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ガーディアンナイツVS空賊ブラッティローズ

リアクション公開中!

ガーディアンナイツVS空賊ブラッティローズ

リアクション


ACT6 突入



 ソーン3兄弟たちが必死になって宝を探している頃。ブラッティローズの船・ブラックローズ号も必死になってガーディアンナイツたちと戦闘を繰り返していた。
 ブラックローズ号は今はなんとか持ちこたえていたが、ガーディアンナイツたちに突入されるのも時間の問題のように見えた。
「姉さん、敵の数が多すぎますぜ! このままじゃ船がもちませんよっ!?」
「うるさいね! グダグダ言う暇があるなら敵のひとりでも殺ってきな!!」
 いつもならもう仕事を片付けていても良さそうなソーン3兄弟からの連絡が遅いのでブラッティローズはイラついていた。
 と、艦内に突然通信が響き渡る。
「あーっ、こんにちは、ブラッティローズおばさん。聞こえますかーっ?」
 その艦内放送の第一声を聞いた空賊たちは顔を青ざめさせる。
「あっ、私はガーディアンナイツの志方綾乃(しかた・あやの)っていいます。おばさんとは違ってピチピチたゆんたゆんの18歳でーす。今日はちょっとおばさんに言いたいことがありまして、ちょっと通信を乗っ取らせていただきました」
 おばさん、おばさんと連呼され、ブラッティローズは顔をヒクヒクと引き攣らせる。
 そんな中、綾乃の通信は続く。
 やれ「ばあさんは古いモノが好き」だの、「空賊は体力がいるから年寄りはやめろ」だの、綾乃はブラッティローズの神経を逆なでするようなことを次々と並べ立ててしゃべり続ける。
 と、それを黙って聞いたブラッティローズがついに怒りを爆発させた。
「このアマぁっ! 若けりゃ何をしてもいいって思ってんじゃないよォッ!!」
 そして通信を担当していた男を睨みつけると、その側まで近寄って言って鉄扇で何度も殴りつける。
「このクズが! いつまでくだらない事をいう通信を流してるんだい!! さっさとスイッチを切りな!!」
 男が動かなくなるまで殴りぬくとブラッティローズは荒い息を吐きながら、艦橋から外に出て大声で叫んだ。
「アンタたちガーディアンナイツを皆殺しにしな! ひとりも生きて帰すんじゃないよッ!!」
 ブラッティローズの叫びに男たちも声をあげる。
「あらっ、通信を切っちゃったみたいですね」
 空飛ぶ箒の上からマイクに向かって話していた綾乃はやれやれと言った感じで肩を落とす。
 と、そこへ激しい弾丸の嵐がやってきた。
 綾乃は慌ててこの空域から離脱する。
「どうやら、相手さんは怒っちゃったみたい。まったくこんな小娘の挑発に乗るなんて、志方ないね」



