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秋だ! 祭りだ! 曳き山笠だ!

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秋だ! 祭りだ! 曳き山笠だ!

リアクション

 
 

第三直線

 
 
「さあ、泣いても笑っても、最後の直線に入りました。各山笠、ボロボロになりながらも最後の力を振り絞ってスピードを上げます。先頭は、もうほとんど山笠とは言えない姿の雪だるま山笠。それを、これまた燃えてほとんど炭になっている深緑山笠が僅差で追います。さすがに、もう攻撃するだけの暇はないようです。このままパワー勝負か。けれども、パワーではルイさんが底なしの恐ろしさを見せています。それにしても、倒れたクロセルさんは大丈夫なのでしょうか。大曲付近には、轢死体が一つ発見されたという未確認情報も入っていますが……」
「死んでませーん!! 痛くも痒くもありません。仮面が無事な限り、私は不死身でーす!!」(V)
 中継に行った大谷文美のマイクを無理織り奪い取ったクロセル・ラインツァートが、突然放送に割り込んできた。
「失礼しました。中継を続けたいと思います。なんと、全裸の女の子が走ってきます。ゾンビの載った台車を押してきますので、どうやらお月見山笠の笹咲来さんのようです。はたして、身軽になったからなのか、深緑山笠に並びました。ああ、深緑山笠、思わず笹咲来さんに唖然として立ち止まってしまったあ。順位が入れ替わります。その間に、地味に雪の下山笠が抜いていきます。おっと、深緑山笠、曳き手がやっと我に返りました。焦って走りだします。その後ろに百合園山笠が迫ります。少し遅れて、これはなんでしょう。あっ、はい。くうきょう山笠のようです。もはや、くうきょうの像は原形をとどめていません。なおも、ゴージャス山笠からの攻撃は続いています。これはもう、くうきょう山笠は走っていると言うよりは逃げていると言った方がいいのではないでしょうか。さあ、はたして、このままの順位でゴールするのか、はたまた、まだ入れ替わるのか。ゴールは目前です」
 
 
ゴール

 
 
「ルーイ、スマ〜イル♪ ははは、みなさんお疲れ様です……。あれっ、誰もいません……」(V)
「ただいま一位がゴールしました。今年の曳き山笠、優勝は雪だるま山笠です。しかし、なんと激しい戦いだったことでしょう。もはや山笠とは呼べません。ただの台車です。さて、はたして二位は……。あっ、ここで情報が入りました。ゴール直前で、笹咲来紗昏さんは、ヨハン・サンアンジュさんのテロリストがいるという通報を受けて駆けつけていた空京警察によって、ストリーキングの罪で現行犯逮捕されたようです。そのため、二位には地味に完走を遂げた雪の下山笠が入っています。あ、また新たな山笠がやってきました。これは、深緑山笠です。すでに黒こげでどこが緑なのか分からなくなっていますが、中の御神体はかろうじて無事だというレポートが入っています。本当でしようか? 続いて、百合園山笠がゴールしました。幟だけの雪の下山笠をのぞけば、唯一無傷の山笠です。やりました、桜井校長像は守り抜かれました。さて、残る山笠は二つ、今、くうきょう山笠が入ってきました。これも、すでになんの山笠か分からないほどにボロボロです。気のせいか、曳き手もボロボロのような気がします。さあ、最後の山笠が入ってきました。ゴージャス山笠です。大きくぐらついているようですが、大丈夫でしようか。ゴールです。今、なんとかゴールしました。ああ、倒れます! どうやら、石化していた車輪が限界を超えて砕け散ったようです。けれども、ゴール後ですので完走は完走です。ああ、倒れたゴージャス山笠から、たくさんの人形が飛び散りました。ちょっと悲惨です」
 かくして、かなり激しい戦いとなった曳き山笠はここに勝敗がついたのだった。
「では、表彰式に移りたいと思います。今年の曳き山笠、優勝は雪だるま山笠です」
 表彰台の前で、シャレード・ムーンが告げた。
「おめでとうですぅ。あれ? クロセルさんは、クロセルさんはどこですか?」
 プレゼンターとして賞状を持ってきた咲夜由宇が、表彰台に上ったルイ・フリードを前にしてキョロキョロと辺りを見回した。
「由宇ったら……。おめでとうなのだ」
 軽く咲夜由宇をたしなめると、咲夜瑠璃がルイ・フリードに花束を渡した。
「続いて、第二位。実際には雪の下山笠なのですが、未エントリーの乱入のため、繰り上げで深緑山笠となります」
「おめでとうですぅ」
 咲夜由宇たちが、カレン・クレスティアに賞状と花束を手渡した。
「悪いね。でも、これがボクの伝説の始まりなんだ」(V)
「三位は、百合園山笠です。なお、百合園山笠は唯一無傷だったため、山笠は空京神社に奉納され、一年間飾られることとなります」
 シャレード・ムーンの言葉に、会場が少しざわついた。
 賞状をもらった姫宮みことたちは素直に喜んでいるが、百合園山笠は褌姿の桜井静香像である。それが、えんえん空京神社で祀られることとなったのだ。はたして、百合園女学院に戻った後の姫宮みことたちの処遇が心配である。
「ゴールしましても、ほとんど壊れている山笠、および、レース途中で大破されました山笠は、この後空京神社境内でお焚きあげに処されます。お時間のある方はどうぞ御参加ください」
 その言葉で、曳き山笠は終了した。
 その夜、激戦に散っていった山笠たちが火にくべられ、赤々と夜空を焦がしていった。その明かりに、奉納された褌姿の桜井静香像がくっきりと照らしだされていた。
 祭りの後は、いつも静かで穏やかである。
 

担当マスターより

▼担当マスター

篠崎砂美

▼マスターコメント

 
 参加した方々、お疲れ様でした。
 人数が少なめでしたので、ちょっとあっさりしていますが、結構な激戦となりました。
 もっとあっさりと妨害で山笠が減るかと思っていたのですが、今回の乱数の女神様は結構お優しかったようです。みんなダイス運が強すぎです。そのため、退場するときは結構壮絶になっています。
 それにしても、奉納された山笠ですが……。いや、多くは語りますまい。しばらくの間は、休日シナリオ辺りで御参拝ください。