空京

校長室

選択の絆 第三回

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選択の絆 第三回
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戦闘狂、業魔 2

 一方、業魔との戦闘も正子や妖刀を手にしたハイナを筆頭に各契約者たちが善戦していた。
「また会ったな業魔! だが戦うのも飽きたろう、今回は道案内でもしてくれよ!」
 そう言いつつ、ダガーを投擲する紫月 唯斗(しづき・ゆいと)
「気が向いたらしてやるよ! 気が向いたらな!」
 業魔に肉薄し、卓越した体術で業魔と殴りあう唯斗。
 後方では、身体強化と武器凶化を発動させたエクス・シュペルティア(えくす・しゅぺるてぃあ)が弓での支援を行っている。
「汝の狙い、賛同は出来る。彼奴等の鼻を明かすのは痛快でだろうて。しかしな、手段が容認できぬ。ならば後は語り合うだけ……無論、武を持ってしてな!」
「この間はぐったりとしていたが、なかなか強いじゃねぇか!」
 エクスは次々と矢を上空へと放ち、亡者たちを巻き込みながら業魔を攻撃。しかし、業魔の付近に飛来する矢は蛇刀により業魔に致命傷を与える事はない。
「はーっはっは! こりゃもう、蛇刀は完璧に攻略されたな!」
「なら、次はお前を攻略するする番だ! 業魔!」
 ダガー、矢に反応しまくる蛇刀を尻目に業魔の懐へと入り込む唯斗は、すかさず業魔目掛けて渾身の正中一閃突きを繰り出していく。
「おう!? 急所を一度につくってか? 俺じゃなきゃ受けるのはキツイ技だな!」
「なら、こんどはどかんと一発!」
 唯斗の後ろから業魔に飛び掛ったエクスが、己の右拳に魔王が持つ闘気を纏わせて業魔の顔面を吹き飛ばす勢いで振りぬく。
 その攻撃を片手で防ぐ業魔だが、その威力のあまり踏みとどまる事ができず後退。
 その間にマレフィキウムで自身を強化して、余っていたダガーを全て投擲する唯斗。だが、そのどれもが業魔の体に突き刺さることはない。
「はっはー! 痒い痒い! しっかし、下の床がすべりやすくて困ったもんだぜ」
「そのまま地獄まで滑り落ちるのはどうだ?」
 業魔の頭上には星辰刀を持ったセリス・ファーランド(せりす・ふぁーらんど)が、落下の加速と共に業魔をぶった斬らんとする。
 その一振りに両手を合わせて、まさかの真剣白刃取りを披露し、眼前のセリスと一瞬にらみ合う業魔。しかしセリスは攻撃を中断し、皆に叫ぶ。
「皆退いてくれ!」
 その言葉を聞いた契約者たちが業魔から離れる。と、動きが完全に止まった業魔へと雨のような光弾が降り注ぐ。
「あちちちっ! 嫌なエネルギーが篭った光だなぁおい!」
「フフフ……脳筋よ……我がいることも忘れるな。セリスだけでなく、我とも戦いの対話……しようではないか?」
 星祭りの銃を片手に不気味に笑うマネキ・ング(まねき・んぐ)。光弾が降り注ぎ終わると再度契約者たちが業魔へ殺到。
「爽麻、もう落ち着いたか?」
「ん……、平気。ありがとう」
 怯えていた硯 爽麻(すずり・そうま)を落ち着かせるため、爽麻を抱きしめていた鑑 鏨(かがみ・たがね)
 爽麻が落ち着きを取り戻したところで、二人も攻撃に参戦する。
「以前……貴様のした提案。横聞きで悪いが、面白みがある言い分だと見受けた。しかし、今は貴様との死合が先だ……!」
「おお、お前らも来てたか! 一杯戦ってこうぜ!」
「そのつもりだ。爽麻!」
「うん」
 愛刀である二本の武器を持ち、自分の持てる武装とメンタルアサルトを併用して縦横無尽に動き回る爽麻。
「ほう! 蝿みてぇな速さ鬱陶しさだ!」
「褒め言葉として受け取っておく、しかしその小太刀、斬れ過ぎて困るのだったな……? ならば、使うことのないよう、折っておいたほうが良いだろう?」
「なら、折ってみせな!」
 と、鏨の右斜め後方に控えていた式神の魔物娘が援護攻撃。更にその攻撃に乗じて爽麻が急接近し、高速で回転しながら斬りつける。
「おもしれぇが、甘い甘い!」
 爽麻の攻撃に対して蛇刀をかざして喰らいつかせる、爽麻の攻撃を止める。その側面から鏨が鈍を使用して蛇刀を絡めとり、遠くへと吹き飛ばす。
「……手抜きか?」
「ちげぇよ。もう蛇刀も見飽きたろうし、散々対策もされてる。んな武器に必死になる必要もねぇ! 俺には、俺の力があるからなぁ!」
 業魔が鏨を殴りつける。その威力は鏨の鍛え上げられた肉体を軋ませ、悲鳴を上げさせる。
「ぐぅ……!?」
「鏨っ!」
「嬢ちゃん、よそ見してると痛い目みるぜ?」
 爽麻が鏨に気を取られた瞬間、業魔の拳が爽麻を殴りつけようとする。