校長室
パートナーの飯が不味いんだがもう限界かもしれない
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■地雷と癒し■ 見た目が美味しそうだからと美味しいわけでもなく。 どうみても食べ物じゃない! と思わせる料理がとても美味しかったりするパーティ会場。 美味しいものが食べたい人も、被害を最小限にとヤバそうな物から箸をつける人も、あまり当たり外れの代わり映えの無い事態がそこにあった。 (愛情はこもっているのは俺にも分かる) 煙が噴出している料理とか、虹色料理とか、もはや食べ物に見えない料理を神妙に見ながら、夏侯 淵(かこう・えん)は躊躇も逡巡もせずに料理を平らげ始める。 アイビスが歌う『天使のレクイエム』が聞える。 パートナーのルカルカを見ると、美緒と楽しく食事をしていた。 大切な友人という話を聞いていた夏侯は、微笑ましくその様子を見守った。 パーティ会場が騒がしいのは、外まで響いていた。 楽しい事でもあるのかと、葛城 吹雪(かつらぎ・ふぶき)は首をかしげて屋敷を見上げた。 その内、転がって来るように出てきた無限は、半死半生状態だ。 「や、やっと外に出られた……」 肩で息をして、そのまま倒れかけた無限を葛城は支えて、事情を知った。 嬉しそうに口端が上がって目を輝かせた葛城は、無限が止めるのを振り切ってパーティ会場へと向かう。 「酷い料理? 問題ない、食ってやる。覚悟を決めて」 ばあーん、と勢い良く、パーティ会場の扉が開く。 酷い料理が出ると聞いて、それに挑む為にやってきた葛城は、回りの惨状をみて、ふむと頷いた。 「SAN値、直葬必死でありますな」 気が狂っていると言わんばかりの会場に、少し飲まれかけた葛城だが、 「しかし、ここで引くわけには行かないであります!!」 がっと踏み込み、彼女がまず目をつけたのは、うごうごと虫が敷き詰められて動いているかのような料理。 見るだけで吐き気がしそうな、気が遠くなるそれを、葛城は皿ごとガッチリつかんで一気に食べる。 咽や口の中で蠢いているそれは本当に虫なのかも知れない。 冷や汗が背中を通って行く寒気にぶるっと一瞬震え、ガチガチと噛み砕いていく。 あんなに生々しかったのに、火はしっかり通っていたようで木炭を食べているような錯覚を覚えるぐらいの焦げ具合だ。 水を飲み、食べ終わった葛城は感想を述べたが――耳を塞いでしまった人も多い。 次に手にしたのは、回りから煙が噴出し、うにょりと何かが出ていた料理だ。 「これは美味しいのであります」 黙々と葛城は美味しそうにそれを平らげた。 しかし、地雷があるなら踏んでみたい葛城の希望は、美味しい料理よりも不味い料理。見た目がマトモなのよりも、発狂しそうな料理である。 葛城の食べっぷりに、気圧される者も多い。 この勢いであれば、きっとヤバイ料理は全て葛城が食べるだろう。というか、そういう料理を持ってきて欲しいとリクエストしている葛城だ。 好き好んで不味い料理を食べたがる人はいない。他の者の手が止まるのも当然の成り行きだ。 夏侯は今だとサクリファイスを使った。 これで、術者の夏侯が臨死状態になるものの、この場にいた全員が体力回復した。 だが、英霊である夏侯である。一瞬にしてイモータリティの効果で全回復するのだが、倒れてしまう事は倒れてしまう。 心配して駆けつける美緒に気付き、何か起き上がるタイミングを逃す。 どう言い繕うかと悩ませていると助け起こされた。 「あまりの美味さに失神してしまったようだ」 笑う夏侯に、笑い返す美緒。 あと心配なのが葛城なのだが、本人は周りが落ち着いたのに気付いていないかのごとく、手は止まらない。 吹き出る脂汗、目まぐるしく変わる顔色、開く瞳孔。 そんな状況でも、料理の感想を述べる葛城。 料理の味が問題なのか、詰め込むような食べ方が問題なのか解らないレベルで料理を平らげていく。 ふらふらしながら、なんとか全部食べきった葛城は、錯乱したのか、意味不明な言葉を吐きながら、治療をしようという夏侯、アイビス、高峰の手を振り切って美緒のおっぱいにダイブした。 がっちり抱きとめるというよりも葛城を捕獲した美緒は安堵の溜息をついた。 葛城から、嬉しそうな笑い声が上がり。 「それが、目的か――――!」 そんな叫びと共に周囲から袋叩きにされた葛城は、美緒の胸に盛大にリバースした。 「お疲れさま」 服を汚してしまった美緒は、冬山に頭を撫でられながら早々に会場から去った。 アイビスに捕まった葛城は、事前に根回ししてアイビスがラナに作ってもらった看病部屋に連れて行かれたものの――それ以後は、和やかなパーティが開催された。
▼担当マスター
やぅ。
▼マスターコメント
改めて、初めまして、やぅ。です。 楽しいアクションをありがとうございました! ぺこり。 キャラ達のイメージ崩れない事を祈りつつ。 至らない所は多いだろうと思いますが、また、お世話になる時はよろしくお願いします。
▼マスター個別コメント