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【おとこのこうちょう!】しずかがかんがん! 後編

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【おとこのこうちょう!】しずかがかんがん! 後編
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■□■5■□■ 宮殿・静香への進言

一方そのころ宮殿では。

二人の崩城 亜璃珠(くずしろ・ありす)が、未来・静香に接見していた。
傍には、未来のミューレリア・ラングウェイ(みゅーれりあ・らんぐうぇい)が仕えている。
「静香様、今回のレジスタンス一斉蜂起には、
私が関わっていました。
彼らが勢力を広げようと周囲に声をかけまくったおかげで、
うまくスパイが潜り込む状況を作り出すことができた。
おまけに彼らの一斉蜂起に乗じてレジスタンス共を一網打尽にできる。
素敵な作戦でしょう?」
未来・亜璃珠は不敵な笑みを浮かべる。
「ただ、少し誤算がありますわ。
この一斉蜂起、
過去の人間の手が入ったことで規模や戦力が予想以上になっていますの。
十嬢侍の方々の他、
もっと多くの戦力を投入しなければ抑えきれないかもしれませんわ。
ご安心ください、これさえ潰せば静香様の世は安泰ですから」
「ほう、どのような策だ」
未来・静香は、威圧的な視線を二人の亜璃珠に向ける。
現在・亜璃珠が進み出て一礼し、作戦を述べる。
現在・亜璃珠は、パートナーの崩城 ちび亜璃珠の成長した姿ということで通している。
「カンガンガニソーセージの奪取に関しても、
エリザベートの軍勢さえ抑えておけばなんとかなりますわ
以前宮殿に乗り込んだ……過去の人間でしたっけ?
彼らはお人よしの集団ですから、
『宦官にされてしまったかわいそうな静香様を助けるために』
向こうからのこのこと出向いてくださいますわ」
「たしかに、問題はイルミンスールの連中だ。
過去の僕や周囲の人間がお人よしの集団だというのも、まったくその通りだが……」
未来・静香は、玉座で腕組みをする。

★☆★

話がひと段落したところで、
二人のレロシャン・カプティアティ(れろしゃん・かぷてぃあてぃ)が、
ヴぁいしゃりーに連れられて入ってきた。
「静香様にどうしてもお会いしたいというので、
連れてきましたわ」
ヴぁいしゃりーは、現在・レロシャンをじっと見て、
「これでいいんですわよね?」と視線で確認する。
現在・レロシャンにもらった宝石のことが静香にバレないか、必死であった。
現在・レロシャンは笑顔でうなずく。
「本日は私共のためにお時間を頂き、誠にありがとうございます。
静香様に直接お目通りかないまして光栄の極みです。
是非、静香様にお願いしたい事があります」
未来・レロシャンは頭を低くして丁寧にあいさつし、
現在の自分にも同じようにさせようとする。
「この度はお目通りが叶い誠にありがとうございます〜。
校長先生、私の事覚えてますか!
あ、隣にいるのは大人になられたミューレリアさんと亜璃珠さんでその隣は……」
「ちび亜璃珠ですわ」
のんきにあいさつする現在・レロシャンに、
現在・亜璃珠は優雅に、しかし、有無を言わさぬ態度で答える。
「お願いしたいことというのはこちらです」
未来・レロシャンは、話をそらそうと、
嘆願書を静香に差し出す。
「ミューレリア、お前が読め」
静香に命じられて、未来のミューレリアは、
二人のレロシャンの嘆願書を受け取り、声に出して読む。
「野望 byレロシャン

私の野望は、地球とパラミタで最強になることです。
全宇宙最強でも良かったんですが少し自重しました。
その夢は子孫か弟子に任せます。

まずシャンバラで最強を目指します。
でもいきなりじゃハードルが高いので、その前に百合園で最強になります。
桜井静香って人は弱そうなので、ちょっと特訓すれば簡単に勝てるでしょう。

