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結成、ガーディアンナイツ!

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結成、ガーディアンナイツ!

リアクション


ACT6 VSミスターカメレオン


 トラップを仕掛けていたガーディアンナイツたちは突然聞こえてきた爆音に作業していた手を止めた。
 見れば、サンドタウンに向かってやってくる集団の影。
 ミスターカメレオンが帰ってきたところを迎撃するつもりだったガーディアンナイツのメンバーたちもその音を聞いて思わず外に飛び出していた。
「ねぇ、ブリジット。この音なによ?」
 そう言ってパートナーのブリジットにしがみつくのは舞。
「わからない。騎士団のみんなに聞いてみましょう」
 ブリジットはそういうとカサブランカの騎士団へと通信を入れた。すると向こうから思いもよらない返事が返ってきた。
「ええ〜っ! ミスターカメレオン一味がもう戻ってきたの!?」
 ブリジットの叫び声を聞いて、ガーディアンナイツたちの間にも緊張が走る。
 カサブランカの騎士団によればミスターカメレオンの一味が予定よりも早くサンドタウンに帰還してきたという。
 空飛ぶ箒に乗って空から状況を確認しに行った明子の情報によると、敵の数は話に聞いていたよりも多いようだ。
 そしてカサブランカの騎士団も援護するためにサンドタウンに向けて出発したという。「ん〜、なんか予定とは違うみたいだけどやることは変わんないよね?」
 ブリジットの話を聞き終えた小柄で子供っぽい雰囲気のミルディア・ディスティン(みるでぃあ・でぃすてぃん)はみんなにそう聞いた。
「はい、そうです。ミスターカメレオンを倒す。それは変わりません」
 それに答えるのはアルコリア。
「そう――誇りも信念もない悪は討ち捨てるのみ」
 目つきの鋭い金髪のウィザード・イーオン・アルカヌム(いーおん・あるかぬむ)はそう言いながら拳を握り締める。
「来たか――!」
 酒場の屋根に上っている正義はミスターカメレオン一味が町の入り口付近まで迫ってきたことを確認すると、自前のヒーローお面を被り戦闘準備を整えた。
「なんだなんだ! もう来たのか!?」
 罠を仕掛けていた閃崎静麻は思っていたより早くやってきたミスターカメレオン一味たちを見てそう叫ぶ。
 罠がまだ完全に設置しきれていなかったのだ。それは静麻だけではなく他の者もそうだった。
「おのれっ、来てしまったものはしょうがあるまい! 今ある仕掛けだけでは不満だが、一旦非難する」
 そう言って毒島大佐とパートナーたちは仕掛けたトラップの有効範囲内から遠ざかる。
「安芸宮さん、敵がもう来たみたいですわ!?」
「くそっ、まだこっちの仕掛けは完全じゃないのに――とりあえず用意できたペイントボールで敵の透明化を阻止できるようにしましょう」
 安芸宮和輝とクレア・シルフィアミッドはそう言葉を交わすと急いで屋根の上へと登っていく。
 他のものたちもそれぞれ物陰に隠れるなどして敵が罠にかかるのを待つ。
「カメッへーイッ! ガーディアンナイツとかいうクソ野郎どもめぇッ、この俺様が叩き潰しやるゥッ!!!」
 と、スパイクバイクや馬などに乗った賊集団の中心で波羅蜜多ツナギを着たカメレオンの姿をしたゆる族――ミスターカメレオンが雄叫びを上げる。
 ミスターカメレオン一味はガートルードからの連絡を受け、増援を加え急遽サンドタウンへと引き返してきていた。
 そのミスターカメレオン一味の先頭集団が入り口を通過していく。
 と矢霧やメイベルたちが仕掛けたガラス片などを踏んだバイクがタイヤをパンクさせ、他の車両へ突っ込んでいく。
 衝突した何台かのバイクは炎上し、派手に燃え上がる。
「何台かは減らせたか」
 それを見て矢霧はつぶやく。
「作戦成功ですぅ」
「やったね、メイベル!」
「こうなるのは当然と言えば当然ですわ」
 メイベルとパートナーのセシリア、フィリッパは喜びの声を上げた。
「トラップか! クソ生意気なァァッ!!」
 ミスターカメレオンは体を赤く変色させて怒りを全身で表す。そして部下達に号令を出して進んでいくルートを変える。
 だがカメレオンが進路を変えた先には防馬柵が設置されており、防馬柵を越えたがならない馬たちが足を止めてしまう。
 そして後ろのバイクと追突を起こし、戦闘不能に陥っていく。
