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リアクション
小暮を探せ!2
クレアらがしばらく進むと、脇道から誰かがよろよろとこちらに向かってきた。こちらを見るなり、その人影は悲鳴を上げた。
「わ……ああああ!! 挟まれたのか……」
うめきとも悲鳴ともつかぬ声を上げて、その場に崩れ折れたのはやつれきった小暮だった。
「小暮少尉! しっかりしろっ!」
クレアが叫ぶ。しかし小暮の目には彼らがまともに映っていないらしい。イコナが進み出る。
「極度の脱水と衰弱で、軽い錯乱を起こしているんですわ」
「ヒールをかけてみましょう」
奏が応急手当として倒れた小暮にヒールをかける。と、小暮の背後から、ヘビ型アヴァターラが一群れ現れた。クレアが即座に銃を抜いた。ティーがクライ・ハヴォックで全員の攻撃力を上げる。桐悟は直刀の形状を持つ光条兵器に轟雷閃を纏わせて切り付ける。弾丸に頭を砕かれたヘビがのたうち、感電したヘビの胴体が棒のように硬直する。晶とジャンヌがディフェンスシフトで全員の防御を上げ、チェインスマイトで敵中を乱舞する。鉄心がアヴァターラバズーカの射撃で、倒れた小暮のほうに忍び寄ろうとしていた一匹を打ち砕く。その傍では非戦闘員のイコナが応援の意をこめて(?)旗を振っている。
小暮を追ってきていた群れはそう数多くはなく、まもなく全てが掃討された。そして小暮発見の一報が、発信された。
近くに来ていた理沙、貴仁、吹雪らは一報を聞いてすぐに駆けつけてきた。吹雪とイングラハムは皆が固まるのを見ると、即座に警戒態勢をとって見張りに立った。まだ合流するメンバーもいるかもしれないし、こういうときは警戒心が緩みやすいのを知っているからだ。
「小暮、よかったな」
「ご無事でよかったです!!」
理沙と姫乃が異口同音に言う。
「小暮さん、無事で良かった!」
(この前、ぶん殴って投げちゃったせいで体力低下してはぐれたのかもしれないですし、いやー無事で良かった……)
貴仁が内心の安堵感を滲み出させて言った。
「皆、心配してましたのよ?
……様子を見て錯乱がひどいようなら封印呪縛が必要かと思いましたけど、そこまでじゃないようですわね」
イコナが忙しく完全回復、念のための清浄化で治療を施しながら言った。姫乃もその傍でナーシングを施している。
「まぁ……何にせよ無事で良かった。無事シールドと水晶は回収されたし、メルヴィア大尉も元に戻られましたよ。
……今後は、客観的な自己分析をした上で、現状に対する冷静な判断をしてくださいね」
鉄心が言う。
「あ、ああ。それは良かった……」
小暮はホッとため息をついた。ジャンヌがそんな小暮をジーっと見て、ぼそりと言う。
「何かをしようとする気概があるのは良い事だ。そして行動力があるのも良い。
だが、己が身をきちんと守り切れなかった所を含めるとぎりぎり及第点、といった所だな」
晶がやや厳しい口調で言う。
「及第点とは甘いのう、ジャンヌ嬢。参謀たる者、作戦を謀り兵を駒の如く御すため将に助言するが基本。
それが前線に出た挙句、救助を請う身とは……。杠殿、分相応の場にて立ち振る舞う、それも兵たる役目ぞ?」
いきなり自分に振られた桐悟が、言いよどむ。
「そ、そうだな……頭脳労働者が前に出ると碌な事にならないと言うが、まさに今回が良い実例と言うべきか……」
奏が横から助け舟を出した。
「まあ、皆さん心配していたせいで厳しいだけですから……ね?」
晶とジャンヌは照れくさそうにそっぽを向いた。
「途中、お腹すいてだいぶ食べちゃったんですが……パン食べますか?」
「あ、ありがとぉお!!」
そういって貴仁がパンの袋を差し出すと、残った2個のパンを嬉しそうに食べる小暮。
「んー、髪がちょっぴり伸びてきてて、ちょりちょりしますね〜。まぁ無事なのが確認できたら満足です♪」
ティー・ティーが小暮の頭をなでる。
「は、はぁ……」
「それで、ただ闇雲にイレイザーの体内をうろついていたわけではないのだろう?」
クレアが意識の混濁からやや回復してきた様子の小暮に問うた。
「ええ……しばらく前に……ここにいると時間の感覚がはっきりしないのがなんですが……。
ヘビのギフトの部屋の隣に、核のが設置されていましたよ」
「そうか! 場所の詳細はわかるか?」
クレアが真剣な表情で問いかけた。
「ええ……マップを作ってあります……」
「良くやった」
クレアはすぐに核の位置情報を探索者全員に知らせたのだった。
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