おわり。2019年 4月」

部屋を沈黙が支配する。

(ってその手紙は私が百合園に入る頃に書いてずっと懐に持ってたのじゃないか!
しまった! うっかりしていた!
とにかく謝らなければ!)
未来・レロシャンは、致命的な間違いに気づいて慌てる。
「も、申し訳ありません静香様!」
未来・レロシャンは、現在・レロシャンにも謝罪させようとするが、
現在・レロシャンは一歩前に進み出る。
「あわわ、違う手紙だったようですね。
でも静香先生、聞いてください!」
現在・レロシャンは、静香の冷たい視線を受けつつ話し始める。
「私は百合園に来る前は記憶がなくて身寄りもなく、
当てのない放浪の旅をしていました。
幼いころのことは何一つ覚えていませんし、
生まれた国さえさだかではありません。
なのでさっきの手紙からわかるように今に比べたらだいぶ荒んでたのです。
でも、百合園で過ごすようになってから変わりました。
そう、百合園の皆こそが私の家族だったのです!
シャンバラが沈没して、
ヴァイシャリーが今みたいな有様では、
昔の私みたいに身寄りのない子どもでいっぱいになってしまいます!
静香先生、この制服を見てあの頃を思い出してください!
元に戻ってまた百合園を作りましょう!」
現在・レロシャンは、自分の着ている制服を差し示す。
「まあ最強を目指す野望は今もありますけどね。
未来の私もあの紙をまだ持ってたという事はやはり……」
静香に聞こえないよう、小声で現在・レロシャンは言う。

静香は、しばらく沈黙していたが、
事務的な口調で言った。
「イルミンスールに軍を向けるのだ。
崩城亜璃珠、ちび亜璃珠の言うととおり、脅威はイルミンスールであり、
ヴァイシャリーの貧民どもは取るに足りない」

(これで、未来の静香と過去の静香校長が再び、
何の邪魔もなく接触する機会を作ることができるはずよ)
現在・亜璃珠は、内心、にやりとする。

★☆★

一方、未来・ミューレリアは、ずっと罠を発動させる機会を伺っていた。
(静香様は宦官になることで神に近づきました。
では、これをもう1サイクル……
つまり、もう一度生やしてからチョッキンされれば、
今度は本物の神になれるのではないでしょうか?)
ソーセージを食べて、生えたとたんに宮殿の壁の中に隠しているカニを、
壁を爆破することで出して、
静香に襲いかからせる作戦であったが、
それを実行する前に、異変が起こった。

未来のコトノハ・リナファ(ことのは・りなふぁ)は、
闇龍・影龍の封印をその身に施して、
静香の玉座の後ろで不気味な存在感を放っていたが、
レジスタンス達の争いを求める心とスラムの人達の嘆き、
そして未来静香の闇の心が増大した結果、
封印の一部が解けてしまったのであった。

未来・コトノハから噴き出した闇の力は、
静香の股間に集まった。
「し、漆黒で立派なちんちんの形になりましたわ!」
ヴぁいしゃりーが叫ぶ。
「こ、これは……!?」
静香も、その場にいた一同も驚く。
「『ちんちんを元に戻したい』という静香様の願望を反映して、
闇の力が集まってしまったのですわ!
なんと恐ろしい!」
ヴぁいしゃりーは言う。
「ああっ、しかも、静香様の股間に生えた漆黒のちんちんが、
伸びたり何本にも増えたりして、周囲の壁を破壊してますわ!」
「ああっ!?」
未来・ミューレリアが悲鳴を上げる。
「静香様の股間から生えた漆黒のちんちんにより、
なぜか壁の中にいたカンガンガニが攻撃されて倒されてますわ!
しかも、漆黒のちんちんが宮殿中に伸びていって、壁を破壊してるみたいですわ!」
(全滅ですね……)
ミューレリアは内心歯噛みする。
「って、うわあああああ!?」
「「きゃあああああああああああ!?」」
「「なんですかこれはーっ!?」」
未来のミューレリア、二人の亜璃珠、二人のレロシャンは悲鳴を上げる。
「静香様の股間から生えた漆黒のちんちんが!
漆黒のちんちんが、
部屋の中にいる女性を襲ってますわ!
わたくしが襲われないのは、外見年齢10歳なので、
児童ポルノに見えてしまうからですわね、きっと!」
ヴぁいしゃりーが実況する。
「くっ、制御できない!」
静香も慌てるが、どうすることもできない。
「「喰らいなさい!!」」
「亜璃珠とちび亜璃珠が、ダークネスウィップで攻撃して、ちんちんをひるませましたわ!」
「「はあああっ!!」」
「二人のレロシャンが拳を炸裂させて、ちんちんの動きがにぶりましたわ!」
「やらせてもらいます!」
「【狂血のメイド長】ミューレリアが、狂血の黒影爪で、
漆黒のちんちんを切断しましたわ!」
「手ごわい相手だったわ……」
現在・亜璃珠は、闇の力が消滅した静香の股間を見ながらつぶやく。
未来・亜璃珠と二人のレロシャン、ミューレリアもうなずく。
「なんだかまた切られたみたいだな……」
静香は、本物ではないが、もう一度切られた気分になり、不機嫌になったので、
慌てて退場する一行であった。