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裏・エピローグ:エリシーヌ


「来たわね、みすみ……」
 シャンバラ大荒野の片隅。
 種もみを配り終えてやってくるみすみを見つけて、エリヌース・ティーシポネー(えりぬーす・てぃーしぽねー)は、不敵に微笑む。
 みすみは、エリシーヌの目の前でぴたりと立ち止まった。
「待たせた?」
「みすみを待っている時間なんか、あっという間よ」
「そう……」
「最強になったのね?」
「まだまだよ。私の旅は終わらないわ」
 言いながらも、みすみは種籾戟を構える。
「やるんでしょ。早いところ済ませてしまいましょう」
「たいした自信じゃない……」
 種もみ剣士にしてみすみのライバルたるエリシーヌは、一騎打ちにおいてどちらが最強かを決める事を望んだ。
「あたしを倒せなかったら、新たな英雄クラスを倒すなんて夢のまた夢よ!」
 それに応え、迎え撃つみすみ。
「じゃあ、倒すしかないわね。何があっても恨まないでね」
 二人は戦い始める。
 カンカンカン! と何十合にもわたって、長い間二人は打ち合い続ける。全ての技をぶつけ合って。
 やがて。
「ここまで、ね。あたしの勝ち、よ」
「……」
 倒れたみすみに、エリシーヌが種籾戟を突きつける。
「まだよ。まだ終わってないわ」
 立ち上がるみすみに、エリシーヌは宣言する。
「いいえ、もう終わりよ。あなたはもうあたしには勝つことができないの」
 再び戦い始める二人。
「あたしは、みすみに勝つために磨き続けてきたわ。みすみの最強のライバルとして、みすみの最凶のライバルとして、みすみを倒すためだけに」
「……」
「みすみの技は全て見切っているわ。みすみの戦い方は全てわかっているわ。徹底的に研究してきたんだもの。あなたの攻撃はもう絶対に私に当たらないわ。みすみは、もうあたしに勝てないのよ」
「そう……だったの」
「さあ、終わりにしましょう。これからは、このエリシーヌが種もみ剣士最強よ!」
「ところがね、そうはいかないのよ」
 みすみは打ち返す。
「残念だけどねエリシーヌ、逆よ。あなたは私には絶対に勝てない」
「言うじゃない。けど、そんな台詞はせめてあたしを地べたに這い蹲らせてからにして」
「その理由はね、私とあなたでは見ているものが違うから」
「?」
「あなた、私のことしか見ていないじゃない。でもね、私は違う……」
 みすみは、ドンッと種籾戟をエリシーヌの胸に突き立てる。
「……そんな! ……どうして……」
「ごめんね、エリシーヌ。私はもっと遠くを見ているの。LV100のその先を。いまだかつて誰も到達できなかったであろう、その限界を超えた先に何があるのか……。私はその果てまで辿り着きたいから……」
「……凄いじゃない、みすみ。さすがあたしのライバル、ね……」
 ごふり、とエリシーヌは血を吐く。
「そっか……、見ているものが、違ったのか……。これは……勝てない、わ……」
 エリシーヌは倒れた。
「完敗よ、みすみ……さようなら……」
 そう残して、エリシーヌは苗床になる。
「さようなら、そして、ありがとう……」
 みすみは、一度だけ振り返った。
 その視線の先には、エリシーヌを回収に来た鬼崎 朔(きざき・さく)の姿があった。
 ペコリとそちらに一礼して、みすみは身を翻す。
 その先の世界を目指して。
 また、歩き始める……。

担当マスターより

▼担当マスター

車 修理

▼マスターコメント

 はじめましての方もお久しぶりの方もこんにちは、車 修理です。いつもお世話になっております。
 はい、今回はNPC無双です。特にみすみ。強いです最強ですよ、色々と。
 前作から来られたみすみファンの方も多く、「これ、自分が扱ってよかったのだろうか?」と。
 で……、案の定かなり濃いめになってしまったわけですが。「こんなのみすみじゃねぇぇぇぇぇ!」「オレの儚くて可愛いみすみを返せぇぇぇぇ!」と呪いのお返事が来ませんように……。
 他のNPCも濃いめに味付けにしたりしてみましたが、いかがだったでしょうか。
 とはいえ、NPCはあくまで調味料なわけであります。本来の料理は皆様のPCなわけでありまして、NPCに負けないほどの味が出ていればいいのですが……。
 また、前回までは全員に称号を贈っておりましたが、今回は一部の方のみになりました。ご了承ください。あれ作るの結構労力要しますので。いやもちろんそれをするのがGMの仕事なのですが……。
 いずれにしろ、楽しんでいただければ幸せこの上ありません。
 それでは、またお会いできる時を楽しみにしております。