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リアクション
キマク首長の見方
時間はやや遡る。
首領・鬼鳳帝によりキマク商店街が機能しなくなり、ハスターにより四天王は狙われ、経済からも力からもパラ実を支配すると宣言されたことを、キマク家当主のガズラ・キマクはいったいどう受け止めているのか。
ナガン ウェルロッド(ながん・うぇるろっど)はそれを確かめにキマク家を訪れていた。
立派な屋敷の立派な応接室に通されたナガンの前に、少しして現れたのは身長ニメートルはありそうながっちりした体格の女だった。ガズラである。
姉のバズラとはとても姉妹に見えないほど外見に違いがあった。バズラはポニーテイルの浅黒い肌のわりと美人であった。体格も標準だ。
ただ、目元はよく似ていた。やはり姉妹なのだろう。
威圧感たっぷりのガズラは、それでも当主らしくナガンに「ようこそ」と挨拶をする。
気圧されかけたナガンだったが、目的を思い出すと背筋を伸ばして対面した。
「余計な前置きはなしで聞くぜ。ハスターの動きをどう思う?」
返事次第ではナガンの目的が大きく崩される可能性がある。
「ハスター……渋谷……蓮田レン、か。では、こちらも余計な言葉ははぶこう。──パラ実を乗っ取りたいなら、そうすればいい」
膝の上に置いたナガンの手にわずかに力が入る。
「追い出す気はねぇと……?」
「ないな」
石原肥満がパラ実をつくった時も、ドージェが来てそれを壊した時も、その後ドージェ信仰が起こった時も、彼が去っても、キマク家が治める広大なこの荒野にとってはたいした問題ではない。
そう思わせる姿勢だった。
荒野の砂と時間がすべて飲み込んでいく、というような。
パラ実生の人気を集めつつあるハスターと戦うための大義名分がほしかったナガンからすれば、痛い言葉だった。
キマク家を後にしたナガンは、これからどうするかぁ、と空を見上げるが、そこに答えがあるはずもなく。
とりあえず今は四天王狩りに気をつけつつ、石原校長を探りに行った友人からの知らせを待つより他になかった。
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