リアクション
【十二 五色に願いを】
アスカはジェイダスと並んで、宵闇の五色の浜を散策していた。
既に巨大星はその輝きの大半を失っており、色とりどりだった海面も、ほとんど藍色一色に染まろうとしている。
恐らく、一日限定といわれた特殊効果が、失われてきているのだろう。
更に歩を進めようとした時、アスカとジェイダスは前方に幾つかの影が並んでいることに気付いた。
「ほぅ、彼らは……」
ジェイダスは、その正体をすぐに理解した。
そこに立ち並んでいたのは呼雪、マユ、ヘルといった薔薇の学舎の面々だったのだ。更に加えてラナ、美緒、ハイナ、エンヘドゥ達、巨乳カルテットの姿も見られた。
そこへ、ジェイダスとアスカが加わる。
これは中々、見られない組み合わせであろう。
「何をしようとしてるんだい?」
「あっ……これは、ジェイダス様!」
呼雪達は慌てて礼を取ろうとしたが、ジェイダスは軽く手で制した。
そのままで良い、ということであろう。
「実はこれから、マユさんが作詞作曲された歌を、あの星に届けようとしているところなのです」
ラナが柔和な笑みを湛えて、説明を加えた。
同じ芸術でも歌唱にはあまり詳しくないアスカが、興味深そうにマユの緊張した横顔を覗き込む。
それからややあって、マユの透き通るような歌声が、静かな波音を割って夜の浜辺に響き渡り始めた。
笹飾り揺れる夜
流れ星ひとつ
海を虹色に染めた
天の川の星
星が掛けた一日だけの魔法
だけど花開いた笑顔は満点の星空のよう
何より素敵な魔法
天の川きらめく季節
さあ、笹の葉に願い飾ろう
マユの、感謝の心に満ちた歌声が宵闇に響く中、海面上に変化が生じた。
それまで、どっしりと海中に突き刺さっていた巨大星が、僅かな振動の後に、ゆっくりと宙空に浮かび上がったのである。
と、思ったその直後には、凄まじい速度で上昇を始めた。
天に、還ろうとしているのである。
星屑のような煌めきを残して、巨大星は一気に天空へと飛び去っていった。
「……終わったで、ありんすね」
ハイナが感慨深げに、誰に語りかけるともなく、小さく呟いた。
「笹飾りさん、ありがとう……また、来年も宜しくね」
マユは微かに瞳を濡らしつつ、笑顔で夜空に囁いた。
また、来年。
天の川に、願いをかけて。
『天の川よりの巨乳X襲来!?』 了
当シナリオ担当の革酎です。
このたびは、たくさんの素敵なアクションをお送り頂きまして、まことにありがとうございました。
各ページのタイトルは、全くもって意味などございません。
とりあえず何か書かなあかんわ、という使命感だけで付けましたので、さらっと見逃して頂ければ幸いでございます。
それでは皆様、ごきげんよう。