 一方、こちらは敵船に乗り込もうとするガーディアンナイツたち。
 彼らは積乱雲の中に隠れたりしながら進む敵船の動きと激しい対空砲火の前になかなか近づけず、上手く乗り込むことが出来ていなかった。
「上がダメなら、下から潜り込むまで――ついて来いプリムローズ!」
 毒島はそういうと、パートナーを連れてブラックローズ号の船底へと向かう。
「ふふっ、船底に穴をあけて侵入してやる」
 機関銃の攻撃をかわし、船底にたどり着いた毒島は白っぽい色をした粘土のようなものを取り出した。
 それを見てプリムローズは首を傾げる。
「それはなんですか?」
「我特製のC4爆弾だ。こいつを船底にくっつけてドカンとやるのだよ!」
 毒島そういうと船底に粘土のようなC4爆弾をこれでもかというくらい貼り付けるとプリムローズと共に少し離れた位置へ退避する。
 そして毒島が起爆スイッチを押すとかなりド派手な爆発が起こり、思惑通りに穴が開いた。
「少し量が多すぎたようだが、爆破成功だ! プリムローズ、内部に侵入するぞ!」
 毒島とプリムローズは爆発で開いた穴から船内へと浸入する。
「なんだ!?」
 突然起こった爆発で、出力ルームの床に穴が開いた。必死に自転車を漕ぎまくっていた男たちもそれを中断して身構える。
 するとその穴から毒島とプリムローズが現れた。
「げっ、ガーディアンナイツ――めんどくせぇ奴らが来ちまったな」
 自転車の上でぐったりとしている高崎悠司がぽつりとつぶやく。
「ほうっ、これはずいぶんとでかいエンジンだな。さっそく使えぬようにぶち壊すとするか」
 毒島はそういうとバキバキと腕を鳴らす。
「へへへっ、お嬢ちゃんたち。そんな冗談を言うより自分の身を心配した方がいいぜ」
 下衆な笑い声を上げながら空賊たちが毒島たちの前に立ちはだかる。
「ふむっ、一応聞くが投降するか?」
「へっ、するわけねぇだろ。お嬢ちゃんたちがそうするっていうなら可愛がってやるぜ」
「よし、投降するきはないのだな……それならトイレは済ませたか? 神様にお祈りは? 部屋の隅でガタガタ震えながら命乞いをする心の準備はOK?」
「ははっ、なに言ってやがんだ!!」
 と、空賊たちが一斉に毒島たちへ襲い掛かる。
 毒島は二丁の灼骨のカーマインを抜き放つと、向かってくる空賊たちに銃弾を撃ち込んでいく。
「もう、あまり手間を掛けさせないでください!」
 そしてプリムローズはサンダーブラストで応戦。出力ルームの中は一気に戦場と化した。
「……ここに乗り込まれちまったら、もうこの船はおしまいか。ヒドイ労働させられたんだ、戦う義理はねぇよな。命あっての物種って言うし、ここはトンズラさせてもらうかね」
 悠司はそういうとこっそりと戦場から離脱していく。
 と、先ほど毒島たちが開けた穴からふたつの影が飛び出してきた。
「シャーウッドの森空賊団、参上!」
 小型飛空挺を駆って現れたのはヘイリー・ウェイクとリネン・エルフト。
 派手な爆発を目撃し、穴が開いていたのを見つけるとそこからこうしてやってきたのだ。
「見て、ヘイリー!」
 とリネンが大型エンジンを指差す。
「そうか、あんなエンジン使ってたから逃げ足が速かったのね」
「……ええ、きっとそうね」
「よし、あれを壊して逃げられないようにしましょう!」
 と、ヘイリーとリネンは室内にも関わらず飛空挺を巧みに操って大型エンジンに近づいていく。
「マズイ! 奴らを止めろ!!」
 大男がムチをしならせてヘイリーたちを止めようとした。だがそれは叶わず、彼女たちは大型エンジンへ。
「よし、用意してもらった時限爆弾をセットするわよ!」
「……ええ」
 公社に用意してもらっていた爆弾を素早くセットすると、ヘイリーとリネンは一目散にその場から離れていく。
「そこのガーディアンナイツの人! あなた達も逃げた方がいいわよ!!」
 ヘイリーは戦う毒島たちにそういい残し、穴から外へと非難する。
「むっ、なんだか知らんがヤバそうだ。逃げる準備をしろ、プリムローズ!」
 毒島はカーマインで敵をけん制しながら後ろに下がり、プリムローズが用意した空飛ぶ箒に飛び乗った。
 そしてシャーウッドの森空賊団の後を追うように出力ルームから逃げる。
 するとエンジンに仕掛けられていた時限爆弾が眩い閃光を放ち、出力ルームにいた空賊たちを巻き込んで大爆発を引き起こした。



