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ガーディアンナイツVS空賊ブラッティローズ

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ガーディアンナイツVS空賊ブラッティローズ

リアクション

「姉さん、すいません……てっ、敵に張りつかれました!」
 傷を負った空賊が艦橋に飛び込んできてブラッティローズにそう告げる。
「大型エンジンもやられました! もうこの空域から逃げられませんぜ!? それどころかこのまま飛んでいられるかも……!」
「チッ、なにやってんだい! どいつもこいつも役に立たないねぇ!! くそぅ……こうなったら総力戦だよ!!!」
 ブラッティローズは切っていた艦内通信のスイッチを入れて、全員に武器を持って戦うように指示を飛ばす。
「アンタ達も行きな、アタシもすぐに行く!」
 艦橋にいた空賊たちはブラッティローズのその言葉を聞くと操舵をしている者を残して、戦場へと走り出していった。
「――あなたも戦って死ぬ気ですか?」
 と、艦橋の中に残っていたガードルード・ハーレックが言った。
「フン、そうさね。死ぬなら空賊らしく船の上で死ぬのも悪くないかもしれないねぇ――でも、アタシはまだ死ぬ気はないよ」
 そう言うとブラッティローズはニヤリと笑う。
「そうですか、わかりました。ではあなたが脱出するまでの時間は私が稼ぎましょう」
「あら、そんなことをしてくれるのかい? 悪いねぇ」
「言っておきますが、これは別にあなたの為ではありません。ガーディアンナイツたちの目的を阻害するという私の目的の為にそうするだけです」
「フフっ、そうかい。まあ何はともあれ、頼んだよ」
 ブラッティローズはそう言うと艦橋を後にした。



 ガーディアンナイツたちよりも先にブラックローズ号へと侵入した雪だるま王国民たちは、ブラックローズ号制圧の為に連携して素早く動き出した。
 エル、ホワイト、ルイ、リア、セラ、唯乃、エラノール、フィアは艦橋を目指し、朔、スカサハ、ラインハルト、アンドラス、洋兵はブラッティローズを探す。
 クロセルたちは王国民たちの脱出路ともなる突入ポイントの防衛するためこの場に残ると言った。
 と、艦橋に向かうメンバーのセラは操舵室の場所を捜索するために使い魔を放つ。
「チュウ一郎、チュウ二郎。艦橋を探してきてね」
 ネズミの姿をした使い魔たちはご主人様にそう言われると、船内を捜索し始めた。
「チュウ一郎たちを待っていても時間がもったいないですし、とりあえず手分けして探してみますか。見つけたら各自携帯電話で連絡をお願いします」
 ルイはそう言ってひとり船内の捜索に向かおうとしたが、リアがそれを止める。
「なんで止めるんですか、リア?」
「ルイはひとりではダメだ! 絶対に迷う!! それだけは勘弁願いたい!!」
「はははっ、大丈夫ですよ」
 白い歯を覗かせて笑うルイだったが、リアはそれを許そうとしないので仕方なくひとりで行動するのをあきらめた。
「でもルイさんの言うことはもっともだと思うわ。手分けをして探した方が絶対効率がいいよ」
 と、そう言ったのは唯乃。その意見に賛同するようにエルも頷く。
「そうだな。よし、とりあえず船内に入ったら三組にわかれて目的の場所を探そう」
 エルの言葉に皆は頷き、艦橋を探して船内へと突入する。
「いたぞ!! これ以上前に進ませるな!!」
 と、敵の侵入を阻止しようとやってきた空賊たちがエルたちの前に立ちはだかった。
「邪魔だ!」
 そんな空賊たちに向かってエルは眩い光を放ち、敵の目をくらませる。
「せいっ!」
 敵がその光で怯んでいる隙をついて、ルイが軽身功で空賊たちの中に飛び込む。
 そして得意の拳で敵を次々と昏倒させた。
「八つ裂きにしてやるっ!」
 と、ルイの後ろから武器を振り上げたひとりの空賊が飛び掛ってきた。
 だが殺気を看破していたルイはそれをなんなくかわす。
「ちっ、デカイくせにすばしっこい奴だ!」
「もしもーし」
 と、空賊の後ろから突然誰かが声をかけた。
 空賊が驚いて後ろを振り返れば、隠形の術を解いて姿を現した唯乃がニコリと笑っていた。
「これはプレゼントよ」
 そしてそう言って空賊にしびれ粉を浴びせかける。
「出血大サービス! 他の人たちにもあげちゃうわよ!」
 さらに他の空賊たちにもしびれ粉を撒いて、唯乃は敵の動きを封じた。
「悪いけど、しばらくここで眠っててね」
 そして唯乃、エル、ルイの3人は空賊たちの頭に一撃をお見舞いして気絶させていく。
「――よし、じゃあここで三手に分かれましょう」
 と、戦闘を終えたエルがそう言った。
「わかりました。じゃあ私とリア、セラは左に向かいます」
「ではボクとホワイトは右へ」
「じゃあ私とエル、フィアは真っ直ぐ行くわ」
 三組はそう言って頷きあうと、三手に分かれて艦橋の捜索をはじめた。



