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「続いては、ラジオネーム、通りすがりのペテン師さんからの報告です。
 空京大学にある購買には様々なフィギュアが売っているのだけれども、いつもティセラフィギュアは売り切れている。その売り切れている理由は、パッフェルが買い占めているから、らしい。そしてその売り切れフィギュアを運良く手に入れると、夜な夜なパッフェルに狙われるそうだ…。
 これは怖いですよね。命がいくつあってもたらない気がします。
 もう一つも、通りすがりのペテン師さんからの情報です。
 同じく空京大学の購買に最近売り出された小ババ様フィギュアがあるのだけれども、実はごく稀に本物が混ざっているらしい。普段は魔力が足りないのか動かないのだけれども、大好物の「シャンバラ山羊のアイスクリーム」を近づけると「こばー」と言って元の姿に戻るそうだ…。
 あれ? 小ババ様フィギアって、販売許可下りてましたっけ。まさか、通りすがりのペテン師さんは、ありもしない物を見てしまったとか……。
 こ、これは怖いです。もしかしたら、小ババ様の生き霊かもしれませんよ。後でちゃんと空京神社でお祓いをしてもらってくださいね。
 それにしても、このへんのフィギアって、どこの会社が作っているんでしょうねえ。ジェイダス人形もそうですけれど、結構できがいいんですよね。きっと有名な原型師の人がいると思うんですけれど、謎ですよね。
 ところで、通りすがりのペテン師さんは二つともフィギアネタでしたけれど、もしかしてコレクターですか? 今度コレクションを見せてくださいね。
 さて、次の不思議です。ペンネーム、一日一殺★狙撃生活さん。
 なんだか、雑誌の切り抜きで文字が貼ってあるんですが、ものすごく犯罪チックなお便りですね。くんくん、なんだかお魚の臭いがします。もしかして、投函した人は、猫型の獣人さんか何かでしょうか。とりあえず、読みます。
 この前、蒼学で新入生を狩ろうと穴場の狙撃ポイント(どこかは「ひ・み・つ?」)から愛用のライフルのスコープを覗き込んで獲物を物色してたんですよ。
 ちょっと、それ犯罪ですよ。今すぐやめてね。私との約束ですよ。
 日も暮れかけた頃、目ぼしい獲物も現れなかったので最後に校長室へと続く廊下に狙いを定め標的を待つことにしたんです。
 夕暮れの校舎内は暗いですから私はレーザーポインターを使って獲物の頭部を狙うことにしてるんです。
 その方が確実ですからね。
 いや、だからだめですって……。
 そこへカモが現れたんですが…
 白いダウンのジャケットを着てるのは遠目からでも判るんですけど頭が強烈に光ってよく見えないんです…
 獲物を逃す手はないのでそのUMAにレーザーポインターをそいつの頭に合せてみたらレーザーをスコープ目掛けて反射させてきたんです!
 嘘じゃないです!
 スコープは赤熱して溶けるし!
 危うく網膜焼かれそうになりました!(>△<
 どんな反射なんですか。凄すぎます。
 頭部が発光するそいつはそのまま校長室の中に入っていきました…
 とても怖かったです!(>△<;」
 これは……。場所は、蒼空学園でしたよね。あそこでそんなまねができるほど、デコが凄い人といったら、【シャンバラン、ブレード!(V)さんしかいないじゃないですか。
 大丈夫なんですか、こんなハガキ出しちゃって。ただでさえ犯罪者っぽいことしているのに【シュンバラン、ナァックゥルゥ!!(V)に睨まれたりしたら命ないですよ。【とぅっ!(V)まで【蒸着!(V)されちゃいますよ。
 とにかく生き抜いてくださいね。
 次の七不思議は、ペンネーム、ワイルドリリーさん。
 地下に潜む触手の根
 なんだか、タイトルからして怖いですね。
 百合園女学院ではビニールハウスで植物を育てていますが、実は
 その地中はグラウンドと繋がっているのです。
 わあ、秘密の地下トンネルがあるんですか。それは不思議ですよね。あれ? 本題はそこじゃないのかな?
 そして、ビニールハウス内で育った根は学園全体を覆うまでに成長し、
 人の目を盗んで地上に出ては、その枝で人の血を吸っては養分としているらしいのです!
 ちょっと、百合園女学院って、そんなに怖い所だったんですか。それじゃ、学校自体が恐怖スポットじゃないですか。
 吸血植物だなんて、タシガンなら分かりますけれど、なんでヴァイシャリーにそんな物がいるんでしょう。蔦の先に口とかあって、カプッとか噛みついたりするんでしょうか。それとも、蛭みたいにぺたっと貼りついて血を吸うのかなあ。ブルブルブル……。想像したら怖い考えになってしまいました。
 そんな危険植物は早く抜いちゃってください。お願いしますよー。
 次も百合園女学院の人なんですが、場所はイルミンスール魔法学校のようですね。ペンネーム、野球のバット大好き百合園の天使さんからの報告です。
 私は百合園女学院の生徒なのですが、イルミンスール魔法学校に最近遊びに行った際になにやら新しい七不思議が加わったと聞いています。
 知人に聞いたところ
 ・元々は蒼空学園に出没していたらしい都市伝説的な存在
 ふむふむ。
 ・女の子三人組らしく、復讐の三姉妹といわれているらしい
 なんか凄いですねえ。
 ・全員何故か、野球のバットを持ち歩いているらしい(別のものを持っていたという証言もあり)
 なぜ、野球のバットなんでしょう。
 ・争いがあるところに必ず現れてその騒ぎを鎮めると、次の事件を求めてさまようらしい
 おお、正義の味方ですね。多分。
 ・蒼空学園とイルミンスール以外でもタシガンの古城や葦原島にも出現したという未確認情報あり
 凄く範囲が広い伝説なんですねえ。
 ということを聞きました。こんな七不思議って実在するのですか?
 うーん、どうなんでしょう。話だけだと、単純にパラ実の人が、ひゃっはーして、バット振り回して暴れてただけのような気もしますが。だって、七不思議にしては、異様に範囲が広いじゃないですか。まあ、逆に言うと、誰でもが遭遇するかもしれないところに、真の怖さがあるような気もしますが。
 みなさんも、気をつけてくださいね。
 もし、どこかでこの三姉妹とかを見かけた人がいましたら、またお便りください。待ってます」
 
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「わあ、メイベル、ハガキ読まれたよ!」
 ラジオを聞いていたセシリア・ライト(せしりあ・らいと)が、嬉しそうにメイベル・ポーター(めいべる・ぽーたー)の制服の裾を引っぱって言った。
「それにしても、怖いですわよね。七不思議、もし出会ったらどうしましょう」
 アイスコーヒーのお代わりとお菓子を配りながら、フィリッパ・アヴェーヌ(ふぃりっぱ・あべーぬ)が頬に手をあててちょっと怖がってみせる。
「大丈夫ですう。もしもの時は、二人は私が守りますですぅ」
 メイベル・ポーターが、力強く約束した。
「うんうん。平気だよね。どんな敵が出てきたってちゃんと撲殺できるように、日々鍛錬しているんだもん。撲殺天使の名前はだてじゃないもん」
 そう言うと、セシリア・ライトは、使い込まれた野球のバットを愛おしそうに見つめた。けれども、このバットも長い戦いでずいぶんとくたびれてきてはいる。そろそろ新調するシーズンなのかもしれない。
「どちらにして、七不思議に関してはイルミンスール魔法学校から御招待を受けてもいることですしぃ、じっくりと私たちで謎を解き明かすのですぅ」
 メイベル・ポーターの言葉に、パートナーたちがうんうんとうなずいた。