「んっ、誰かが中で派手に暴れたらしいな」
 外から様子をうかがっていた閃崎静麻は、突然船内で起きた大きな爆発を見てそうつぶやいた。
「よし、船を叩き落とすなら今がチャンスだ」
 静麻はそう言いながら小型飛空挺を飛ばし、揚力を生むために上向きで回る巨大プロペラを狙って攻撃を開始する。
「閃崎静麻、まずはクリュティがクアィトス・サンダーボルトとミサイルで攻撃を仕掛ける」
 と、クアィトスが操縦する小型飛空挺に乗っているクリュティが静麻に言った。
「いくぞ、クアィトス・サンダーボルト!」
 会話能力のないクアィトスはこくりと頷くと、小型飛空挺を操縦しながら船体の右側で回る数基の巨大なプロペラ群に向かってミサイルを数発撃ちだした。
 だが、それはすぐに敵の対空砲火に撃ち落とされてしまう。
「やはりそう簡単にはやらせてくれないか。第二波は照準を合わせて一斉に撃ち込もう」
 そう言いながらクリュティがミサイルポッド展開させる。クアィトスもそれに倣い、ミサイル発射の準備を整えた。
「――全弾発射!」
 クリュティとクアィトスは同時に多数のミサイルを放つ。白い尾を引いてやってきたミサイル群に対空砲火も対応しきれずに、数発がプロペラを直撃した。
 派手に爆発が起こりひとつは破壊することに成功したが、まだ動く巨大なプロペラが数基あり、飛行に変化は見られない。
「まだ攻撃の必要があるようだな。攻撃を続行する」
 そういうと、クリュティとクァイトスのコンビは加速ブースターを使用したヒット&ウェイ攻撃を始めた。
「よし、俺たちもやるぜレイナ」
「わかりました静麻」
 パートナーたちに続けと、静麻とレイナも動き出す。
 静麻は対空砲火をかわしてプロペラに接近し、至近距離からショットガンの弾をぶちこんでいく。
 レイナはそんな静麻を守るように動き、火球を撃ちだして敵の注意を惹きつける。
「マズイですね」
 と、そんなガーディアンナイツたちの動きをみてそうつぶやくのはクロセルだ。
「俺たちがいただこうとしている船をこれ以上破壊されては困ります。使い物にならなくなる前になんとしてもブラッティローズを捕まえなくては……よし、突入しましょう。手筈どおりに頼みますよ、マナ!」
 クロセルがそういうと、サンタのトナカイに乗っていたマナが意気揚々と言った。。
「うむ、まかせるのだ!」
 マナは召喚したスケルトンに氷術を使用して動く雪だるま兵へと変身させると、空の上から敵船へ向けて投下した。
「拙者も行くでござるよ!」
 と、空飛ぶ箒に乗っていたスノーマンはマナが投下した雪だるま兵たちに混じって自身も船上へ飛び降りていく。
「援護します!」
 マナの操るサンタのトナカイに同乗していたシャーミアンがそう言って煙幕ファンデーションを下へとばら撒いた。
 そしてソリに設置しておいた機関銃を使ってファンデーションを打ち抜き、対空砲火を行う空賊たちの視界を奪う。
「なんだありゃ!?」
 煙幕にその手を止めていた対空砲火担当の空賊が空の上から落ちてくるものを目にして思わずそう叫んだ。
「あれは――雪だるま!?」
「くそっ、なんだかわからねぇが撃ち落せ!!」
 空賊たちはそう言うと機関銃の銃口を空に向けて射撃を開始。乱れ飛ぶ銃弾が雪だるま兵たちに次々に突き刺さる。
 だがその攻撃を受けても雪だるま兵たちは怯まない。雪が鎧のようになって、中のスケルトンが少し剥き出しになっただけだった。
「いたたたっ! 痛いでござるよ!!」
 ――ただひとりスノーマンを除いてはだったが。
「くそっ、よくもプリンスの体に傷をつけたでござるね!」
 スノーマンはそういいながら禁じられた言葉の呪文を唱え始める。
 そして船上に足をつけると得意の氷術で周囲を真冬のような寒さへと変えてしまう。
 突然やってきた寒さに震え、対空砲火を担当していた者たちの手が悴む。
 そして機関銃を上手く操作できなくなった空賊たちに、スカルの顔を覗かせる雪だるま兵が近づき、剣を振り上げた。
「ぎゃあああ!!」
 憐れな空賊たちの叫びが空に谺する。
「対空砲火が止んだ――やってくれたようですね」
 空から状況を見守っていたクロセルはそうつぶやくと、雪だるま王国の仲間たちに向かって指示を飛ばした。
「各員、突撃してください!!」
 それを聞くと雪だるま王国民たちはブラックローズ号の船上へと一気になだれ込む。
「あれ、攻撃が止まったぜ?」
 と、敵船の異変に気づいたガーディアンナイツ・緋山 政敏(ひやま・まさとし)がそうつぶやいた。
「見て、正敏! あそこから突入してる人たちがいるからきっと攻撃が止んだのよ」
 正敏のつぶやきに小型飛空挺を操縦しているパートナーのカチェア・ニムロッド(かちぇあ・にむろっど)がそう答える。
「ホントだな。じゃあこれは乗り込むチャンスってことだ」
「そういうことね。じゃあ私たちも行きましょう!」
 そう言うとカチェアは飛空挺をブラックローズ号へと向けて走らせた。
 他のガーディアンナイツも敵の攻撃の手が止まったのに気づくと、次々とブラックローズ号へと乗り込んでいった。