|
|
リアクション
45.夏の必需品
「新しい水着、買いに行こうよ!」
抜けるように空が高い、初夏のある日。
天苗 結奈(あまなえ・ゆいな)は、イングリット・ネルソン(いんぐりっと・ねるそん)をショッピングに誘った。
「ええ。今年もそんな季節になりますのね」
イングリットは快くその誘いを受けて、二人で、
「美緒様にお勧めいただきましたの」
とイングリットが言うブティックに買い物に行く。
(えへへ、イングリットちゃんとデートだっ)
結奈には、友達と一緒に買い物に行くのもデートである。
「去年の水着もまだまだ着れるけど、やっぱり毎年新しいのが欲しくなっちゃうよね」
「そうですわね。やはり流行のデザインのものが着たくなってしまいますわ」
イングリットも頷く。
泉 美緒(いずみ・みお)お勧めのブティックは今、二階フロアが全て水着コーナーになっていて、様々な水着がズラリと並んでいた。
「わーわー、可愛い、あっこれも可愛い、これもこれもっ」
結奈は、淡いピンクの、フリルが沢山ついた水着を色々選ぶ。。
まずはワンピース、それからタンキニ、それからちょっと大胆にビキニ、と、次々試着して、イングリットに見て貰った。
「いんぐりっとちゃん、どお? 似合うかな〜」
「結奈さんは、薄いピンクが似合いますわね。とても可愛らしいですわ」
イングリットは微笑む。
「そう? えへへ、迷うな〜。
いんぐりっとちゃんは、どんなのを買うか決めた?」
「そうですわね……。動きやすいものがいいと思うのですけれど」
「あ! ねえ、これ可愛いよっ、いんぐりっとちゃんに似合うと思う!
ねねね、ちょっと着てみて」
「ええ」
結奈が選んだ水着を、イングリットは試着してみせる。
「如何でしょうか?」
「すごい似合う!
ねえねえ、あとね、こっちも似合うんじゃないかなぁって思うんだ」
結奈は、イングリットの着替えを待っている間に見つけた、別の水着を差し出して見せる。
「本当、素敵ですわね。着てみますわ」
イングリットは再び試着室に消える。
迷う。結奈は出てきたイングリットの水着姿を見て唸った。
「決められないよ〜」
「結奈さん、ご自分の水着は決まりましたの?」
「あっ、そうだった! 選ぶのは自分の水着だよね!」
慌てる結奈に、イングリットはくすくす笑う。
「わたしくしは、こちらにしようと思いますわ。
デザインも素敵ですし、動きやすいですし」
イングリットは、結奈が最初に選んだ水着に決めた。
それぞれ水着を選び、購入して、ブティックを出る。
「ね、お茶してから帰ろうよ!」
近くのカフェを指差しながら、結奈が跳ねるように歩く。
「ええ」
「ねねね、いんぐりっとちゃん、次はこの水着着て、一緒にプールに行こうねっ!
あ、海もいいなあ」
「そうですわね。楽しみですわ」
結奈の誘いに、イングリットも微笑んで頷いた。