リアクション
◆ 丘の麓に、食べ歩きをしている天苗 結奈(あまなえ・ゆいな)とイングリット・ネルソン(いんぐりっと・ねるそん)の姿があった。 結奈の手にはたこ焼きのパックが、イングリットの手にはクレープが握られている。 「いんぐりちゃん、一口ほしいー」 あーん、と口を開ける結奈に、クレープを差し出すイングリット。結奈がぱく、とクレープをかじると、その横からホイップクリームがにゅっと溢れてきた。 「口の横についてますわよ」 「えっ、どこ?」 「今取って差し上げますわ」 イングリットは、結奈の口の周りについたクリームをハンカチで拭い取った。結奈はそんなイングリットを見て、嬉しそうにえへへ、と笑った。 「ありがとー。いんぐりちゃんも、たこ焼き食べる?」 「ええ、ひとつ頂けるかしら」 「はい、あーん」 結奈はたこ焼きをイングリットに差し出す。 「あーん」 イングリットは結奈の差し出したたこ焼きを食べて、ふふふ、と微笑んだ。 「こうやって食べ歩きするのって、楽しいよね?」 「そうですわね。お祭りを楽しんでいる、という感じがしますわね」 「いんぐりちゃんと一緒だから、もっともっと楽しくなるんだねー」 無邪気にはしゃぐ結奈を見ながら、イングリットも楽しそうに笑った。 二人は笑い合いながら、屋台をひとしきり回った。 「えへへへ、お腹いっぱい! 丘の方にも行きたいなー」 イングリットにじゃれつきながら、結奈はイングリットの手を引いた。 「ええ、眺めの良い場所を探しましょうか」 丘の中腹を散歩しながら、結奈とイングリットは遠くに見える雲海と空京の町並みを眺めた。 結奈がまとわりついても、嬉しそうに構ってくれるイングリット。そんなイングリットといると、結奈は何をしていても楽しかった。 「いんぐりちゃんと一緒に遊ぶの、楽しいなー」 「わたくしも、こうして一緒にお出かけするのが好きですわ」 立ち止まったイングリットの体に、まとわりつく結奈。そんな結奈を見て、イングリットは微笑みかける。 「いんぐりちゃん、だいすき〜」 結奈はイングリットに飛びついた。結奈たちとすれ違った人たちは、楽しそうな二人の様子に笑顔を貰っていた。 |
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