空京

校長室

選択の絆 第一回

リアクション公開中!

選択の絆 第一回
選択の絆 第一回 選択の絆 第一回

リアクション


静香とラズィーヤ、ヴァイシャリーの防衛 2

一方そのころ、ヴァイシャリーの街の外のイコン部隊は。

「皆さん、わたくしはここに停戦を宣言いたします!」
ラズィーヤの姿の映像が、イコンの通信と、ネットを通じて流されてきた。
「様々な『誤解』が重なった事は事実ですが。
彼らの真意は我々を害する事ではなく、
大いなる敵の存在を知らせに来たメッセンジャーなのですわ。
今すぐに武装を解除し、戦闘を中止してくださいませ!」
アウリンノール・イエスイ(あうりんのーる・いえすい)が、
ラズィーヤに変装し、
アプトム・ネルドリック(あぷとむ・ねるどりっく)の宣伝広告によって、
イコンの通信とネットへと偽の情報を送ったのであった。
アウリンノールの変装は完璧なものだった。
「ラズィーヤ・ヴァイシャリーの名において命じます!
即刻、停戦を!」

だが、現在は、ラズィーヤ自身も襲撃を受けており、
契約者たちとも連絡を取り合っている。
簡単に信じてもらえるような状況ではなかった。

そうこうするうちに、本物のラズィーヤが、静香とともに、
イコン部隊の方へとやってくる。

「どうやら、時間切れのようだな」
「しかたない、またの機会を伺うしかないようね」
アプトムに促され、
アウリンノールは通信を切った。
2人は、離れた場所に潜伏しており、
迎撃体制の契約者たちが追うことはできなかった。

他方、イコンや巨大生物が、
静香とラズィーヤを追う女騎士たちを待ち構えている。

ヴァイシャリーの街の外縁の水路から、
巨大な海竜が姿を現し、
空中の女騎士に、奇襲を食らわす。
ウォーターブレスで叩き落とされ、光になって消える女騎士を見て、
崩城 亜璃珠(くずしろ・ありす)が、
海竜のサクの頭上より、宣言する。
「せっかくヴァイシャリーにお越しいただいたのですから、
水の街を楽しんでいただかないと。
空から見下ろしているばかりでは無粋でしょう?
さあ、私の前にひざまずきなさい!」

「おいでませヴァイシャリー」の旗を振って、
崩城 理紗(くずしろ・りさ)
亜璃珠の「歓迎」を支援する。
「おねーさま、存分におもてなししてくださいね!」

咆哮をあげながら、サクが、
亜璃珠とともに、女騎士を水中へと引きずり込む。
「じっくりと、お話をいたしましょうか。
そう、あせらなくてもよいでしょう?」

一方、レオーナ・ニムラヴス(れおーな・にむらゔす)は。
ワイバーンのキクリヒメで、
空中にいる女騎士へと突撃を駆ける。
「何だかわからないけど女の子がいっぱい。
これは逃さないわけにはいかないわね!」
百合属性のレオーナが、激しすぎる愛欲により、
ゴボウ片手に女騎士たちに襲い掛かったのを見て、
パートナーのクレア・ラントレット(くれあ・らんとれっと)は、
呆然としていた。
「レオーナ様が、不純な動機で、キクリヒメで飛び立ってしまいました……」
だが、クレアは考え直す。
「……しかし動機は不純とはいえ、
得体の知れない相手を捕縛して調べるのは良いアイデアですよね。
……18禁な展開になって、公表できなくならない限りは」
クレアは、そうつぶやき、状況を見守った。

「あたしの愛は、種族の壁を余裕で越えるわ!」
レオーナが、女騎士をキクリヒメの口で捕縛して、
ナンパともおぼしき尋問をする。
「どっから来たの〜?
種族は一体なんなの〜?」
「放せ! この!」
暴れる女騎士に、レオーナが笑顔で言う。
「怖がらなくていいんだからね。優しく教えて上げるから」
強引にキスを迫るレオーナから必死で逃れつつ、女騎士が言った。
「我らはヴァリュキュリア!
エルキナ様に仕える誇り高き者だ!」
「へえ、ヴァリュキュリアちゃんっていうんだ。
もっとよく聞かせて、ああんっ!?」
百合な感じで迫るレオーナは、ヴァリュキュリアに反撃を喰らった。

