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30)シリウス・バイナリスタ(しりうす・ばいなりすた)

シリウス・バイナリスタ(しりうす・ばいなりすた)
リーブラ・オルタナティヴ(りーぶら・おるたなてぃぶ)とともに、
出演予定だったのだが。
「なんでサビクまでいるんだよ?」
「面白そうだから!」
サビク・オルタナティヴ(さびく・おるたなてぃぶ)がきっぱり言った。

「まあいいか。
百合園から天学に出向中のシリウスだ。よろしくな」
「お招きありがとうございます。リーブラです。
期待に応えられるよう、頑張らせていただきますわ」
「ようこそいらっしゃいました。
では、まずいろいろな質問に答えていただきますね。

弁天屋 菊さんから、
転校経験者全員宛の質問です。

転校して苦労した事は?
転校して良かった事は?」

「専門知識を本格的に学べたのがでかいかな。
タイミングもあるけど第二世代イコンについてみっちり学べたし。
学ぶなら最高を選ぶべきだってオレは思うし、
やりたいことがあるなら短期留学、全然ありだと思うぜ。
苦労……えぇと。
オレらが出向している間に百合園の校舎がリフォームされちまったんだけど……
寮の部屋、残ってんのかな……?」
「イコンはよく知らないので……天御柱学院は、ちょっと寂しいですわね。
シリウスはサビクさんに付きっきりでしたし」
シリウスを見てリーブラが軽くため息をつく。

「次にいきましょうか。
キュべリエ・ハイドンさんから。

もし地球とパラミタどちらかが滅んでどちらかを救えるのだとすれば
あなたが救うのは地球?それともパラミタ?
両方救うという回答ではなく二者択一でお願いします」

「二者択一だな?
よし。じゃ、オレは地球救うわ。リーブラ、シャンバラ救ってくれ」
「えぇ、パラミタのことは任せてくださいな」
シリウスの発言にリーブラが慣れた感じで答える。
「サビク……は、どっちでもいいや。これで両方救えるぜ?」
「ちょっ、何その『正直、どうでもいい』って扱い!?
せめて『リーブラを頼む』とか言わないか、普通は!?」
「やりたいことには手段を選らばず全力を尽くす。それがオレの主義だ」
「ダンディーな発言してもダメ!
ボクを無視しないで!」

「では、次は
共通点のあるご質問だったので一緒に。
宇都宮 祥子(うつのみや・さちこ)さんから、
百合園女学院に在籍する皆さんへの質問です。

あなたにとって百合園女学院の校長、桜井静香様をどのように思っていますか?
また、そのパートナーであるラズィーヤ・ヴァイシャリー様をどのように思っていますか?
一寸曖昧なので補足すると、
公人、或は私人としての静香様やラズィーヤ様をどう思ってるか、ですね。


そして、青葉 旭さんから。

自身の所属校ってどの程度大事に思っている?
質問がアバウトですが、極端な例を挙げると、
王国が滅んでも学校を守る。
他の学校を全部潰して自分の学校1校だけにしたい。
友達よりは大事だけど、恋人よりは大事でない。
嫌い、早く転校したい。
全く大事でないどころか明日にでも破壊したいくらい嫌い。
といったところかな。

自分の学校のこういう点が改善されたらもっと好きになれるのに、
というのがあったらそれもお願いしたい」

「恩義はそれなりに、まぁ。母校って意識はある。
ただラズィーヤには、なーんか嫌われてるというか
避けられてる感じなんだよなぁ。なんでだろ?」
シリウスが首をかしげる。

「では、次にいきましょう。
国頭 武尊さんから。

契約者になる前は、地球で普通に学生やっていて
争い事なんかにゃ無縁だった人も居るだろうから敢えて聞くけどよ。
やっぱ、契約者になってその活動期間が長くなると
人を傷つけたり、時には殺めたりする事に、
抵抗感や不快感を持たなくなるのかね。
すっげぇ答え難い質問だと思うから、無視してもらっても構わないぜ」

「殺しは今も苦手だよ……けど必要なら躊躇はねぇ。
ダチを守るためなら猶更だ」
シリウスが拳を握る。

「……シリウスさんは優しい方ですね。
では、次の質問です。
渋井 誠治さんから。

好きな食べ物は何ですか?
割とありがちな質問だけど、番組の中で時間があれば答えてくれると嬉しいな。
出身地が違うと食文化も違うだろうし、皆がどんなものが好きなのかちょっと気になったんだ。
パラミタだと地球の料理はなかなか食べられないかもしれないけど、
ここでアピールしておけば空京で流行っていつでも食べれるようになるかもよ?
なーんてね」

「肉とビールと、あと牛乳?
……生活レベルがバレそうでヤだな、おい」
シリウスが頭をかき。
「最近はティセラお姉さまに教わった紅茶に凝っていますわ」
リーブラが微笑し。
「おいしいものならなんでも可!」
サビクが明るく言った。

「では、わたくしからのリクエストです。
シリウスさんは、東京都知事のミルザム・ツァンダ(みるざむ・つぁんだ)さんにそっくりですね。
せっかくですので、
今、ここで『ミルザム都チチ』さんの物真似をしていただけますか?
せっかくなので、リーブラさんにはティセラさん、
サビクさんにはシャムシエルさんの物真似をしていただけますか?」

「じゃあまずシャムシエルにボクの猿真似をさせるんだね……アレにできるわけがないけれど」
恐ろしく冷たい声で言い放ったサビクを、シリウスがなだめる。
「よせよ。
オレたちはゲストで、これは地球の番組だぜ。
トッドさんも悪気はないんだ。
じゃ、
ミルザムきたらオレの物真似やらせてくれよ?」

シリウスたちはこのことは予想してリハーサル済みだったのだ。

「誰かがやらねばならないのなら、私が。シャンバラ女王に!」
「ミルザム、あなたなど担がれているだけのお人形――力不足以前の問題、ですわ」

直後、シリウスとリーブラは吹き出した。
「や、やっぱりお互い、似合わないですわね……ふふ!」
「大変結構でした!」
トッドさんも笑っている。
会場も、大爆笑につつまれていた。