空京

校長室

選択の絆 第三回

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選択の絆 第三回
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リアクション


万魔殿へ

 仲間の力を借りて万魔殿内部へ突入したネフェルティティ・シュヴァーラ(ねふぇるてぃてぃ・しゅう゛ぁーら)たち、そして契約者たち。
 その行く手を亡者や死霊の群れが塞ぐ。近くに業魔の姿はないものの、これを倒さぬ限り先には進めない。
「ソウルアベレイター共め、正義のヒーローであるシャインヴェイダーが相手になろう!」
 魔鎧魔装侵攻 シャインヴェイダー(まそうしんこう・しゃいんう゛ぇいだー)を身に纏った蔵部 食人(くらべ・はみと)が目立つように、あえて大声でそう宣言すると、亡者や死霊の視線は食人へと集約される。
「さあ、ここは俺に任せて皆は先に進むんだ!」
 あくまで目立つように立ち振る舞いつつ、味方を先に行かせるように誘導する食人。
 だが、注目集めてもそれ相応の数の敵がいる。一度蹴散らさない事には進めはしないだろう。
「なら、蹴散らすまでだ!」
 食人は、太陽の光のような輝きは放つ槍を振るい敵の真っ只中へと斬り込み、チャンピオンが誇る武の極み、ソードプレイを発動させ立ち塞がる敵を一掃する。
「今のうちに行くんだ!」
 だが、道を空けた傍からわらわらと他の亡者や死霊が集まり、すぐに道を塞いでしまう。この入り口付近には相当な数の敵がいるようだ。
「……いきなり立ち塞がられるとは、困ったものだ」
 そう言うユキノ・シラトリ(ゆきの・しらとり)も、立ち塞がる敵を除くべく、光術を使用して邪悪なる者を討ち果たしていく。
 しかし、気のせいか、体が小刻みに震えているようにも見える。
 それを不振に思ったジェレミー・ドナルド(じぇれみー・どなるど)がユキノへと問いかける。
「体が震えているようだが、寒いのか?」
「……そんなところ」
「?」
 歯切れの悪いユキノの返答にますます疑問がわくジェレミーだったが、そんな掛け合いすらも敵は許してくれない。
 自分たちを攻撃してきたユキノにも積極的に攻撃を仕掛けてくる。
 何の対策もなし、ただ真正面から来る亡者たちに呼び出した神聖な力をぶつけて迎撃するユキノ。
 ただ、亡者たちが近づくたびに「死霊……亡者……」と言う言葉を呟いているように聞こえた。
「もう、わらわらと……さっさと道を空けなさいよ!」
 脚部に滅殺脚『滅殺美脚』を装備した桜月 舞香(さくらづき・まいか)が前に出る。その後方では彼女を支援するべく桜月 綾乃(さくらづき・あやの)が控えていた。
「皆、ちょっと揺れるけど気にしないで、ね!」

ドンッ!!

 舞香が思い切り地面を踏みつける。と、万魔殿全体が大きく揺れ始めた。
 ケンセイの技、震天駭地。
 それは万魔殿を揺らすだけではなく、敵をも揺さぶり、混乱に陥れた。
 その隙を見た綾乃が瞬時に稲妻の札を用いて、混乱している敵へと稲妻を落とし追撃。
 更に食人やユキノ、ジェレミーたちも攻撃に加わり相対する敵の数は次々と減っていく。
「それで、これがダメ押し! 綾乃!」
「はいっ!」
 綾乃は舞香の呼びかけに応じ、それを聞いた舞香は覚醒光条兵器を発動。
 『リボンソード』と言う特殊な形状をした光条兵器がうねりをあげ、敵の群れをなぎ払っていく。
 嵐のように暴れまわる舞香を筆頭に、食人やユキノのおかげで立ち塞がっていた敵がいなくなる。
「さあ、ここはいいから、行って!」
 ネフェルティティたちは六人にこの場を任せて進軍を開始。万魔殿の奥へ、奥へ。

「ほら、ちんたらしない! またいつ襲われるかわからないんだから!」
「多少暗い……暗視を」
 部下をしかりつけるエリーズ・バスティード(えりーず・ばすてぃーど)、暗視を行うレジーヌ・ベルナディス(れじーぬ・べるなでぃす)
 部下たちに補給物資を運ばせ、何があってもいいようにネフェルティティと共に進軍していた。
 ダークビジョンを使い辺りを見渡すレジーヌだが、先ほどのような敵の群れは見えない。
 後方にも注意を向けるが、契約者たちが奮戦しているおかげか追撃などはなかった。
「敵の本拠地なのに……」
「イーダフェルト破壊にほとんど戦力回しちゃったんじゃない?」
 持ってきていた動物ビスケットを食べつつ最前列を走り続けるエリーズ。そのエリーズが、強い害意を感じ取る。
「……前言撤回、ここはここで十分な戦力持ちのようだよ」
「! 皆さん、前方に敵ですっ」
 しかし、敵がいようと止まっている時間はない。皆身構えながら走り続けると、程なくして開けた場所へと出る。
 そこに佇む者。殺意の篭った目を携えたエギル・ソールズ。
「……またあったな。ええ?」
「それはこっちの台詞ですぅ!」
 エギルの姿を見たエリザベート・ワルプルギス(えりざべーと・わるぷるぎす)が前に出てくる。
「おまえの相手はこの私ですぅ! さっさと道を空けろですぅ!」
「言わなくともそのつもりだ。……私と戦う者以外はさっさと進め。でなければまとめて殺すぞ」
 未だ殺意をむき出しにしているエギルだが、言葉とは裏腹に道を空ける。
「ここを頼みます」
「任せろですぅ。エギルはこの私がギッタンギッタンにしてやるですぅ!」
 エギルとの戦いをエリザベートに一任し、ネフェルティティたちは更に先へ。