取った経費をカウンターにおいた。
「わかった、依頼は受け付けたぜ。依頼人の名は『叢雲の月亭』でいいんだな?」
「いいや、『叢雲の月亭』のエンリル・アメレタトで頼む」
「あいよ、アメレタトさん」
依頼を受け付けたカウンターの男は連絡を入れるために奥に引っ込んでいく。
そして数分後。戻ってきた男がエンリルに言った。
「またせたな、アメレタトさん。あんたの依頼は風の旅団の団長さんが受けてくれたよ。団長さんは先にサンドタウンに行ってるそうだ」
「そうか、わかった。ありがとう」
エンリルはカウンターの男にそう礼を言うと、店を後にした。
店から出たエンリルは通りを歩いていく。その通り沿いに一軒のカフェテラス。
そこで何やら相談をしている女の子の集団――カサブランカの騎士団一行である。
「今回はミルザムの方が正当性では分があるみたいですわね。ですから私たちカサブランカの騎士団はガーディアンナイツに協力をすることにしますわよ」
そういうのは亜璃珠。
そしてカサブランカの騎士団は今回どう動くのか話し合いを始める。
色々と話し合った結果、カサブランカの騎士団はガーディアンナイツ本隊とは離れた場所に待機してカメレオン一味を背後から強襲する別働隊として動くことになった。
ガーディアンナイツ本隊と行動して騎士団に連絡を入れる係は舞とブリジットが務める。
ちなみに今回の戦いには向かいというので明子のパートナー六韜はお留守番ということだ。
「うぅ、私もご一緒したかったです」
しょんぼりと肩を落としてそういう六韜。
明子はそんな六韜を頭を撫でながら言った。
「ごめんね、でもあなたはいい子だからわかってくれるわよね」
「……はい、今回は大人しくしております」
そんなこんなで作戦を決めたカサブランカの騎士団。
次に彼女たちは余った時間でカフェのおいしいケーキと紅茶を堪能することを決めたようだ。
そんなカサブランカの騎士団一行の前を通り過ぎていく三人。
ヴェルチェ・クライウォルフ(う゛ぇるちぇ・くらいうぉるふ)とそのパートナークレオパトラ・フィロパトル(くれおぱとら・ふぃろぱとる)、クリスティ・エンマリッジ(くりすてぃ・えんまりっじ)である。
「のう、ヴェルチェ。お主本当にガーディアンナイツとして人助けをする気なのか?」
と、公社でもらった金を数えながら前を行くヴェルチェを不信感を持った青い瞳で見つめながらそう言うのはクレオパトラ。
しかし彼女はなぜ契約者であるヴェルチェにそんなことを聞くのかと言えば――。
「もうっ、なに言ってるのよクーちゃん♪ 人助けなんてお金にならないことなんかあたしがするわけないって事くらいわかってるでしょ?」
このヴェルチェという女はこういう人間だからであった。
「ヴェルチェ様。では今回はどうするおつもりなのですか?」
顔の右側をピンクの髪で隠したクリスティは小首を傾げてそう訊ねる。
「いいこと聞いてくれたわね、クリス。今回は途中まではガーディアンナイツとして活動して、色々みんなが頑張ってるときにあたし達はミスターカメレオンたちが溜め込んだお宝をゲットしちゃうのよ♪」
「漁夫の利を狙うわけじゃな」
「やぁ〜んっ、クーちゃん♪ エジプト人の英霊なのに難しい言葉知ってるのねぇ」
そう言ってヴェルチェはクレオパトラを抱きしめた。
ヴェルチェの大きな胸の間に顔を挟まれたクレオパトラは言葉にならない声をあげる。
「ということは、皆様が騒げば騒ぐほど良いと言うわけですね?」
「そういうことよ、クリス」
「では誰かお知り合いの方にご連絡致しましょうか?」
「うーんっ、そうねぇ……色々ややこしくなってくれた方があたし達の仕事はやりやすくなるわけだし、それはいい考えだと思うわよ」
「ありがとうございます、ヴェルチェ様。ではさっそく今回動いていただけそうなお知り合いの方にご連絡させていただきます」
「えぇっ、頼んだわよクリス。あっ、わかってると思うけどあたし達が何をするかは言ったりしちゃダメよ♪」
「心得ております」
「じゃあ、お宝を運ぶための乗り物なんかを探しに行くわよ♪」
そう言うとヴェルチェはおーっと腕振り上げた。
と、こんな様子でガーディアンナイツの面々をそれぞれ準備を進めていった。
そしてあっという間に出発の時間。
ガーディアンナイツの面々はツァンダ公社の商隊を装い、サンドタウンに向かっていった。
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