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リアクション
■第五幕:合体機晶姫オリュン・マギウス
飛行艇からオリュン・マギウスとなったミリアたちをイブが狙撃する。
狙撃に合わせてアルミナが雷術と氷術を併用して接近戦を行っているエレナを援護していた。
「なんとなくこの状況は察せるけど……」
ミリアは言うとエレナたちの攻撃で傷ついた身体を復元していく。
傷がみるみる塞がり、傷ついた装甲が元に戻っていく。
そして周囲に海蛇や鷲、竜に雷鳥、火鳥と召喚した。
ペルセポネによって生み出されたバリアによってアルミナの雷術と氷術の威力が軽減されていく。
「――ちょっとこれは……」
さすがに肝が冷えたのか、エレナが周囲に吹雪を巻き起こしてミリアたちの視界を塞ぐ。
荒れ狂う吹雪の中でヘスティアの声が届いた。
「遠距離砲撃は任せてください!」
次いで機械の動く音が聞こえてくる。
直後、いくつものミサイルが吹雪を突き抜けてアルミナたちへ襲い掛かった。
宙を飛ぶミサイルのいくつかが爆発を起こす。
どうやらイブが撃ち落としたらしい。
しかしそれも長くは続かない。
突如廃墟の至る所で爆発が連鎖的に起きた。
何かに誘爆したのだろう。建物が揺れた。
「予想外、失敗シタ……」
彼女は自身のミスを理解して高度を下げた。
煙が舞う中、周囲に雷が巻き起こった。次いでミサイルが誘爆する。
爆風が生まれ、イブの繰っていた飛行艇が衝撃に吹き飛ばされた。
「イブ!?」
アルミナの意識がイブの方へと向いた。
そこへミリアの召喚した雷鳥が雷を迸りながら勢いよく迫る。
アルミナを守るように機晶ドッグが立ち塞がる、しかしすべてを防ぐことはできず、彼女もろとも雷に巻き込まれた。
「くううぅっ!?」
ビリビリと身体中に衝撃が奔る。
身体全体が震えるような感覚が脳天を貫いた。
ガクッと膝をついた。もはやまともに戦闘状態を維持できるようには見えない。
圧倒的なミリアたちの強さを目の当たりにして及川やアリス、サリアが歓声を上げた。
「サリアさんすごいの!」
「ミリアさんふぁいとーっ!!」
「お姉ちゃーん!」
きゃあきゃあと楽しそうな様子である。
ゲームか何かを見ている気分なのだろう。
「――佐那さん……色々な意味で予定が狂いそうですわ」
エレナのつぶやきが届いたわけではないだろうが、エレナたちの様子を眺めていたハデスが勝利宣言とばかりに高笑いをした。
「フハハハハ! そんな調子では諸君らが勝つ事なぞ夢のまた夢よ!! この書類と財布を手にする事なぞできはせんなあ」
彼は笑いながら書類と財布を見せびらかすように突き出した。
だがポロッと手元から落としてしまう。
「ん? なにやら身体が上手く動かな……い」
ハデスが異常を感じたときである。
突如、彼の目の前に柊が姿を現した。
「機晶合体完全版かと思ったんだけどな」
「――なっ!?」
柊の影から幾匹もの巨大な黒狼がずるりと這い出てきた。
「とりあえず、誠心誠意OHANASIした後で話を聞かせてもらうわ」
にやりと悪者のような笑みを浮かべる。
ハデスの危機に気付いたペルセポネが叫ぶ。
「ハデス先生!?」
「ご主人様っ!!」
彼女の声でヘスティアも気づいたようだ。
振り返ると機晶銃の一撃が柊へと放たれた。
出力が上がっているのだろう、轟音が廃墟に鳴り響いた。
彼の足元を撃ち砕き、瓦礫が飛び散った。
そこへ富永が柱の影から駆け寄ってきた。
「ごめんなさいエレナ。準備に手間取りました」
「十分ですわ――」
彼女はハデスの方へ駆け寄ると落ちている書類を風を操ってエレナの方へと吹き飛ばす。
だがそれがエレナの手に届くことはなかった。
「すまぬの。これも仕事なのじゃ」
どこから現れたのか、辿楼院が宙で書類を掴むとその場から逃げ出した。
突然の出来事に対応ができなかったのだろう。
エレナと富永は呆気にとられているうちにアルミナとイブもその場から姿を消していた。
「お、追いかけないと!」
富永は言うが遅かった。
見回してみても辿楼院がどこにいるのかわからない。
時間的に考えてそう遠くまでは行っていないはずなのだが、目の前で戦闘が行われている現状追跡するのは至難の業だ。
「な、なんということだ。オリュン・マギウスよ奴らを追いかけるのだ!」
「そんな場合じゃねえだろ?」
柊はハデスの襟首を掴まえるとぶんぶんと振った。
その勢いでガクガクと首が揺すられた。
「う、うおぅ……おい! こ、こら……やめ……」
「ハ、ハデス先生っ!?」
「ご主人様〜っ!」
司令塔が捕まったせいで機晶合体した三人の意思はばらついてしまった様子で動きがぎこちなかった。しばらくして合体が解ける。ミリアが解除したのかもしれない。
もう戦いどころではなくなった様子でOHANASHIを始める柊たち。
そこへ長曽根たちがやってきて皆に事情を聞いて事態の収拾を進めた。
「まったく……騒動が起きていると来て見れば終わってやがるし……」
はぁ、とため息を吐く。
月摘も疲れた様子でハデスたちを見ていた。
「玄白……よろしく」
「怜奈は本当に人遣いが荒いんですから……もう少し年寄りを労わっても罰は当たりませんよ」
答えながら彼はハデスたちに手錠をかけると連行していった。
ミリアたちは、ミリア以外は戦闘に参加していなかったこともあってか重要参考人として駐屯施設に案内されていく。
「……囮捜査のほうはどうなったかな」
状況を聞こうとHCを使おうとした時、九条から連絡が入った。
それはいちごの唾液と白骨に残された唾液が一致したという、連絡であった。
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