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リアクション
第3章 ヴァイシャリー宮殿の謀略
■□■1■□■ 七那 夏菜(ななな・なな)の屋敷からの脱走
一方そのころ、未来の七那 夏菜(ななな・なな)の屋敷。
現在の夏菜は、未来の自分に幽閉され、
入れ替わってレジスタンスに潜入されてしまっていた。
(『かんがん』が悪い人のことで、
未来のボクがそんなのになってただなんて……。
その未来のボクは、ボクのふりをしてみんなのとこにいってしまいました。
もしボクのせいで誰か傷つくようなことになったら……)
パートナーの死をきっかけにレジスタンスと敵対する宦官になった未来の夏菜だったが、
現在の夏菜は、「宦官」の意味を微妙に勘違いしたままであった。
(なんとか脱走して、皆にボクがボクじゃないって伝えないといけません。
それはそうとして……段々とおトイレに行きたくなってきました。
来るとき急いでて行けなかったから……)
現在・夏菜は、別の意味でもピンチであった。
意を決してドアの外にいる見張りに話しかける。
「おトイレに……行きたいんですけど……」
「部屋の隅にあるからそこでしてください」
たしかに、よく監獄などである感じで、部屋の隅にトイレが設置されていた。
完全に人を閉じ込めるために作られた部屋のようであった。
「む、無理です。
だって、見えちゃうし、音も聞こえちゃうし、恥ずかしいよぉ……」
現在・夏菜は涙目になるが、ふと気がつく。
「そうだ、未来のボクって、えらい人なんですよね。
もしボクをおトイレにつれてってくれなかったら、
恥ずかしいことされたのをずっと覚えてますよ……」
「ええっ!?」
「今まで忘れてたかもしれないけど、
帰ってきたらきっと思い出します。
未来のボクは悪い人なんだから、
そうなったらあなたになにをするかわかりませんよ……」
「わ、わかりました」
見張りの男は、未来・夏菜の恐ろしさをよく理解しており、
現在・夏菜を連れ出した。
「あと、未来のボクの服も貸してください。
そうしないと、あなたが命令を聞かなかったことを思い出した
未来のボクが何をするかわかりませんよ」
見張りの男に服を用意させ、音が聞こえないようにトイレからも離れさせると、
現在・夏菜は、安心して用を足そうとしたが。
(あ、これって逃げるチャンスですよね)
現在・夏菜は水だけ流して窓から逃げ、
その後は使用人に未来の自分だと思わせることで、屋敷を脱出した。
(あ、でも結局おトイレしてない……)
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