「ぐぅっ、こんな柵はスパイクバイクで突っ込んで破壊しちまえッ!!」
 カメレオンの指示でバイク隊が突撃して柵を壊して進む。
 屋根の上に待機していた御凪真人と名も無き白き詩篇、そしてその向かいにいる和輝とクレアは互いに協力してカメレオン一味を狙う。
「いきますよ!」
 真人は柵を壊して進んできたスパイクバイク隊の上空に大量の小麦粉袋を放り投げる。
 そして袋に向かってライトニングブラストを放って爆発させた。
「ぐわぁっ!?」
 大量に撒き散らされた小麦が目潰しとなってスパイクバイク隊は操縦を誤って壁に激突していく。その弾幕を無理に突っ切っていくものは乗り手の高さに仕掛けられたワイヤーに引っかかり、バイクから弾き飛ばされていく。
「トドメはこれじゃあ!」
 そういうのは白き詩篇。動きの止まった敵の中心にヘヤースプレーを投げ込み、火術を放つ。
 着火されたヘヤースプレーは爆発を起こし、敵を飲み込んだ。
「カ、カメェェーーーッ!」
 ミスターカメレオンはバイクを急ブレーキでなんとか止めて爆発からは逃れた。
 と、和輝とクレアが動きの止まったカメレオンに向けて頭上からペイントボールを投げつける。
「むッ!?」
 と、カメレオンは落下してくるペイントボールにすぐさま気付くとバイクから飛び退いてそれを回避。
 そして一瞬で姿を消した。
「安芸宮さん、あの方はどこにいってしまわれたのですか?」
「くそっ、わからない」
「罠を仕掛けていた奴らはあいつ等だ。やっちまえーッ、カメレオンズ!」
 と、いつの間にか仲間のバイクに乗り換えたカメレオンは屋根にいる4人を指差すと部下のカメレオンズに攻撃を命ずる。
「カメッへーイ!」
 カメレオンズ――カメレオンのマスクを被り怪しい掛け声を上げるミスターカメレオン親衛隊――は手にしたトミーガンを上空に向けて撃ちまくる。
 その間にカメレオンは他の部下達と共に進路を変えて町の奥へと向かう。
「おめえら二手に分かれて進むぞ! まだ罠があるかもしれねぇから気をつけろぃッ!!」
 ミスターカメレオンのそういうとカメレオン一味は二手に分かれた。
 と、そんなカメレオン一味の片方を今度は毒島が仕掛けた凶悪なトラップ群が襲い掛かる。
 簡易クレイモアが爆発し、中に詰め込まれていた釘やガラス片、鉛玉にやられるもの。ワイヤートラップに引っ掛かり、飛んできた刃物群の餌食になるもの――そのトラップに引っかかったものたちは言うまでもなくみな動かなくなった。
「……ちっ、やはり全員は仕留められなかったか。それにコチラにはミスターカメレオンの姿がない」
 罠の効果を確認した毒島はそうつぶやく。
「でもそれなりに数は減らせましたね」
「そうだな、十分だろ」
 そういうのはプリムローズ・アレックスとジギタリス・ハワード。
「貴様らは甘い……我はこの程度ではまだまだ満足は出来ん。ああっ、もっと時間があれば――」
 毒島はそう言って悔しそうにするのであった。
「カッ、カメェッ! なっ、なんだこのトラップは!?」
 一方、ミスターカメレオンは静麻たちが仕掛けたトラップに襲われていた。
 タライが頭上に落ちてきたり、ハリセンが出てきて顔面を殴られたりするカメレオン。
 ダメージはまったくといっていいほどないのだが、彼の自尊心はとても傷つけられていた。
「ふざけてんのかガーディアンナイツ! ヤるときゃしっかりヤりやがれェッ!!」
「……そう焦るなって、ミスターカメレオン」
 と、ミスターカメレオンの叫び声を見張り台の上に隠れながら聞いていた静馬はそうつぶやく。手には目玉のトラップ・噴水装置のスイッチボタン。
「目標、そろそろトラップ位置に到達します」
 同じように見張り台に隠れながら敵が到達するタイミングを伝えたのは機晶姫のクリュティ・ハードロック。
「よし、ポチっとな!」
 と、静麻がボタンを押した。
「チクショー、俺様をバカにしやがって! ガーディアンナァァイツッ、生きては帰さねぇ!!」
 だがミスターカメレオンは何事もなく噴水トラップの前を通過していってしまった。
「……んっ、あれ?」
「失敗……ですね」
 何度もボタンを押す静麻の横でレイナ・ライトフィードは言った。
「もう、なんで失敗しちゃったのー!」
 そう言って頬を膨らませる閃崎魅音は静麻をじっと見つめる。
「あっ、いやっ、時間がなかったとは言えちゃんと作ったつもりだったんだが……」
 静麻はそういうと苦笑いを浮かべた。



