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43)アイン・ブラウ(あいん・ぶらう)

蓮見 朱里(はすみ・しゅり)アイン・ブラウ(あいん・ぶらう)の夫婦が、
地球とパラミタのかけ橋となる「種族を超えた新婚夫婦」として、そろってトッドさんに迎えられる。

「あの……テレビ出演なんて初めてなんで、今すごく緊張してます」
「その……こういうのは少々苦手で……上手く答えられるかどうかわからないが……」
「新婚さんいらっしゃい!」
トッドさんが笑みを浮かべる。
「ご結婚生活について伺う前に、
いろいろ質問も来ているので答えてくださいね」
「「はい」」
二人はうなずいた。

弁天屋 菊さんから、
転校経験者全員宛の質問です。

転校して苦労した事は?
転校して良かった事は?」

「イルミンスールには、
イナテミスに新居を兼ねた自分の店を持ったのを機に蒼空学園から転校したけど、
転校早々色々と戦争に巻き込まれて……。
特にザナドゥの軍勢が攻めてきた時は、
同時にカナンも侵攻を受けていたから、我が家と学び舎を守るために残るか、
それともシャムスたちの危機を救いに駆けつけるべきか、とても迷ったんです。

そんな時に本郷さん……今は結婚して涼介・フォレスト(りょうすけ・ふぉれすと)さんが
『後のことは任せろ』って言ってくれたの。
あの時は本当に嬉しかったわ。
自分たちは一人じゃない。仲間たちが故郷を、世界を守るために頑張っている。
それが、今の私たちを支える力なんです」

「なるほど、人との絆を大切にしていらっしゃるという、朱里さんらしいご回答ね。

次の質問です。
国頭 武尊さんからです。

契約者になる前は、地球で普通に学生やっていて
争い事なんかにゃ無縁だった人も居るだろうから敢えて聞くけどよ。
やっぱ、契約者になってその活動期間が長くなると
人を傷つけたり、時には殺めたりする事に、
抵抗感や不快感を持たなくなるのかね。
すっげぇ答え難い質問だと思うから、無視してもらっても構わないぜ」

「私の場合、自分の力が癒しと援護に特化してるせいかもしれないけど、
逆に人を傷つけることにすごく慎重になった気がするわ。

いくら力を得ても、それでも目の前で守り切れずに死んでいく人もたくさんいたの。
契約者と言っても、決して万能ではない。その現実を思い知らされたから……
だから、力を持つ者としての責任を、より重く感じるようになったわね」
朱里が、静かな表情で言う。

「じゃあ、ご結婚されているお二人用の質問ね。
匿名 某(とくな・なにがし)さんから。

恋人時代からの甘々ラブラブっぷりにさほど変化はないか、もしくは上昇したとして(ぇ
それ以外でその……恋人時代から変わったところってなんですかね。
ちょっと漠然としてる質問ですいませんが、さ、参考にまで聞いてみようかなと思いまして」

「お互いに『家庭』というものを強く意識するようになったこと、かな?
私たちの場合、以前から既に二人の養子がいたし、
更に結婚して間もなく妊娠したこともあるのかもしれないのだけど、
自分の子、他人の子を問わず、
子どもを守り、育て、共に暮らすということに対して、
すごく責任を感じるようになったんです。
特にアインは、一家の主としての頼もしさと同時に、
私にだけは子どものように甘えてくる一面もあって……
どうしたのアイン? 顔が赤いわよ?」
「いや、なんでもない」
紅潮した顔を背けて、アインがごまかした。

「では、
アインさんと朱里さんの、幸せな生活について、
ぜひ詳しく伺いたいの。なるべく具体的にお聞かせ願えいただけないかしら?」

「幸せな生活……二人の養子と共に食卓を囲んだり、休日には一緒に出かけたり。
そんな平和な日常を笑顔で過ごすこと、でしょうか」
穏やかな優しい表情で、アインは朱里を見つめた。

「特に最近は、朱里の出産に向けて、色々と準備中で。
ベビー服や必要な育児用品を揃えたり、
胎内の子の成長と共に変化してゆく妻を支えたり。
そうしているうちに、父親である僕の心も、幸せと希望に満ちてくる……。
それは実に心温まるひと時なんです」

幸せな生活は、まだ始まったばかりなのだ。
さらに幸福な未来が、二人を待っていることだろう。