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「暗き森のラビリンス」生命を喰い荒らす蔓

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「暗き森のラビリンス」生命を喰い荒らす蔓

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第4章 生命を吸い取る植物

「ここが6階ですか。道が沢山分かれていますね」
 メイベルはどっちの方へ進んだらいいのか考え込む。
「分担して探した方がいいね・・・、僕たちは右端にいってみよう。(うぅっ、薬が切れちゃっているから立っているのがやっとだよ)」
 大勢で固まって探すよりはと、セシリア・ライト(せしりあ・らいと)が提案する。
「そうした方がいいですね」
 足元をふらつかせる彼女をメイベルが支える。
「私たちはここで待っているわ。皆迷子になるわけにもいかないから」
 ワープ装置の傍で小鳥遊 美羽(たかなし・みわ)たちは、見つけたら知らせてほしいと待つことにした。
「見つけたらすぐ知らせにいくね」
「時間もありませんし、急ぎますわよ」
 フィリッパ・アヴェーヌ(ふぃりっぱ・あべーぬ)はメイベルたちについていく。
「では遙遠も一緒に行きます」
 一緒に捜索しようと緋桜 遙遠(ひざくら・ようえん)も同じ通路を進む。
「俺たちは真ん中の道を行きましょうか」
 陽太はエリシア・ボック(えりしあ・ぼっく)と共に捜索する。
「気配を消していても、蔓に察知されちゃうかもしれませんから一緒に行きますね」
 遠野 歌菜(とおの・かな)と彼女のパートナーが、妖精を探す生徒たちを守ろうと同行する。
「オレたちは左端にすっか」
 陣はパートナーと共に残った通路を選ぶ。
「僕たちはどの道を行こうか?」
 一緒に行動しているエル・ウィンド(える・うぃんど)に、リアトリス・ウィリアムズ(りあとりす・うぃりあむず)がどの道にしようか聞く。
「そうだな・・・陣さんたちがいった方へ行ってみよう」
 エルも道を選びリアトリスと共に進む。



 ズズッズルズルと生き物から生命を吸い取ろうとフロア内の蔓が蠢く。
「あの向こうに行くためには倒して通らないといけなさそうですね・・・」
「わたくしが片付けますわメイベル様。セシリアさんとそこを動かないでください」
 フィリッパは幻槍モノケロスの刃から爆炎波の炎を放ち蔓を灰にし消滅させる。
「今のうちに通りますわよ。―・・・くっ、もう生えてくるなんて。邪魔ですわっ!」
 彼女たちより先に走り、絡みつこうとする蔓を焼き払う。
「今度は毒草ですか、道に迷ったり最悪ですね」
 道を塞いでいる灰色の毒草を睨み、遙遠がブリザードの寒波で凍てつかせ一掃する。
「片付ければ通路があると思ったんですが・・・」
「こっちは行き止まりのようですわ」
「他の2つの道のどちらかが正解かもしれません」
 分かれ道のところへ戻ろうとメイベルたちは息をきらせながら走る。
 一方、陣たちは入り組んだ道を迷いそうになっていた。
「たしか向こうにはいったよな?」
「そうだよ」
 問いかけられたリーズ・ディライド(りーず・でぃらいど)が頷く。
「道が2つに分かれているな・・・」
「どっちへ行くの、悩んでいる暇なんてないよ!」
「あぁっもう、分かってるつーの。右側にいってみっか。この先は一本道みたいやね、走るぞ!」
 リーズに急かされ陣は感を頼りに選び、パートナーたちと共に全速力で走る。
「―・・・げっ、もしかして戻って来たんじゃないかこれは」
 先ほどの分かれ道の片側から戻って来てしまった。
「迷ったということでしょうか」
 小尾田 真奈(おびた・まな)が不安そうな顔をする。
「さっきから同じところばかり、ぐるぐる回っているように思えます」
「どうする?陣くん。さっきのところに戻って、違う道を行ってみる?」
「んぁああくそっ、急げぇえーっ!」
 ぜぇぜぇと息をきらせ、大切な友人を助けようと必死に走る。
「あれ、陣さんこっちじゃなかったのかい?」
 道の途中でエルに呼び止められる。
「違ったみたいだ。他にも道があったから、どっちかだと思うんだけどな」
「ん・・・何かを引きずる音が聞こえるよ」
 大きな犬耳をぴくつかせ、リアトリスがエルたちに知らせる。
「オレたちの話し声に反応したんか。焔の魔術士を舐めんじゃねぇ!」
 行く手を阻もうとする蔓を陣がファイアストームの炎で焼き尽くす。
 植物の化け物を葬り、分かれ道のところへ戻って来た。
「はぁっ・・・やっと戻ってこれた。(どっちに行けばいいんだ、また違う道を行くわけには・・・)」
 これ以上ロスタイムするわけにはいかないと、どっちの道を行けばいいか考え込む。
「陣くん後1時間だよ!」
「もう20分も経ったのかっ。くそ・・・道を間違えて行き止まりや永遠に彷徨わされるのはごめんだ。どっちだ・・・こっちにしよう」
「え・・・そっちはハズレだったんですか?」
 メイベルたちがいった道へ行こうとすると、4人もハズレだったらしく戻って来た仲間と遭遇した。
「じゃあ真ん中ってことか」
「行ってみましょう」
 陽太たちが通っていった道を進もうと再び走りだす。



