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【ザナドゥ魔戦記】ロンウェルの嵐

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【ザナドゥ魔戦記】ロンウェルの嵐

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第24章 脱  出(4)

 玄関から飛び出した玄秀と広目天王は、隠してあるオイレ目指して走った。
 広目天王の右足に突然奈落の鉄鎖がからみつく。
 ハランスを失い、広目天王は倒れた。
「広目天王!」
 ふり返った玄秀の前、ヨミの入ったリュックサックが投げ出される。コロコロ転がる中、かぶせが開き、ヨミが中から半身を出した。
「……殺しは柄じゃないんだ」
 闇の中、ぽつり、互野 衡吾(たがいの・こうご)は人知れずつぶやく。
 そういうのはもっと上手なやつらに任せるべきだ。
 ちょうど今、上空で待機してもらっている魔族どものようなやつらに。
「……死んだら、人が殺したような細工ぐらいはしてやるさ」
 衡吾の合図を受け、魔族兵が下降を始める。
「しまった!」
 魔族兵の存在に気づいた玄秀がサンダーブラストを発動させようとしたが、魔族兵の投擲の方が早かった。足元近くに刺さった槍に、その場を跳び退く。
 その隙に、ヨミの命を奪う槍は投擲された。
 しかしそれを身に受けたのは、九条 ジェライザ・ローズ(くじょう・じぇらいざろーず)だった。
 肩を串刺しにされた衝撃によろめいて、地に両手をつく。
「ロゼ!! なに、ばかやってる!」
 碧血のカーマインを連射しながらシン・クーリッジ(しん・くーりっじ)が走り寄る。
「いい……から。早く……」
 ヨミを、ロノウェの……家族の元へ、連れて行ってあげて……きっと、怖がっているから……。
 そう、目で訴えるジェライザから玄秀はヨミを受け取った。
「シュウ! 早くオイレに!!」
 上空、彼を呼ぶ声がして、光が走った。2階の窓から飛び下りたティアンが、空飛ぶ箒スパロウに乗ってシュトラールを撃っている。
 昨日までの彼女と違い、その姿は別人のようにいきいきとして力強い。
 彼女の援護射撃の中、玄秀と広目天王はオイレに乗ってバルバトス兵の囲みを突破すると、一路戦場を目指したのだった。