 その頃ブラッテローズを探しているメンバーは、敵に気づかれないように行動して捜索にあたっていた。
「ブラッティローズはどこにいる……」
 そうつぶやきながら周囲に目を配るのは朔。
「普通に考えたらブリッジにいるんじゃねぇか?」
 そういうのはラインハルト。
「確かにそうですね。ですが、艦橋には仲間も向かっていますから私たちまで向かう必要はないでしょう。ブラッティローズはすでに逃げ出している可能性も考えられます。ですから船内を徹底的に探すんです」
「……なんかめんどくせぇな」
 朔の話を聞いたラインハルトはそうグチをこぼす。
「さすが朔様! 頭がいいであります! スカサハは、そこまで考えられなかったでありますよ!!」
 だがスカサハはその話に感激したようで大きな声を上げた。
 そんなスカサハの口を朔は慌てて塞いだ。
「しーっ! あんまり大きな声を出すと敵に見つかって――」
「んっ、おい! こっちに誰かいるぞ!!」
「……やっぱり」
 朔は小さくため息をついてスカサハの口を塞いでいた手を離す。
「はうっ、すいませんであります」
「そう落ち込むなよスカサハちゃん。失敗なんてのは誰にでもあるもんさ」
 そう言って洋兵はスカサハを慰める。
「くくくっ、ザコか。こいつらの遊び相手にはちょうどいい……」
 アンドラスはそう言うと、オリヴィエ博士改造ゴーレムと武者人形を解き放つ。
「なんだ、あれは!?」
「おまえたち存分に暴れるがいい」
 アンドラスのその言葉を聞くと、ゴーレムと鎧武者は敵に向かっていく。
「よし、いまのうちに逃げましょう!」
 アンドラスたちのゴーレムたちが敵を引き付けている間に、朔たちは前に走りだす。
「こっちだ! いたぞ!!」
 だが曲がり角から別の空賊たちが現れる。
「ここはスカサハにおまかせください! 汚名返上であります!!」
 スカサハはそう言うと加速ブースターを全開にして、戦闘用ドリルを回転させながら前に突っ込んでいく。
「穴を開けられたくなかったらそこを退くのであります!!」
「うわわっ!!」
 ドリルを回転させながら突っ込んでくるスカサハの姿を目にした空賊たちは慌てて通路へと引き返す。
 そしてスカサハが先へ通り過したのを見るとホッと胸を撫で下ろした。
「ホッとするのはまだ早いぞ」
 と、通路を塞ぐように現れた朔がそう言って、空賊たちに向かってしびれ粉を撒く。
 そして痺れて動きが止まったところを朔、ラインハルト、洋兵の3人が攻撃し、敵を気絶させた。
「一丁あがりと――さて、早いところ敵の親玉を見つけようぜ」
 洋兵が手を払いながらそう言う。
「もちろんです。行きましょう」
 朔がそういうと気絶した敵たちを残して、3人は前に進む。
「くくくっ……甘いな」
 と、アンドラスがそっと現れて気絶した空賊たちに掌を向ける。
「永遠に眠れ」
 そしてアンドラスがそうつぶやくと、掌から凄まじい冷気が発せられた。
 すると気絶していた空賊たちの体が見る見るうちに氷に覆われていく。
「なにしてるアンドラス! 行くぞ!!」
「……くくくっ、わかっている」
 アンドラスは朔の顔を見てニヤリと笑うと、氷に漬けにした空賊たちを残してその場から立ち去ていった。