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「暗き森のラビリンス」生命を喰い荒らす蔓

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「暗き森のラビリンス」生命を喰い荒らす蔓

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第6章 悪意の実験の完成を阻止せよ

「ちっもう来たか」
 追って来た趙天君の姿を見て、陣が舌打ちをする。
「もう後8分しかありませんよー」
「やかましいっ」
「蔓さんたちカモォンですよぉ」
 クリーチャーを呼び陣たちを捕らえようとする。
「あわわぁあっ」
「陽太!まったく情けないですわねっ」
 またもや蔓に捕まってしまった彼を助けようと、エリシアは植物を火術で焼き救出する。
「―・・・っ!」
 蔓が歌菜の両腕に絡みつき、身動きがとれなくなる。
「カナ、今助けてやるからな」
「もーいかぃ、もーみぃーつけたでぇす♪」
 彼女を助けようとするブラックコートで気配を隠しているブラッドレイを見つけ、傍にいる羽純も蔓で捕縛してしまう。
「ちくしょうこのぉお」
「うぁああ」
「きゃはははっ、体力を吸われて枯れてしまうといいです」
「わたしくが助けますから、皆さんは先に行ってください」
 フィリッパが爆炎波で蔓を焼き落とす。
「ありがとうございます」
 歌菜は地面から立ち上がり、助けてくれた彼女に軽く礼を言う。
「ぁあれ〜?まだ希望を捨ててなかったんだ」
 絶望の海に沈めようとマッシュがペトリファイで毒草を増やす。
「またあなたですか!この前はだいぶ時間をとられてしまいましたが。今回はそうはいきません」
 遙遠はブリザードで毒草を死滅させようとする。
「私の炎とどっちが強いかな?」
 ファイアストームを放ちシャノンが遙遠の術を相殺してしまう。
「グラスの氷よりも頼りない氷だ」
 小ばかにしたように言い放つ。
「ではもう一発、試してみましょうか?」
 表情に出さないものの、遙遠は心中でムッとする。
「ほぉう・・・次は火傷を負っても知らないぞ?」
「この蔓と毒草は私たちに任せて行ってください!」
「しかし・・・」
「ここで誰か足止めをしなきゃいないなら仕方ないじゃないですか。その変わりアウラさんをちゃんと助けてあげてくださいね」
 蔓を倒そうと歌菜と彼女のパートナーたちはその場に残った。
「これくらい、どうってことないですね!」
 体力を少しくらい奪われても平気だと、冷気の刃で生命を喰らう化け物を凍てつかせる。
「まったくこいつらどんだけいるんだ」
 天井の蔓をブラッドレイがアシッドミストで溶かし落とす。
「羽純くん無理しないで」
「歌菜・・・これだけお前が頑張ってるんだ。そして、俺とブラッドレイが居る。出来ないことなど、ないさ。そうだろう?」
 パートナーを狙う毒草を羽純が炎術で焼き払う。
「思った以上に数が多いぞ、平気か?」
「これくらい問題ないっ」
「そうか・・・だったらそっちは任せたぞ」
「皆必死に耐えているんだから、私たちも頑張ろうっ」
 仲間を襲わせまいと歌菜たちが行く手を阻む。



