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【創世の絆・序章】涅槃に来た、チャリで来た。

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【創世の絆・序章】涅槃に来た、チャリで来た。

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第四章 駆け抜けろ! 狼(?)の巣 1

 一方、こちらは無事にシェルターに侵入することに成功した本隊。

「わしらの想像しておったのとは、だいぶ様子が異なるようじゃな……」
 ルファン・グルーガ(るふぁん・ぐるーが)が、一同を代表するようにそう言った。
 地下一階、というより地下一層への侵入を果たした一行を出迎えたのは、やたらとだだっ広い空間と、何重にも重なるようにして点在する巨大な繭状の「何か」であった。
「ね、ゲルルン、これ一体なんなの?」
 そんな勝手なあだ名でゲルバッキーを呼んでいるのはイリア・ヘラー(いりあ・へらー)
「見ての通りだが?」
 特に腹を立てた風もなく、しかしいつも通りに何の参考にもならない答えを返すゲルバッキーに、イリアが頬を膨らます。
「見てわかんないから聞いてるんでしょ? あのおかしな繭は何なのよ?」
「まさか、近づいたら中から軟体生物が、とかじゃねぇよな?」
 白銀 昶(しろがね・あきら)の言葉に、ゲルバッキーは首を横に振った。
「あれは軟体生物が作ったものではない。あの一つ一つが部屋であり、独立した施設なのだ」
 それを聞いて、神楽坂 紫翠(かぐらざか・しすい)がはたと手を打つ。
「例えば地下二階は商業施設とのことでしたが、あの繭の一つ一つがその商店街にあるお店の一軒一軒、ということでしょうか?」
「ああ、そういうことになる」
 なるほど、地上に話を限定しても、もともと地方ごと、文化ごとに建造物の外観はそれぞれ異なっていた。
 だとすれば、これが「ニルヴァーナ式」だということなのだろう。
 一同がそんなことを考えていると、ゲルバッキーが思い出したようにこう付け加えた。
「もっとも、その施設自体はニルヴァーナ人が作ったものでも、今どのように使われているかは不明だからな。『近づいたら中から軟体生物が』というのも、あり得ない話ではない」
「それは先に……いや、襲われる前に教えてくれただけよしとすべきかの」
 そう一度ため息をついてから、ルファンは改めて辺りを見回した。
 ざっと見た感じでは、この階層はわりと繭の数も少なく、障害物も少なさそうだが、奇襲を受ける心配が少ない分、油断すると大群に包囲される恐れがある。

 ともあれ。
「それで、この階層には特にめぼしいものはないんだよねぇ」
「探索したところで危険に見合ったものはないだろう。早急に突破するのが得策だ」
 ゲルバッキーの答えに、清泉 北都(いずみ・ほくと)がさらにこう尋ねる。
「それで、どこを目指せばいいのかな?」
「どこかにエレベーター……自体は機能していないだろうが、少なくともシャフト跡がある。そこを通れば下の階層に移動できるだろう」
 これで、このフロアでの目的ははっきりした。
 そうなれば、あとは方針を決めるのみである。
「素早く片づけるに越したことはないし、ここにあまり人数をかけるのはまずいだろう。ここは俺たちが引き受けよう」
 そう言って、呼雪がパートナーのヘル・ラージャ(へる・らーじゃ)ユニコルノ・ディセッテ(ゆにこるの・でぃせって)の二人、そして引き連れてきた親衛隊員たちとともに一歩前に出る。
「僕らもここに残るよ」
 次に続いたのは、北都と昶、そしてクナイ・アヤシ(くない・あやし)
「ありがたい。では、ここは頼む」

 北都とクナイが『禁猟区』を発動させた上で、北都、昶、そしてユニコルノが『超感覚』と『殺気感知』を総動員して先頭を行く。
 繭状の施設の中、あるいはその影などにも注意は払っていたが……それでも、最初の襲撃は全く予期せぬものだった。