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リアクション
「グランツ教……ですか?」
イコントーナメントが始まる少し前。テレサと一緒にいたのは、葉月 可憐(はづき・かれん)とアリス・テスタイン(ありす・てすたいん)の二人。テレサからの情報と、アリスのバカには見えない友人や集めた情報を吟味して、出てきたのがその言葉だった。
「うん。超国家神……。そのグランツ教が信仰していて、未来からやってきた宗教、そしてそこが崇める世界を掌握する神様、ということみたいなんだけど、この新興宗教って、実は驚くくらい今の教会の流れを汲んでいるんだよね。それで、それにおける終末論っていうのがね……」
「救世主の再来と呼ばれるものです。救世主たる神の独り子が再来し、世界を統一し、そして、世界に幕が降りる。私達『人類』は衰退し、新たなる種の歴史が始まる……というものらしいです」
アリスの言葉の続きを可憐が引き継ぎテレサに説明した。もっとも、教会に属する彼女にわざわざ懇切丁寧に言うようなものでもないのだが。
「今回の事件はそのグランツ教によるものかもしれないと……そういうことですか?」
単に、それを強調するためのものである。
「まぁ、これは私の直感なんだけどね……。でも、警戒しておくに越した事はないと思うの」
「なるほど……。ですが、まだ確たる証拠はありません。それだけで、事を大きくする事もできませんから……。様子見ということにさせていただけませんか? どちらにせよ、そのグランツ教というのがパラミタ内に留まっている限りは手を出せません。ですが、それが教会の流れを継いでいて、こちらにまで手を伸ばしてきたら――『異端』として始末しなければなりませんね」
最後に何か物騒なことを呟いた気がするが、今聞くことでもないだろう。
「分かりました。そろそろイコントーナメントですね」
「じゃあ、行ってくるねぇ?」
「はい。お二人とも頑張ってください」
「ごにゃ〜ぽ。間違えたー」
トーナメントの準備のため格納庫へとやってきた鳴神 裁(なるかみ・さい)に憑依した。物部 九十九(もののべ・つくも)と蒼汁 いーとみー(あじゅーる・いーとみー)、ドール・ゴールド(どーる・ごーるど)の三人。目の前にあるのはイコプラ【ポータラカUFO】。どうやらイコンを送ろうとして間違えてしまったらしい。
「どうするの?」
「だ、大丈夫」
九十九がコクピットから取り出したのは宝貝・補陀落如意羽衣。
「これがあった! まだ戦える!」
「踏み潰されても知らないですよ〜?」
「性能の差が絶対的な戦力の差じゃない! きっと大丈夫!」
「そうだと良いね……」
――トーナメント・イコン部門一回戦――
葉月 可憐&アリス・テスタインの雲隠対柊 真司(ひいらぎ・しんじ)&ヴェルリア・アルカトル(う゛ぇるりあ・あるかとる)のゼノガイスト。
『よろしくお願いしますね』
『あぁ、こちらこそ』
戦闘開始の合図。
「まずは牽制」
雲隠が新式アサルトライフルでゼノガイストに対し牽制攻撃。
「シールド」
ゼノガイストはウィンドシールドを展開し、ライフルを防ぐ。
「ならばこちらも……」
同じようにゼノガイストが銃剣付きビームアサルトライフルで、牽制射撃をしつつ、距離を縮めていく。雲隠は機動力を活かし、ゼノガイストの射撃を回避して行く。
「ゼノガイスト接近!」
「分かっています!」
「雲隠、サーベル射程内。捉えました!」
「初撃はもらう!」
ゼノガイストが新式ビームサーベルを雲隠へと突き出す。
「今です!」
「了解!」
接近された雲隠が瞬時にエアブラスターを起動。衝撃波がゼノガイストを襲う。
「予測済みだ」
行動予測していた真司。素早く下がりながら、ウィンドシールドを展開し、ダメージを抑える。
