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インベーダー・フロム・XXX(第3回/全3回)

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インベーダー・フロム・XXX(第3回/全3回)

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【6】 Re:Re:NOAH【6】


「黄金の大型飛空艇が天沼矛に向かっているだと!?」
 メルキオールの最後の悪あがきだった。ゴールドノアの爆発で天沼矛を破壊し、海京に大打撃を与える算段なのだ。天沼矛が倒壊したとしても、海京が崩壊することはないが、それでも大勢の犠牲者が出ることは避けられないだろう。
 グレート・ドラゴハーティオンは阻止するため、全速力でゴールドノアに追う。
「この海京を破壊させはしない。この私が守ってみせる……!」
『ハーティオン! 聞こえるか!』
「だ、大文字博士!」
 頭の中に大文字の声が聞こえる。
『先日の整備の際、お前さんの新武装を追加した。良かったら使ってみてくれ』
「おおおおっ!?」
 ハーティオンの腕が駆動音を発し、ここに新たなる力があることを知らせる。
「ありがたい! これならば中距離から奴の足を止める事が出来る!」
 前方にゴールドノアを発見した。
「ロケエエェェット! クロー・ナックル!!」
「ゴオオオアアアッ!(おお! 腕が飛んだぞハーティオン!)」
「流石、大門字博士の新兵器! ロマンが溢れている!!」
「ゴオオオアアッ!?(と言うか、よく考えるとこれ変形後の我の体の一部だろ? 我の体になんて事をしておるんだ、あの親父!)」
「なかなかよい装備だと思うが?」
「ゴア!(後で、外すよう言ってくれ。しかし、今は存分に使わせてもらうが!)』
 ハーティオンは船の前方に回り込んだ。
「ドラゴ・クローナックル!!」
 船の前面を殴り、ハーティオンは出力最大で、ゴールドノアを押し返す。
「この身を盾にしても海京に手出しはさせんぞ!」

「これよりグランガクインの起動を開始する! 総員持ち場につけぇ!」
 グランガクイン司令部に、非常警報、そして大文字の声が響く。
 ダリルがコンソールパネルに指を滑らせると、立体モニターに、天学のエネルギー使用状況をグラフ化したもの(ダリルがプログラムを組んだもの)が現れた。
「天御柱学院の全エネルギーをグランガクインに集結」
 グラフの仕様項目が一つを残し”0”に、そしてグランガクインに全て注がれる。
「30秒後に司令部は非常電源に移行する。各員、注意されたし」
 立体モニターに、格納庫の映像が映し出され、真琴と桂輔が現れる。
「先生、ウィスタリアの動力をグランガクインに……」
「違います」
 真琴はピシャリと注意し、眼鏡を光らせた。
「学院保有のイコン全機の機晶エネルギー抽出を完了。グランガクインに集結させます」
 続き、モニターにはグランガクイン・コアでの作業を終えた、イーリャと陣が映る。
「ビッグバン・ボム改め、ビッグバン・ジェネレーターの搭載完了しました」
「ジェネレーターは出力80%で安定。動作良好、各部異常無し。機晶タキオンエネルギー充填開始や」
 雅香は腕組みをして事態を見守る大文字の傍に立った。
「……大文字司令。いえ勇作さん」
「なんだ?」
「この作戦が終わったら私とデートしてくれませんか?」
「……そうだな。デートならサイクリングの後、カラオケ……なんてどうかな?」
「……私もちょうどそんなデートを考えてました」
 大文字は微笑むと、全体の管理・統括を担当している鈴木のところに行く。
「……鈴木君、エネルギーはどの程度確保出来た?」
「そ、その……3%ほどですが……」
「十分だ!」
 それから司令席に座り、高らかに宣言する。
「グランガクイン、超究極変形!!」
「え……。グランガクインは変形するのですか?」
「言ってなかったか。そもそも、君はグランガクインがどこにあると思っていたんだ?」 
「地下に格納庫でもあるのかと」
「全長200メートルの機体を格納出来る施設など存在せんよ」
 不敵に笑う。
天御柱学院普通科校舎とは世を忍ぶ仮の姿、その真なる姿は地球圏絶対防衛用超弩級決戦兵器グランガクインなのだ!
 地上にある普通科校舎の屋上部分が格納され、規格外の超弩級ビーム砲台が出現する。
 今はまだ、完成にはほど遠いが、ゆくゆくは校舎全てが人型兵器の一部となる。
「目標、敵母船動力部。照準補正。風力計算。地磁気計算……諸々の計算を完了!」
「鈴木君、発射司令を!」
「ええ。それでは、ガクインビーム発射……」
「違う!」
「え……?」
 腑抜けた鈴木に代わり、大文字が発射を司令を下す。
ガアアァァァァクイイィィィインビィィィィームゥッ! 発射ァ!!!
 校舎周辺を真昼のように明るくするほどの、閃光と衝撃波を伴って、ガクインビームはゴールドノアの動力部をかすめ、地平線の向こうに消えた。
 船の動力部は蒸発。飛行能力を失った船は、ゆっくりと地面に向かう。

「終わったな……」
「ええ」
 司令部に響き渡る歓声をBGMに、大文字は雅香の肩を抱いた。
「コホン……。ところで、デートなのだが、何時頃が都合がいいだろうか?」
「いつでも大丈夫ですわ。でも、差し当たって今日……お食事でもいきません?」
「おお。それはいい考え……」
 大文字の表情が固まる。
 立体モニターに映る太平洋のリアルタイム映像を食い入るように見つめた。
「あれは何だ……?」
 太平洋の空に”ひび”があった。時空断裂弾の影響で発生した空間の断裂の一種だが、気になるのは何故、未だにそこに”ひび”があるのかである。
 空間の修復力と言うのは我々が思うよりも強い。時空断裂弾で損傷があったとしても、ものの数秒に過ぎなく、それを過ぎれば元に戻る……そのはずなのに。
「こんな異変、誰かが干渉でもせん限り起こらん……」
 ひびが更に広がる。何かが。向こう側から、何かが来ようとしている。

 未来とは無数にある可能性の内の一つにすぎない。
 しかし、我々が掴み取ることの出来る可能性は一つだけである。




 To Be Continued.

担当マスターより

▼担当マスター

梅村象山

▼マスターコメント

マスターの梅村象山です。
大変お待たせしてしまって、申し訳ありませんでした。
また、本シナリオに参加して下さった皆さま、ありがとうございます。

海京崩壊を巡る騒動を描いた、本キャンペーンは今回で最終回となりますが、
魔法少女とグランツ教、それから巨大ロボットのお話は、もうちょっとだけ続きます。

当初、本キャンペーンでは、グランガクインが動くところまで描くつもりはありませんでした。
お気づきの方もいると思いますが、2022年に存在してしまうと、
これまで積み重ねたものが台無しになってしまうと言う、設定的に色々と問題があるイコンなんです。
なので、一部でも動かす予定はなかったのですけど、
起動に協力してくれる人が集まって、かなり説得力のある起動手段が出て来たのため、ああいう展開になりました。
正直、マスターとしても想定外で、判定が難しかったのですが、大変楽しかったです。

一個、今回気になったと言うか、目立っていたのが、クルセイダーに通用する攻撃関係です。
第一回、第二回と出ている情報なのですが、見落とされてる方は結構いらしたと思います。
判定に影響する部分ですので、ここで足を引っ張ってしまうのは、正直勿体ないんじゃないかと。

次回シナリオガイドの公開日はまだ未定です。
決まり次第、マスターページで告知いたしますのでよろしくお願いします。
それでは。また次回もご参加頂けたら幸いです。