「ほらほら後5分になりましたよぉ」
「しつこいっ」
 追いかけてくる趙天君に対して陣が苛立つ。
「雑草ども燃え散れぇえ!」
 噛み砕こうと襲ってくる毒草をファイアストームで炭にする。
「ご主人様、エル様・・・メイベル様・・・遙遠様、少々手荒になりますがご勘弁を」
 真奈が3人の服を掴み、加速ブースターでいっきに妖精の元へ向かう。
「仕方ありませんわね。陽太、運んであげますわ」
「へっ?あわわ!?」
 エリシアは陽太の襟首を掴み、4人の後を追う。
「みなさぁあん、後〜3分ですよぉお」
 後ろの方から趙天君が大声で伝える。
「一々癇に障るやつだっ」
「挑発に乗ってはいけませんご主人様。―・・・すみません、もう少し手荒なことをしますがお許しを」
 このままでは間に合わないと思い、4人を妖精の方へ放り投げる。
「いってて・・・。アウラさん!あいつら何て酷いことを・・・」
 魔力を奪われただけでなく、鞭で殴られて傷を負ったアウラネルクを見て、陣の怒りが爆発しそうになる。
「30秒ですーもう諦めちゃったらいいんじゃないすかぁ」
「冗談じゃありません、諦めたらそこで終わりです!」
「待ってて、今助けてあげるよ」
 アウラネルクの身体を拘束している蔓を、メイベルとエルが引き千切ろうとする。
「千切れませんね、殴り潰しましょう」
 ウォーハンマーの柄を握り、潰してしまおうとメイベルが力いっぱい殴りつけた。
「やっと追いついた、これを潰せばいいの?」
 セシリアも蔓を殴り潰す。
「お邪魔してやるですよぉ」
 趙天君が鞭で妖精を叩いてやろうとする。
 ビシィイイッ。
「くっ・・・ぁああっ」
 大切な友人を守ろうと、陣が自ら盾となる。
「また蔓が!」
「冗談じゃない。これ以上魔力を吸い取られたら、アウラネルクさんが死んでしまうよ」
 ズルズルと伸び捕縛しようとする。
「2人とも下がってください!」
 遙遠がブリザードで蔓の根元を壊死させてしまう。
「むぅうっ、後0.3秒で始末できましたのにぃ」
 趙天君は悔しそうに地団駄を踏む。
「よぉしもう一度捕まえて・・・きゃぁあっ」
 星輝銃の銃弾が身体スレスレを通過する。
「これ以上、何かするなら次は外しませんよ」
 陽太が趙天君に銃口を向ける。
「アウラさんには近寄らせないよ」
 リーズと真奈が睨みつける。
「開発を断念することね」
 ブライトマシンガンのトリガーを引き、美羽は妖精たちの傍から趙天君を追い払おうとする。
「いやですぅ!」
「懲りないわね、計画実行を諦めなさい」
 ズガガガァァッ。
 ターゲットの足元を狙い撃つ。
「ぃやなものは、いやなんですぅ。毒虫さんの餌食にしてやりますよ」
「この距離で呼べるかしら?」
 距離をとろうとする彼女を美羽が追いかける。
「呼べます!―・・・眩しいですーっ」
 毒虫を呼ぼうとするが、ベアトリーチェの光術で止められてしまう。」
「んーっむぅう。こうなったら魔力タンクだけでも!」
 せっかく集めたやつを台無しになれてはたまらないと趙天君が走る。
「まだ諦めないつもりね」
 美羽とベアトリーチェが彼女の後を追いかけていく。



