リアクション
● 『普通に参加してもつまんないから、逆にお化け役の人をおどかして遊ぼうぜ』などと、いかにもひねくれた考え方の遊びを提案したのは、奈落人の物部 九十九(もののべ・つくも)だった。 彼女が憑依するのは、自分の契約者である鳴神 裁(なるかみ・さい)である。九十九が憑依している間、裁の左目は金色に変わる。これで性格も変化するなら、判別がつきやすいのだが、元々浮遊霊のような存在であった九十九は、契約の際に裁の人格をほとんどコピーした状態にあった。そのため、瞳の色以外はまるで裁と変わらないのであった。 そんな九十九とパートナーのアリス・セカンドカラー(ありす・せかんどからー)、ドール・ゴールド(どーる・ごーるど)たちはただいま…… 参加者の女性たちに悪戯を仕掛けている夢安組と遭遇していた。 「うひゃ〜、なにするのですか〜?」 人間の姿で参加していたドールが、お化け工作員の仕掛けた罠に引っかかる。紐に足を引っ張られて、木の枝から吊るしあげられていた。 「な、なんでこんなものがあるのですか〜?」 ジタバタと暴れるドール。 そんな彼女に、お化けたちはだらしない笑みで近づく。カメラも持っているところを見ると、どうやらいかがわしい写真でも撮る気でいるようだ。 だが、彼らの前に二人の女性が現れた。 裁とアリスだ。彼女たちは、どこか妖艶な笑みを浮かべ、男たちの官能を誘うように近づいた。歩くたびに、短いスカートの裾がなびいて、興奮を誘う。 「ふっふーん、気になっちゃう感じ?」 裁はスカートの裾を掴んでそれをヒラヒラとさせ、悪戯っぽく言った。 そして、彼女はちらりとドールに目を向ける。 「そのこ、ボクの魔鎧なんだけどぉ、インナー型なんだよね。この意味わかるぅ?」 工作員の男たちとて馬鹿ではない。 そこまで言われれば、言わんとすることは十分に分かった。つまり、裁のスカートの中には……と、想像を膨らませて、彼らはごくりと息を呑む。 ただ、もちろん、裁はしっかりと下着は穿いている。男たちの視界ではスカートの奥が見えそうで見えないため、それが余計に想像を駆りたてているのだ。 ついでに言えば、裁の隣にはアリスがいるのだ。 幼い容姿をした吸血鬼だが、男たちのなかには、そんなロリっ子属性の一部需要もあるようだ。はぁはぁと、荒い息を立てている者もいる。 「そんなにアリスと遊びたいの?」 アリスが上目づかいに言った。 こくこくっと、男たちはうなずく。 「それじゃあ――」 二人は笑った。にたり、と唇が歪む。 「魂まで絞り取ってあ・げ・る」 「は…………」 男たちが惚けた声を漏らす。 次の瞬間、彼らの期待は無残にも引き裂かれ、絶叫が森に響き渡った。 しばらくの後、空らは茂みのなかで悪夢にうなされていた。どうやらしびれ粉でしびれさせられたあげく、吸精幻夜による悪夢を見せられているようだ。 はじめは可愛らしい女の子に悪戯してご満悦だったが、それがいつの間にかご年配の老婆相手に変わって、自分たちを追いかけまわしてくるらしい。捕まった後で彼らが受けた仕打ちは、表記できそうにもないのでご想像にお任せしよう。 「アリスも九十九も笑って見てないで…………た〜す〜け〜て〜」 その後、アリスと九十九は泣きながら助けを乞うドールを、しばらく放置して楽しんでいた。 ● |
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