「あら、ばれてた見たいだねぇ……」
「ですが、今がチャンスです!」
「了解だよ!」
逆襲とばかりに雲隠がゼノガイストへ接近。新式ビームサーベルで反撃。ゼノガイストはシールドを構えつつ、回避。
「そこだよっ!」
鋭い逆袈裟斬り。ゼノガイストの持つシールドを一つ弾き飛ばす。
「ウィンドシールド損傷!」
「もらいます!!」
「もう一つのウィンドシールド展開」
すぐさま二つ目のウィンドシールドを展開し、上段斬りを防ぎ、一度距離を置くため、ライフルを乱射しながら後ろへ。雲隠もウィンドシールドを展開し、ライフルを防ぐ。
「(真司、雲隠の行動パターン、見切りました)」
ディメンションサイトを使い、雲隠の攻撃、回避パターンを記録していた。ヴェルリア精神観応で真司に伝える。
「(了解。一気に行こう)」
ゼノガイストが転進。雲隠へと突撃する。
「ゼノガイスト接近だよ!」
「迎撃します!」
ライフルを構える雲隠。だが、すでに射線上から回避しているゼノガイスト。
「はやい!?」
そのまま、間合いに踏み込まれた雲隠。ゼノガイストのビームサーベルと二式(レプリカ)の連撃にあえなく敗れた。
鳴神 裁(憑依:物部 九十九)&蒼汁 いーとみー&ドール・ゴールドの宝貝・補陀落如意羽衣&ポータラカUFO対葛葉 杏(くずのは・あん)&橘 早苗(たちばな・さなえ)のレイヴンTYPE―C。
『ごにゃ〜ぽ。頑張るよー!』
『あら、それで良いのかしら? 一気に勝負を決めてあげるわよ!』
戦闘開始の合図と同時にメンタルアサルトをよういて動き回る。補陀落如意羽衣。ドールは九十九の魔鎧として装着超人的肉体で、いーとみーはナノマシン拡散で補陀落如意羽衣の中に入り、粘体のフラワシと鉄のフラワシでスーツを強化。
「一対一なら火力のあるほうが勝つ! これでも喰らいなさい!」
それに対し、レイヴンTYPE―Cはガトリングガンとミサイルポットを速射。
「っと」
九十九は行動予測や野生の勘で攻撃のタイミングを読み、実践的錯覚を用いた急発進、急停止をうまく使い、先読みをさせず、うまく弾幕の嵐を避けていく。
「(いくですよ〜?)」
「うん!」
ドールのテレパシーでポータラカUFOを操作。ツインレーザーライフルをレイヴンTYPE―C向けて発射。
「……レーザー確認! 避けるですぅ!」
「分かったわ!」
レイヴンTYPE―Cは射撃をやめ、すぐさまレーザーを回避。
「いくよー!」
その隙に、補陀落如意羽衣は仏斗羽素を瞬間的に噴かせて高速跳躍。ワイアークローを引っ掛け、レイヴンTYPE―Cによじ登る。そのまま、装甲の薄い場所を攻撃する。だが、装甲が堅いレイヴンTYEP―Cにはうまくダメージが入らない。
「イコンに乗っています!」
「そんなの振り落とせばいいだけよ!」
レイヴンTYPE?Cはすぐさま補陀落如意羽衣を振り落とす。
「わわっ!?」
「お返しよ!」
そこに、レイヴンTYPE―Cの一斉掃射。ドールがすぐさま、ポータラカUFOを操作。レーザーを射線上に発射し盾代わりにする。だが、全て消し去る事は出来ず、少しの弾丸が迫る。
「これでどうだっ!」
ワイアークローをブンブン振り回して、弾丸を弾いてみせる。
「いまですぅ!」
レイヴンTYPE―Cはコロージョン・グレネードを投げつける。ワイアクローを振り回していた補陀落如意羽衣は回避動作が遅れる。
「あっ!」
コロージョン・グレネードが近くで炸裂。
「あぅ、思うように動かない……」
「終わりにしてあげるわ!」
そこに、レイヴンTYPE―Cがサイコビームキャノンを放ち。補陀落如意羽衣を打ち破った。
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