一方、
上社 唯識(かみやしろ・ゆしき)
戒 緋布斗(かい・ひふと)は、
ストークの稀緋斗に搭乗し、
薔薇の学舎より、ヴァイシャリーのイコン部隊の支援に駆けつけていた。
「ちょっと失礼します」
相手が女性であることから、唯識は全力で戦うことにためらいがあった。
殺さないで、なんとか情報を引き出したいと思う。
「右から、来ます」
緋布斗がナビゲートを行い、
唯識が操る機晶ブレード搭載型ライフルの一撃で、
女騎士の一人が撃墜される。
「ストークの威力はすごいけど、でもまだ僕はそれをうまく引き出せない……」
落ち着いて、焦らずに戦おうと、
唯識は決意していた。
こうして、着実に、1人ずつ相手取って撃ち落としていく。
撃墜された女騎士たちは、光の粒子になって消えてしまう。
「光の女性騎士……ウゲンが探しているという『光条世界』の者でしょうか」
緋布斗が、その様子を見てつぶやく。
その直後、この予想は、正しかったということが明らかになる。


覚醒光条兵器を桜月 舞香(さくらづき・まいか)に渡して、
パートナーの剣の花嫁、桜月 綾乃(さくらづき・あやの)は、
安全な場所に待機した。
「まいちゃん、私のことは心配しなくて大丈夫だから、頑張ってきて。
でも、無理し過ぎないでね?」
「ええ、今度こそヴァイシャリーの街を守ってみせるわ。
安心して、待っていてね!」
そう言って、舞香は、
ワイルドペガサス・グランツに乗り、
天馬の乙女の機動力で、イコン部隊とともに女騎士へと立ち向かった。

(まいちゃん、かつて東西分裂の時代、
ヴァイシャリーが帝国と西シャンバラから攻め込まれたあの時の屈辱を決して忘れない、
今度こそ必ずこの街を守るって、いつも言ってたから)
思いつめすぎていなければいいが。
そう、綾乃は願っていた。

「光には光で対抗よ!
先生を狙った理由、話してもらうわよ!」
覚醒光条兵器「リボンソード」で、舞香が、女騎士を翻弄しつつ、倒す。

レキ・フォートアウフ(れき・ふぉーとあうふ)も、
ミア・マハ(みあ・まは)とともに、
キラーラビットのラーン・バディに搭乗し、
女騎士たちを迎え撃つ。
「この機体は飛べないけど、ミサイルやグレネードで迎え撃つことはできるよ!」
自分に有利な木の陰などから、レキがミサイルを放つ。
「レキ、感づかれたぞ!」
「こちとら百合園っ子。自分の庭みたいなものだからね。
地理も地形もバッチリさ!」
レキが、ラーン・バディの跳躍力で、
森の中へと隠れながら、
グレネードで攻撃する。
「わらわたちに生身で向かってくるとはな。
じゃが、こちらとて、歴戦の身。
どんなに高い能力をもってしても、イコン部隊の連携の前には敵ではない!」
ミアが、そう言いつつも、けして油断しないように、索敵を行う。

シリウス・バイナリスタ(しりうす・ばいなりすた)
サビク・オルタナティヴ(さびく・おるたなてぃぶ)は、
シュヴェルト13に搭乗して、
外部音声を全開で女騎士たちに呼びかける。
「てめぇら、いきなり何者だ!
なんで静香とヴァイシャリーを襲う!?」
シリウスがそう叫びながら、
ヴィサルガ・プラナヴァハで覚醒し、リーダー格の光のオーラを纏った女騎士に肉薄する。
「正体、見せてもらうよ!」
サビクは、シリウスが呼びかけている間も、デュランダルで格闘戦を繰り出す。
女騎士たちが弾き飛ばされ、
リーダー格の女騎士が応える。
「私は光条世界の使者エルキナ
光条世界とこの世界の交渉に向け、
あなた方、契約者の力を見せていただくわ!」

「光条世界の使者!?
交渉だと!?
それにしては、ずいぶんと乱暴だな、おい!」
シリウスが驚きつつ、応戦する。