First Previous |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
13 |
Next Last
リアクション
ヘリオポリス
〈おい、起きろ!〉
通信から声が響く。真司は目を開けると額に痛みを感じた。頭をぶつけたらしい。
〈やっと、目覚めたみたいだね〉
とアニス。
「ここは何処だ?」
呼びかけていた和輝に尋ねる。ヴェルリアを起こす。機体の損傷を確認。安全装置が作動して、不時着時の損傷は軽いようだ。
〈さぁな? ドールズの本拠地ってなら、そうかもしれないな〉
機体のカメラをオンにする。周りを見渡すと、そこには、大量のイコンの残骸……いや、ドールズの残骸が辺りを覆い尽くしていた。
ここが街であるのは確かだが、廃れている。機械の残骸まみれで、誰も居る筈もない場所だった。空も大地も途中で空間的に寸断されている。
「真司、アレは何?」
ヴェルリアの指す方角には、巨大な塔があった。
街の作りといい、塔といい、ここはオリュンズとよく似ている。
それは、巨大なオベリスクだった。
「みゆうから……連絡、あった……」
プリム・フラアリー(ぷりむ・ふらありー)はオリュンズで伝承について調査していた未憂からの情報を梓たち、捜索隊員に教えた。
「確かに怪しいな。佐野たちはその有るはずのない都市に取り込まれたってわけか」
梓の言葉にプリムは頷く。
〈二機が消えた場所は間違いなく怪しいですよ。魔導レーターには二機の反応があるってのに、肉眼じゃ捉えられない〉
{ICN0003215#21式装甲兵員輸送車}から、レギーナ・エアハルト(れぎーな・えあはると)が情報を伝える。
〈あっしも気になるんで、その辺りの植物に《人の心、草の心》してみたんですが。植物たちはこの先に大きな建物があるって言ってるです〉
またたび 明日風(またたび・あすか)も訝しげだ。
「けどよ、そこには何も無いんだろう? 何もない場所からどうやって2機をだすってんだ?」
〈決まってんだろう?〉
恋人の疑問に、キングクラウンに何かを仕掛けているナガン ウェルロッド(ながん・うぇるろっど)が答える。
〈見えないんだったら、炙り出しだ〉
ツーク・ツワンクに吊るされているクラウンは笑って答えた。
〈さぁ、みなさん。遠慮は要りません。ありったけの火力をぶち込んで下さい〉
道化が甲板でマイクを取り、ケタケタと笑っていた。
ナガンの作戦はこうだ。
見えない都市が有るらしい座標に対して、集中砲火をする。それだけだ。
そこがドールズの本拠地である可能性は高い。隠れているなら、隠れていられなくしちまえばいい。どんな仕組みで隠れているのか知らないが、その仕組もぶち壊してしまえば、眼前で丸裸だ。
「もっともっと、撃ちこんで。右舷、弾幕薄いよ。何やってんの!」
とか梓もふざけたことをやっていたら、本当にドールズが現れてしまった。
空間が揺らぎ、距離感が変わる。
単なる一点に過ぎなかった場所に、広大な都市の全相が現れた。
〈バイヴ・カハ、グレイゴースト、両機確認。両機パイロット応答を!〉
リネンが通信を試みる。直ぐに返事が来る。
〈こちら、アニスだよ。どうしたのこれ?〉
いきなり、空間が揺れてドールズが現れたと思ったら、部隊が交戦している。訳が分からなかった。
〈敵の障壁壊したんだと思う。早くそこから離れて、また閉じ込められるわよ!〉
〈わかった! 和輝、にっげろぉ〜!〉
2機のブーストにアフターバーナーが灯る。
グレイゴーストはグレネードとミサイルを切り離し、機体を軽くする。バイヴ・カハは高速移動を使用。離脱を図る。
〈ドールズは俺たちが惹きつけておく!〉
〈やっと出番ですか〉
〈まったくよく寝てしまったのだよ〉
パワードスーツ搭乗の三船 敬一(みふね・けいいち)、白河 淋(しらかわ・りん)、コンスタンティヌス・ドラガセス(こんすたんてぃぬす・どらがせす)が対神像ロケットランチャーとパンツァーファウストで砲撃支援する。
〈道を開けるわ! 横に反れて!〉
ジェファルコンがドールズの正面に立つ。
リカイン・フェルマータ(りかいん・ふぇるまーた)はソニックブラストを発動させる。ドールズの動きを鈍らせると、情報を聞いていた。
〈二機が戻ったわ! 全員撤退!〉
ヘイリーが全機に号令を掛ける。弾幕を貼りつつ急速旋回。全員が逃げの体制に入る。
「それじゃ、最後に、ドールズの皆様にこの前のお礼でございます。チネーーーーーー!」
ナガンはポッチと、キングクラウンのワイヤーロープを解除した。
ブレストクレイモア4つと機晶爆弾を詰め込んだ、キングクラウンは、地上に落ちると同時に、大爆発を起こした。
First Previous |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
13 |
Next Last