「毒草を増やされまくってキリがないわ」
 泡は魔闘拳術の火術モードでバーストダッシュのスピードを利用し、周囲の毒草を巻き込んで燃やす。
「燃やされているのにまだ動くんですか」
 ギーギィーと悲鳴を上げながらも襲いかかる毒草に対して、リィム フェスタス(りぃむ・ふぇすたす)が顔を顰める。
「氷術で凍らせてしまいましょう」
「こっちもお願い」
「分かりました。凍ってしまいなさいっ」
「銃で砕いて一掃だね」
 レキが機関銃で止めを刺す。
「さっきから灰色の毒草ばかり増やされているみたい」
 生徒たちを石化させようと、毒草に同属性の魔法、ペトリファイをかけられて増やされているのだ。
「噛まれないように気をつけるにしても、こう数が多いと・・・」
「しかも魔力タンクを毒草が囲っています。狙おうにもあれではちょっと」
「分かったわ片付けてくる。―・・・たぁあぁああっ!」
 炎の気を纏った拳で泡が毒草を殴り燃やしてしまう。
「っ!あれは・・・皆さん、離れなさい!」
 魔力タンクの傍にいるシャムシエルが手に持っているシリンダー型の容器を見て、生徒たちに警戒するよう幸が大声で叫ぶ。
「試作品のやつだな」
 一輝が容器を睨む。
「もしかしてここで試す気か?」
「使う気か分かりませんわね・・・。完成品が出来なかった時のために、とっておくかもしれませんわ」
 シャムシエルの手元を警戒しローザは眉を潜める。
「たしか陣内に守護天使の方が・・・」
 望がブラッドレイの方を見る。
「(あんなのが傍にあったら、迂闊に魔力タンクを破壊しにいけないわね)」
 破壊してしまおうか泡は容器を睨み考え込む。
「あれか・・・。あんなものさっさとぶっ壊しちまおう!」
 炎術の蛇で焼き尽くそうとアスクレピオスが容器を狙う。
「ボクがもらったんだからっ。んもうこいつっ、離してよぉお。―・・・あぁああーっ!!」
 自分の所有物を破壊されてたまるかと、避けようとするもののアストライトが身体にしがみついているせいで破壊されてしまう。
 火術の熱によって消滅させられた。
「魔力タンクの方に生徒たちがいったぞ」
「うぁあん壊しちゃいけませーんっ」
 シャノンの声に趙天君が全速力で走る。
「手出しさせないわよ」
 生徒たちに危害をくわえようとする趙天君に、ブライトマシンガンで美羽が近づかせないようにする。
「めんどうだから石化させちゃおうか」
 マッシュが灰色の毒草を増やしてしまう。
「また毒草を増やしましたね。―・・・ぁあっ!」
 望は氷術で倒そうとするが噛みつかれてしまった。
「まったく・・・酷いことをするやつだ」
 毒草に食われそうになっている望を、ユリウスが助け出す。
「あの印しのところに撃ちこめばいいんですね」
「もう少しで壊せそうだ」
「分かりました。魔力タンクの破壊と共に、計画を砕いてしまいましょう」
 幸は星輝銃を手に一輝と銃弾を撃ち込む。
「うぁあんやめてぇええーっ!」
 十天君の2人の必死の叫びも虚しく、破壊されてしまう。
 ズドォオンッ。
 魔力タンクが木っ端微塵に吹っ飛ぶ。
「これまでか・・・引こう」
 シャノンはシャムシエルにもう引き際だと助言する。
「悔しいっ、覚えてなよぉお!」
「逃げるですーっ」
 十天君は幻草陣を解除する。
「うぁあん姉ちゃんが怪我しちゃいましたぁ」
「(やっと出てきたようだね)」
 仕掛けておいたトラップを使おうと、弥十郎が糸を切り刺のついた木が落とす。
「そんなの避けちゃいますよー」
 毒虫の群れの餌食にしようと弥十郎に放つ。
「いざというときにこんなものを容易しといたよ」
 お酒と酢、砂糖や毒虫の好きな香りをブレンドしたペットボトルの蓋を開けて防ぐ。
「むーっ、反撃してやりたいけど。今は姉ちゃんが怪我しちゃってますから逃げるです」
「(その先は落とし穴があるんだよね)」
 弥十郎はニッと不敵に笑う。
「丸分かりですっ」
 トラップを飛び越えられて唖然とする。
「お仕置きしますっ。んきゃああぁああっ!」
 傷の痛みを堪え張天君が叫びで弥十郎に反撃する。
「失敗してしまったのか」
 熊谷 直実(くまがや・なおざね)はことごとくトラップを回避されてしまった様子を見てため息をつく。
「ここは逃げるしかない・・・」
 弥十郎を抱えて学園へ戻っていく。
「せっかく奪った魔力を台無しにされてしまいましたぁっ」
「上手くいくと思ったのに悔しいよぉお」
「くそぉっ」
 マッシュは煙幕ファンデーションを炊き、シャムシエルたちと共に悔しがりながら逃げていく。