「こんなところじゃ、さすがに足音を立てないように進むのは無理ですね・・・」
「いつ気づかれるか分からないから、気を抜いたらいけませんわよ陽太」
 いくら身を隠しながら妖精を探しているからといって、油断しないようにエリシアが注意する。
「うぁあ!?」
 陽太の足音に気づき、蔓が彼の足に絡みつく。
 ギリギリと絞めつけ体力を奪い取る。
「このっ!」
 パニックになった彼はセルフモニタリングで気を落ち着かせ、星輝銃で蔓を撃ち足から引き離す。
「まだいるみたいね」
 天井から襲いかかる毒草の殺気を感じ取った歌菜は、幻槍モノケロスの刃からアルティマ・トゥーレの冷気を放ち、凍てついた植物の化け物を粉々に破壊する。
「道が4つあるぞ、どっちに行けばいいんだ?」
 どの道を進むのかブラッドレイ・チェンバース(ぶらっどれい・ちぇんばーす)が歌菜に聞く。
「うーん・・・左から2番目かな」
「そっちだな」
「あぁ、でも間違えたら時間の無駄になっちゃう。やっぱり一番右かな、その隣の気もするけど」
「自分がそこだと思ったところを進めばいいんじゃないのか?」
「そうね・・・1番最初に決めたやつにするわ」
「カナらしい答えだな。―・・・平気か羽純、歩けるか?」
 能力が減退して走るのがやっとの月崎 羽純(つきざき・はすみ)を見て、背負ってやろうかと声をかける。
「平気だっていってんだろ!」
 ムッとした顔でブラッドレイを睨む。
「じゃあ置いて行かれないように、ちゃんとついて来いよ」
 まだ平気そうだと安心してニッと笑い、歌菜が選んだ道を進む。
「あっ、いました!」
 ブラッドレイの後ろ姿を見つけ、メイベルたちが駆け寄っていく。
「どうしたんだ。違う道に行ったんじゃなかったのか?」
「行き止まりだったんでこっちに来たんですぅ」
「また分かれ道ね・・・。2つのうちどっちかしら」
 歌菜の方へ行くと、彼女はどっちの道がアタリか悩んでいる。
「間違ったら元きた道に戻っちゃうかもしれないし・・・。うーん・・・左に決めたわ」
 通路を進むとドアのない、大きな部屋の入り口へたどり着いた。
「アタリだな、よくやった歌菜」
「最初に決めた道を変えないでよかったわ!」
 ブラッドレイに褒められ歌菜は笑顔になる。
「僕は皆を呼んできます。戻って来るまであまり敵を刺激しないでくださいね。相手を追い詰めるとかえってアウラネルクさんに何をするか分かりませんから」
「分かったわ、よろしくね」
「たしかこっちでしたっけ」
 陽太はワープ装置の傍で待機している生徒を呼びに向かう。
「時間がありませんわ」
「後50分・・・急がないと!」
 箒に乗っているエリシアと共に全力で走る。