 二手に分かれていたミスターカメレオンの部隊は町の中心部辺りまで来るとひとつに合流し、その動きを止めた。
「カメッへっ……これは随分な歓迎だなぁ」
 そう言うミスターカメレオンの前には、ズラリと並んだガーディアンナイツたち。
 彼らはすでに戦闘態勢を整えてミスターカメレオンを待ち受けていた。
 罠に掛かり、数が多少は少なくなったカメレオン一味はバイクなどから降りるとそれぞれの得物を手にとって、戦闘態勢に入る。
「おまえ達がガーディアンナイツとかいうミルザムの犬っころか。俺様の島をよくも荒らしてくれたなぁ――この借りはデカイぜ?」
「この町は元々お前のものじゃねぇぞ」
「うるせぇ! それよりいいのか、俺様に刃向かってよ? こっちには人質がいるんだぜ? 俺の命令ひとつで全員皆殺しよ!」
「やれるものならやってみろ――やれるものなら、だがな」
「なに!?」
 カメレオンは無線を取り出すと人質の見張りをしているはずの部下達に呼びかける。だが応答がない。
「くそっ!」
 ミスターカメレオンは無線機を地面に叩きつけて、怒りで顔を歪める。
「現れたな、カメレオン怪人!」
 と、酒場の屋根に上っていた神野正義がミスターカメレオンに向かって叫んだ。
 この場の視線が一気に正義へと集中する。
 正義はみんなの視線を浴びながらポーズを決めて名乗りを上げた。
「人々が巨大な悪によって嘆き苦しむ時……それを救うため、正義の味方は必ず現れる! パラミタ刑事シャンバラン! ここに参上!!」
「そして、そして――!」
 と、今度は正義の横から声が上がり、みなの視線はそちらに移った。
 そこに現れたのは霧雨透乃。彼女もポーズを決めて名乗りを上げる。
「熱い拳に想いを乗せて! 殴るっ、燃やすっ、ぶっ壊すっ!! ”烈火の拳姉”ここにさんじょー☆」
 二大ヒーロー(?)揃い踏みと言いたいところだが、まだ終わりではない。
 今度はそのふたりの上空から空飛ぶ箒に乗った緋柱陽子の声があがる。
「強く慎ましく、皆の助けに……”静寂の癒姫”、いっ、いきます」
 透乃から渡されたカンペを読みながらたどたどしくそう言い切った陽子は顔を赤く染める。
「――あいつらはなんなんだ?」
 3人の名乗りを聞いたミスターカメレオンはポカンとした顔でつぶやく。
 周りの部下たちやガーディアンナイツたちもポカンとしている。
「いくぞ、とぉっ!!」
 と、正義が威勢良く屋根の上からジャンプする。
 それに続き、透乃と陽子も地面へ向かってジャンプした。
「――うおっ!?」
 だが正義だけが着地に失敗。変な角度で地面に落っこちた。
「ぐぅぅ……なかなかやるな! だが、俺は悪には負けん!!」
 よろよろと立ち上がりながら正義はそう叫ぶ。
 そして剣の形をした光条兵器を生じさせると、ミスターカメレオンに向かって一直線に走りだした。
「いくぞ、悪のカメレオン怪人! このシャンバランブレードで成敗してくれるッ!!」
「チッ、なんだかよくわからんがもうやるしかねぇ――ここにいるガーディアンナイツ、全員まとめて片付けちまえ! 行けッ!!」
 こうしてミスターカメレオンとガーディアンナイツの戦いの火蓋は切って落とされた。