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リアクション
第7章
場所は変わりまして、イルミンスール魔法学校。
そこにアーデルハイトに食ってかかっている人物の姿があった。
「ホイップの幸せのために! このままではホイップが助かっても封印した台風に縛られたままですわ! 『台風対策本部』をここに作る事を許可して下さいませ!」
珠樹はアーデルハイトに凄い勢いで詰め寄っていく。
「わかった、わかったのじゃ。事情はイマイチよくわからんが、別に作るぐらい勝手にやっても大丈夫じゃろう」
アーデルハイトの許可をもらうと、珠樹はイルミンスールにある図書室の1つを丸ごと『台風対策本部』として場所をとったのだった。
「ホイップが封印している台風……単に自然現象ではなく、パラミタ特有の魔法を帯びているか、生物の可能性もありますわね。女王器ような魔力を行使した結果ということも……情報が少なすぎますわーっ!」
結局、図書室で1人叫ぶ事になっていた。
■□■□■□■
ホイップの元へは、杖の奪還に成功した人達が戻って来ていた。
「ホイップちゃん! 戻って来たよ!」
エルは馬から降りると直ぐに駆けよった。
これでホイップの石化が解けると思っているのだ。
見兼ねた呼雪が事情を説明すると、エルは杖をぎゅっと握った。
そんな様子のエルをホワイトは胸が締め付けられる思いで見ていたが、耐えきれずジーナ達のいる所へと移動していった。
「よしよし」
ジーナはホワイトの頭を撫でてやる。
ミレイユは軽くホワイトを抱き寄せた。
「小娘、己を磨き、奴を見返す位の気概を持て」
何故かホワイトに多少甘いラグナも、そこにいて言葉を掛けたのだった。
「んで、ホイップはどうやったら戻るんだ? そうだ! オレがキスしてやるよ! こういうのはお約束だろ」
ユウガはそう言うと、ホイップの胸とお尻を何気に触りながらキスを――
「ホイップちゃんに何するんだ!」
「ホイップ殿に何をするつもりだ?」
「ホイップさんにそんなことして覚悟は出来ているかしら?」
「ホイップに何を?」
しようとしたが、近くにいたエル、黎、ルディ、呼雪に威嚇されホイップに触っていた手を苦笑いしながら話したユウガだった。
陣は杖が無事に戻ってきたのを見ても、周囲への警戒を怠らなかった。
むしろ、更に警戒しているように見える。
「杖は戻ってきたが……まだ油断ならねぇな」
「まったくであるな」
さきほどまでジーナと周囲を警戒していたガイアスが陣に同意した。
2人はお互い顔を見合わせると別々に殺気看破で警戒をしていくのだった。
「あのさぁ、悪い事したら謝る……こんなの幼稚園生だって出来るんだよ?」
終夏はロープで縛られたままのおやじにそう言うが、だんまりを決め込まれてしまった。
おやじの顔は武尊が殴った場所が腫れてきている。
「とにかく……謝んなさい」
あんまりにも頑固に口を閉ざしていたおやじに業を煮やした終夏はおやじにチョップをしたが、変化はないようだ。
「どうしたもんかねぇ……」
終夏が溜息をつきたくなるのも無理はない。
■□■□■□■
近くの森の中では戦闘が、いや一方的な攻撃が行われていた。
カレンは森の中で警戒していた為に、女性と対峙していた。
「ホイップは十二星華だったけど、それ以前にボク達の友達なんだ、友達を傷つけようとする人は絶対に許さないよ!」
「だから、なにかしら?」
女性は剣を一閃させる。
危険を感じたジュレールはカレンの前で盾になって倒れてしまった。
「ジュレ!」
カレンは駆け寄ろうとしたが、カレンもそのまま倒れてしまった。
ひなはそのカレンが倒れていく様子を見ながら、隠れ身で間合いを詰めていた。
(一気にたたみかけますよーっ)
至近距離へと間合いを詰め、ヘキサハンマーによる則天去私を叩き込もうとした。
「あら、まだいたんですわね」
女性は優雅な動作で剣を薙いだ。
「うっ」
居を突かれたのはひなの方となってしまった。
リースに頼まれ、隠れ身を使ってこういう事態に備えていた雛森 沙奈(ひなもり・さな)も駆けつけた。
「リースの友達は私にとっても守るもの。ここは行かせないよ!」
沙奈は綾刀を構えた。
「邪魔ですわ」
そう言うと、造作もなく沙奈も切りつけられてしまった。
「リー……ス……ごめんね……」
呟くと沙奈は気を失った。
「わっわっわっ! え、えっと一体何が起きてるの!?」
森の中が騒がしいと入口からここまで戻ってきた鳳明がこの惨状に辿り着いてしまった。
近くには倒れている人達。
女性が剣を振り下ろした。
「わっ!」
鳳明は後の先によってなんとかギリギリ避けられることは出来たが、髪の気が少し切れていた。
「あら……ごめんなさい」
何かを謝った女性。
素早く間合いを詰められ――
「ちょっと油断してましたわ」
切られた。
防衛は不可能。
ホイップの元へと女性――ティセラが到着してしまった。
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