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ホレグスリと魂の輪舞曲

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ホレグスリと魂の輪舞曲

リアクション

 試飲会会場から少し離れた、雲海の見える展望台。
 霧雨 透乃(きりさめ・とうの)は、緋柱 陽子(ひばしら・ようこ)にキスをして、中に舌を入れた。誰にも見られていないんだから、これくらいいいよね。
(陽子ちゃん……)
 失ったと思った時に初めて気付いた、かけがえのない彼女だけれど、こういう時に遠慮は要らない。喜んでくれるって、知っているから。
 深く深く舌を入れ、絡める。
 そこから先は、流石に寝室で、だけれど……
 少しくらいは、いいかな?
 陽子のスカートの上から、少しだけ。
「…………!」
 口を塞がれていたので悲鳴も上げれず、陽子は驚いてぱっ、と離れた。
「と、透乃ちゃん! あ、違うんです! 私……」
 透乃にいじめられたりからかわれるのは、本当は凄く嬉しい。だけど、どうしてもそれを素直に表せなくて……。何故か、寝室でならなんともないのだけれど。
「いいんだよ、陽子ちゃん」
 陽子ちゃんの癖は、ちゃんとわかってるから。
「ねえ、陽子ちゃん、今日はたまたま、ホレグスリ騒ぎの日と被っちゃったけど……欲しかった?」
 訊かれると陽子は、躊躇い無く即座に首を振った。
「私は自分の意志で動けないことの恐ろしさを知っていますので、ホレグスリは要りません。無くなってしまえばいいとさえ、思っています」
 透乃は微笑して、陽子の手を取る。
「片思いのブラッドルビーも否定した私にも、勿論ホレグスリは必要ないよ。今まで一緒に楽しいことや辛いことを経験して育んできた私達の想いや関係を、大切にしたいから……」
 そうしてもう一度、キスをする。
 今日はこのまま、寝室へ。

 リュース・ティアーレ(りゅーす・てぃあーれ)白波 理沙(しらなみ・りさ)は、展望台から降りて遊歩道を歩いていた。景色を楽しんだりお互いの近況を語ったり、午前中に観た映画の感想を話し合ったり、なんだかんだで結構長い時間、展望台で過ごしていた気がする。
(久しぶりにデートできて嬉しいな……。この公園もすごく落ち着くし、また来よう)
 メインの芝生広場から、人々のざわめきが聞こえてくる。来る時にはやっていなかったが、何かイベントが開かれているらしい。
「なんだか楽しそうだな。行ってみるか?」
「うん!」
 リュースの提案に乗って会場へ足を向ける。その途中で、同じく会場へと歩いていた鈴倉 虚雲(すずくら・きょん)と行き会った。
「偶然だな、イベントに来たのか? おまえにはあまり必要ないような気もするが」
 虚雲は、ミレイユ・グリシャム(みれいゆ・ぐりしゃむ)アイドルレア写真集・雨雪の夜(ぷれみあばんりんのれあしゃしんしゅう・くれっしぇんどすのう)通称、雪を連れていた。
「いえ、たまたま来ていただけですよ。あそこでは何をしているのですか?」
「ん? あ、いや……」
 訊かれて、虚雲は少し言いづらそうな表情になった。
「まああれだ。独り身の連中が集まる場所というか……だな」
「? ああ……少し大規模な合コンみたいなものでしょうか」
「そ、そうだな、そんなもんだ。だから、デート中には近付かない方がいいぞ」
 言われて、リュースと理沙は顔を見合わせた。そしてお互いに苦笑すると、公園の出口に目を遣った。
「そうですね。では……」
「試供品ですから、遠慮なくどうぞー!」
「まだまだあるよー!」
 その時、彼等の所に真菜華とピノがやってきた。イベントのバイトでもやっているのか、おそろいの格好で紙コップを乗せたトレイを持っている。中身を見て、リュースは首を傾げた。理沙は公園を歩いている猫に目を奪われていて彼女達には興味がないようだった。
「ピンク色であまり香りがしませんね。これは、スポーツドリンクか何かですか?」
 真菜華はきょとんとしてから、当然のように言った。
「そうだよ?」
「そうですか、では2つもらいましょう」
 リュースは紙コップを2つ持って、猫を追いかけてふらふらと移動する理沙を追いかけていった。
「お、おい! それは……!」
「そちらもどうですかー?」
 慌てて止めようとしたところで声を掛けられ、虚雲は2人を振り返った。
「1つくれ……いや、だから1つで。断固として1つで」
 3つ差し出されたうちの1つを受け取ってから、ジト目で彼女達に言う。
「これ、ホレグスリだろ。あの2人は恋人同士なんだぞ」
「だから?」
「『だから?』って……! まあいいか。恋人同士だし……ん?」
 虚雲は、バイクの停車音を聞いてそちらに視線を流した。知った顔が公園に入ってくる。
「そんじゃあな。あんまり悪戯するもんじゃないぞ」
「あ、キョンお兄ちゃん、待ってよー」
「…………」
 そうして3人はその知り合いの元へと歩いていった。
 真菜華とピノは顔を見合わせ――
「ねえねえ、マナカ達も飲んでみよっか! どうせだから、あの新しいの!」
「うん! 飲も飲も!」

