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リアクション
観客席にて
「へへへ、やっぱ生で見に来てよかったぜ」
【邪気眼レフ】越しの世界を堪能しつつ、霧雨 泰宏(きりさめ・やすひろ)が緋柱 透乃(ひばしら・とうの)、緋柱 陽子(ひばしら・ようこ)の方を向いた。
泰宏は自分の決死の過ちに血の気が引いたが、隣に陽子たちが居なくてほっとした。
「あぶねぇ……陽子さんの裸見たら殺されるところだった」
しかし、ふと思う。二人は何処へいったのだろうと。
「まさか……、ヤベェ……!」
廊下にて。鏖殺寺院の構成員二人が連絡を取り合っていた。
どうやら、骨女が呪いを一段階進めたらしい。残すは後三段階。何処でしかける? 今度のチャンスはいつだ? 歌合戦の会場に工作した。などと話していた。
そんな二人に静かに近づき、透乃は気づかれる寸前を《行動予測》。烈火の戦気により、一人の頭を左手で殴り飛ばした。捩れるようにして構成員は壁にめり込む。
「あっちゃー。ちょっと強すぎたかな〜。うーん相手が弱いとうまくいかないなぁ」
コレでも手加減したとのことだが、殴られた相手は動きそうにない。構成員から情報を聞き出すつもりだったのだが……
「怯えてますね。これじゃ、マトモに話してくれそうにもないです」
と陽子が結論づける。どうしましょうかと困った顔。そしておもしろい事を思いつく。
「透乃ちゃん。ちょっとその子抑えてもらえます?」
そう言って、陽子は透乃に捕まった構成員へと近づくと、彼に【アンデット:レイス】の【朧】を遣って自白の脅しをかけた。
「まだまだ行きますよ」
怯える彼に更に《ヘアボミネーション》《その身を蝕むも妄執》で畏怖と幻覚の世界に入れようとする。これで、彼がどうなるかが見てみたい陽子。
と、透乃と陽子めがけて【リターニングダガー】が飛来する。咄嗟に構成員を放して、二人は退避する。
《隠形の術》者を見つけようとするが、攻撃の主を見つけられない。構成員は離した隙に、色々なものを垂らしながら廊下を駆け抜けていった。
「やっと見つけた……」
構成員に入れ替わるようにして、泰宏が息を切らして二人の前に現れた。
そして、目の前の現状に天井を仰ぎみた。
「あちゃー、遅かったか……」
壁にめり込む構成員をどうしようかと、泰宏は必死に悩んだ。
透乃たちから構成員を一人逃した辿楼院 刹那(てんろういん・せつな)。彼女は怯える構成員の彼を誘導し、外へと連れだした。こうも怯えていては使い物にならないと判断してのことだ。
「このまま裏手からスタジアムの外へいくのじゃ……おい!」
刹那が彼の異変に気づく。
黒かったはずの彼の髪は白く染まっており、その顔がしわがれてしまっていた。しかし、思考は――
「あーうーだーぁー」
幼児化し、刹那に向かって赤子の用に手を伸ばしてきた。
「――、もうダメなようじゃな……」
刹那は彼を諦めて、別の構成員の手助けに向かった。
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