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愛は平穏を乱します!?

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愛は平穏を乱します!?

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 想詠 夢悠(おもなが・ゆめちか)は、雅羅・サンダース三世(まさら・さんだーすざさーど)と一緒にレストランで食事をしていた。
「さっきのパレードは綺麗だったわね」
「オレたちの目の前でフロート車が壊れて止まってしまったけど、逆にゆっくり眺められたよね」
 ゆったりとしたクリスマスソングの流れる店内で、二人は今日一日のことを振り返るようにして、お喋りを楽しんでいた。
「今日は誘ってくれてありがとう。いろいろとあったけれど、楽しめたわ」
 二人は、一日使って遊園地の至る所を回ってきた。街頭が倒れてきたり、クリスマスツリーのイルミネーションが爆発したり、無数のショットガンのゴム球がとんできたりはしたが、雅羅にも楽しんでもらえたようだった。そのことが、夢悠には嬉しかった。
 夢悠は以前雅羅に告白したが、その時は恋人同士になれなかった。そのことよりも、雅羅の楽しい気分を台無しにしてしまったという気持ちが強く残ってしまっていた。だからこそ今回は、雅羅に遊園地で楽しんでもらいたい、というのが夢悠の本心だった。
 そして、二人がレストランでの食事を終える頃。
「月冴祭の時はお月見を楽しんでいたのに、オレのせいで台無しにしちゃって、本当にごめん」
 夢悠がそう話し始めた。雅羅は、真剣な夢悠の話を黙って聞いている。
「あれから考えたんだ。あの時のオレは気持ちが凄く重かったって。それに雅羅さんはとっても大人で、オレは本当に子供だって」
 苦笑いをして、夢悠は言葉を続けた。
「今のオレだと、雅羅さんの負担になりそう………だけど今日みたいにデートするくらいなら雅羅さんをあまり困らせないと思う。将来と言うんじゃなくて、デートとかを続けられる間で良いんだ。雅羅さん、オレと付き合ってください」
 雅羅は、夢悠の表情をじっと見つめて、しばらく黙り込んだ。
「……少し考えさせてもらっていいかしら。真っ直ぐな気持ちは、ちゃんと受け取っているから……」
 夢悠は小さく頷いて、窓の外へと視線を送る。夜の闇にイルミネーションがきらめく。そして夢悠は、何かを願うようにそっと目蓋を閉ざしたのだった。

 *

 風祭 隼人(かざまつり・はやと)は、{SNL9999004#ルミーナ・レバレッジ}と一緒にカフェのスペシャルケーキを食べながら夜のパレードを見ていた。
「このパレードが終わったら、わたくし……あの観覧車に乗りたいですわ」
 ルミーナはそう言って、穏やかに笑う。
「観覧車から見る空京の夜景は絶景だって聞くからな。是非ルミーナさんと一緒に見たい」
 隼人は紅茶の最後の一口を飲み干して、ガラス越しに広がるイルミネーションの海を眺めた。
「本当に、どこを見ても綺麗ですわね……」

 会計を済ませてカフェの外に出ると、冷たい風が頬を撫でた。思わず隼人が身をすくめると、ルミーナがそっと寄り添ってきた。
「ルミーナさん」
 そんなルミーナに、隼人が声をかける。
「どうかなさいましたか?」
「俺……俺は、ルミーナさんと一緒にいられると幸せだ。これからもいっぱい楽しい幸せな思い出を一緒に作っていきたい」
 そう言って隼人はルミーナの肩をそっと抱いた。
「わたくしもですわ。これからもずっと、二人で一緒に過ごしていきたいですわね」
 ルミーナは、隼人の腕にそっと腕を絡ませる。こうして二人は、イルミネーションの点灯する木々の間を抜けて観覧車へと向かったのだった。