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「くくく……よくぞここまで来たな。憎きドクター・JAMの手先どもめ!」
 ウイルスの親玉を追う一向がたどり着いた先にいたのは、ドクター・ハデス(どくたー・はです)だった。
「何故、あなたがここに」
「憎きドクター・JAMってどういうこと?」
 アキラたちと途中で合流したセレンフィリティと、遠野 歌菜(とおの・かな)らがハデスに問う。
「フハハハハ! 我が名は世界征服を企む悪の秘密結社オリュンポスの大幹部、天才科学者ドクター・ハデス! 蒼空学園の図書館サーバーにウイルスを仕掛けることなど容易いこと!」
「な、なんだってー!」
「キキキキイー!」
 ハデスの言葉に、ウイルスたちも驚いている。
 勿論、全て、ハデスの妄想だ。
 しかし、妄想でも思い込んだら止まらない。
 ウイルスたちはハデスに押され、いつの間にか彼がラスボスのような立ち位置になっていた。
「ちなみに、JAMが憎いのは、キャラが被っているから!」
 堂々と宣言するハデスだが、その体は円筒形の鉄の鎧に平べったい帽子。
 JAMのプログラムでゴミ箱と合体したため、帽子の上には生ゴミが乗っている。
「さあ行け、かび……ウイルスたちよ!」
「キキー!」
 ハデスの指示に、思わず従うウイルスたち。
「来たわね。悪いウイルスはお仕置きです! 魔法少女、マジカル☆カナ、参ります!」
 歌菜の姿が光に包まれる。
 彼女の周囲に白い壁がふたつ、現れるた。
 それが、ばしゅっと彼女を挟む。
「マジカル☆カナ、サンドイッチバージョン!」
「あ、被った」
 同じくパンを見に纏い、サンドイッチと合体したセレンフィリティが思わずつぶやいた。
「あっ、ごめんなさい。……良かったら、一緒に戦わない?」
「もっちろん!」
 サンドイッチとサンドイッチが、手を組んだ!

「キキキキキイイ〜!」
 ウイルスたちの一斉攻撃が、アキラのイナゴたちを蹴散らす。
「ぐっ」
 イナゴにダメージを与えられ、我が事のように顔を歪めるアキラ。
「さすが、最後の最後にいたウイルスね……今までの奴らとは訳が違うわ」
 セレアナが、赤い小さな球体を取り出した。
 びしゅ。
 それを弾く。
「食らえ、イチゴ弾丸!」
 アイスキャンデーで出来た固いイチゴの弾は真っ直ぐにウイルスへ向かい……
「キキキッ」
 ぼしゅ。
 一瞬ウイルスを蹴散らすが、すぐにまた戻って集まってくる。
「くっ、そう甘くはないみたいね」
 色とりどりのアイスキャンデーの衣装をまとったセレアナは歯噛みする。

「ククククク、ば……ウイルスたちよ、我が力を受け取るがいい!」
 ハデスがゴミ箱から両手を突き出すと、ゴミ色のなんともいえない光線がウイルスたちに降りかかった。
「うわあっ」
 夢悠の悲鳴が聞こえた。
 見ると、ハデスの光線を受けたウイルスたちが、どんどん集合している。
 集まったウイルスは、ひとつの大きなウイルスとなった。
「わ、わあああっ!」
 ウイルスの一閃で弾き飛ばされる夢悠。
「危ないっ!」
「任せるのだ」
 飛ばされた先から、二人の男性の声がした。
 しゅるしゅるしゅる。
 細く長いものが、夢悠に向かう。
 ひとつは白。
 ひとつは黄色。
 ふたつの色……そうめんと、冷やし中華麺ががしりと絡み合った!
 そこに、ぼすりと受け止められる夢悠。
「良かった、間に合ったねえ」
「怪我はないか」
 そうめん巫女、弥十郎と冷死厨火のアキュートだった。
「あ……ありがとう」
 礼を言う夢悠に、弥十郎は笑って答える。
「いいんだよ。桃を受け止める丁度いいネットになったねぇ」

「危ない!」
 歌菜に伸びるウイルスの攻撃を、月崎 羽純(つきざき・はすみ)は角砂糖を投げて相殺する。
 当たった角砂糖は爆発し、ウイルスのダメージになる。
「あ、ありがとう羽純くん」
「大丈夫だよ」
 パートナーの姿を見上げる歌菜。
 羽純は、紅茶と合体していた。
「キキ!」
 再び襲い掛かってくるウイルスを、茶葉を散らして牽制する羽純。
「歌菜、今のうちに、親玉を!」
 羽純の声に、身構える歌菜。
「セレンフィリティさん!」
「うん!」
 歌菜の声に、同じくセレアナにサポートされていたセレンフィリティも身構える。
「ツナマヨ、食らえっ!」
 セレンフィリティの手から出現したツナマヨが、親玉の足元の動きを奪う。
「いけっ、BLT!」
 歌菜の手から出現したベーコン、レタス、トマトが次々とウイルスの親玉に襲い掛かる。
「ギ……ギッ」
 怯んだ親玉の両脇に巨大なパンが出現した。
 周囲には、コンビーフ、ザワークラウトとチーズ。
「ギギギギー!?」
 コンビーフたちが次々と親玉に巻きつく。
 仕上げに、パンが挟まる。
「やった!?」
「ううん、まだまだ!」
 ガッツポーズを決めるセレンフィリティに、歌菜が首を振る。
「これは、ルーベンサンド。ホットサンドだもん!」
 大きなフライパンが出現した。
 中のウイルスと具ごと、その上に乗せられる。
 そして、加熱。
「ギュギュギュー!!」
「チーズがとろりとしたら、出来上がりよ」
 ほかほかホットサンドの出来上がり。
 こうして親玉ウイルスは、無事倒されたのだった。
「やった!」
「やったね!」
 サンドイッチ二人組は、手と手を高く上げハイタッチした。
 パン! と、小気味よい音が響いた。

「くっ、役に立たないウイルスめ……次は見ていろ!」
 捨て台詞を、誰にも気づかれないようにこっそり吐くとその場を離れるハデスだった。