「理沙、試供品をもらってきたよ。スポーツドリンクだって」
「あ、ラッキー! ちょうど、何か飲みたいと思ってたんだ」
 理沙は猫から目を離すと、リュースから紙コップを受け取って一気に飲み干した。リュースもあっという間に中身を空にする。
「……あれ?」
 違和感に気付いたのは、理沙が先だった。さすが、過去に2回も飲んでいるだけのことはある。
(しまった……この味はホレグスリだわ……。あぁ……段々身体が熱くなってきて妙な気分に……でも……)
「うっ!?」
 自分のものじゃないように、身体が熱い。ドクドクしてくる胸を押さえ、リュースは紙コップを見下ろした。底にあるピンク色の水滴を見て考える。
(スポーツドリンクじゃ、ない? ……媚薬が入ってたとか?)
「今回は、リュースが相手だから安心よね……」
 そう言って見上げてくる理沙が、いつも以上に可愛く見える。
(駄目だ……触れたいっていうか……抱きたい……いやそれは……)
 脳と身体が切り離されたかのように、手が理沙の腰に触れる。
(駄目だ、身体が言うことを利かない……こんなのの所為じゃなく、ちゃんと段階を踏んで触れたり抱いたりしたいのに……)
 盛りを迎えた猫みたいに、首や胸、腰にキスをする。服を邪魔に感じて中に手を入れて愛撫する。ついでに、柔肌を覆っている分厚いモノのホックを外した。
「今まで……みたいに……必死にならなくても大丈夫……て……リュース、何してるの……??」
 色々されてる……? けど……
(あ、そんな……でも、もう抑えるの無理……)
 ホレグスリが効いてきて、頭が回らない。
「……好きにしていいわ……」
「…………!」
 その言葉をきっかけに、リュースは止まらなくなった。
「今の理沙、可愛過ぎて……他の誰かに見せたくない」
 木々が密集している所まで行って、ジャケットを下草の上に投げるとその上から理沙を押し倒す。
 服を脱がし脱がされ、お互いに相手の肌のぬくもりを直に感じる。
 とろけるような意識の中で、理沙は湧き上がってくる想いに身を委ねた。
(あまり一緒にいられなくって、本当は寂しかった……でも、多分リュースは気付いてないよね……そう、ずっと寂しかった……)
「リュースの大切な場所に、私は居られない……だから……」
 抱き締める腕に力を込めて。
「……今のこの時間を、大切にしたいの……」
「理沙……」
 痛いほどに伝わってくる気持ち。彼女が望むなら、オレは……
 それでも拭えない、小さな棘。
(でも、この媚薬を作った奴はとりあえず殺さないとな……)

「それじゃあ、たっぷりと楽しんじゃうとしましょー」
 ひなと沙幸は、ホレグスリを口移しで飲ませ合った。いきなり飲みこむのではなく、少しずつ喉に送り込んでいく。身体に浸透させるように。少しずつ、でも確実な量を消費して。全身の性感帯が敏感になっていく、感覚。
「ひ、ひな、コレ……すごく気持ちいいね?」
「最高ですー。楽しむコツは、自重しないことですよっ」
 焼きアイスクリームみたいに、甘くてあたたかくて――そして、身体を求め合う。
 でもこのままだと、なんだか……
「密着してると、お互いの巨乳が気になっちゃうね!」
 沙幸がひなの服に手をかけると、ひなも沙幸の服を脱がしていく。
「服なんていらないですよー。飛ばしちゃえーっですっ!」
 抱き合って、胸同士をぎゅーっとくっつけて、潰し合うように、隙間が無いように、ぬくもりで熱くなれるように。
「胸の杯が完成なのです〜! ホレグスリを溜め込んでみましょー」
「これを一緒に啜って飲むのも、面白いんじゃないかな?」
 出来たくぼみにホレグスリを流し込んで、それを零さないようにすすり込む。2人の汗が薬に混じって、少しだけしょっぱくて、それがまたくせになる。
 全部飲みきって絡み合いながら、沙幸が言う。
「そうそう、カラダで作れる杯はこれだけじゃないんだよ?」
「「フ、ト、モ、モ」」
「ですねーっ」「だよ!」
「こうやってフトモモをぴったり閉じて……出来た窪みに胸の谷間を通してホレグスリを注ぐだけっ!」
 ひなも太股の間にくぼみを作って、ホレグスリをたっぷりと注ぐ。
「えへへー、さゆゆも沢山飲んじゃってくださいです〜」
「私の方はいつでも準備できてるよっ。ひなも遠慮しないで飲んでねっ」