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少年探偵と蒼空の密室 A編

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少年探偵と蒼空の密室 A編

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ANOTHER ニセ姫様

PMRのミレイユ・グリシャムだよ。お姫様がいるってきいてきてみたんだけど、それは、変装した捜査メンバーの火村加夜さんだったんだ。ワタシとしては、うーん、とりあえず、気づいてないフリをしてるよ。シェイドも黙ってるし。
「グリシャムの方は、なにか成果はあったか」
「んー。ミレイユって呼んでくれた方がいいかな」
 教導団の三船敬一さんは、パートナーの白河淋さんと、加夜さんの護衛をしてる。
「私らのチームは、模倣犯の霧雨透乃さんたちをあと少しで確保できそうだったんですけど、彼女の仲間の特攻で逃げられてしまったんです。彼女たちが新たな被害者をださなければいいと思うんですが。とにかく、被害者を一人でも少なくしたいですね」
 淋さんは、正義感の強そうなお姉さん。
 加夜さんのパートナーの金烏玉兎さんはね、彼も姫様の護衛ってことで彼女の隣にいるんだけど、うーんと、女の子なら誰でも、目が星かハートになっちゃう美形なんだよ。妖しい魅力のある超ハンサム。男の人でも、みとれちゃうかもね。
 ワタシとしても、ヤバイなあ、この彼は。
「ミレイユ。俺になんか用?」
「いえいえいえ、なんでもないよ・・・しゃべっても崩れないし、シェイドも負けるなあ、たぶん」
 こういう男子に、急に話しかけられると、困るんだよね。
「ミレイユさんは、玉兎の外見に驚いてるんですよ」
「あわわわわ。違うよ。全然、違うよ」
 加夜さん。余計なことは言わないで欲しいなあ。ワタシの顔から火がでるし。
「そうか。だよな。俺も犯罪捜査と言うことで、目立たないように、黒の帽子、服、マントでまとめてきたんだが、似合ってないもんな。まあ、おかしいのは、自覚してるんで、許してくれよ」
 なんか言ってること違うくないかな。わざと?
「玉兎は、自分の外見が普通じゃないって、気づいてないし、いくら言っても、絶対に認めないんです」
 加夜さんが、小声で教えてくれたよ。
 もったいないような、それでいいような、感じだよね。
「でさ、でさ、でさ、彼は置いといて、加夜さ、違った、うんと、お姫様たちは、こうして市内を歩いて、なにしてんの」
「模倣殺人事件現場を線でつなぐと五芒星になるですけど、その中央に力が集まってるのは、確認したんで、五つの現場それぞれの周辺にある、魔力のパワースポットを破壊して回ってるんです。玉兎は、こう見えてそういう魔法儀式が得意ですし、三船さんたちが警護してくれてるんで。それに、住民のみなさんも協力してくれるし」
「これ、ニセ姫ってバレるとやばいんじゃないの」
「そうでしょうか。街の人は、私の正体には薄々気づいてて、それでもマジェスティックのために、協力してくれてるんだと思いますよ。何者かが巨大な五芒星をもちいて、呼びだそうとしている邪悪ななにかを出現させないために」
 パワースポットをこのままにしとくと、なにがでてくるの?
 やっぱり、恐怖の大王。
 見たい気もしないでもないよね。ね。
「この事件は複数の要素がからみあっているので、自分のいる場所で、できることをしてゆくのが、全体の解決につながるんだと思うんです。パワースポットの件は、あまねちゃんにも携帯で伝えておきました」
 住人の人たちにぐるり、ぐるりと二重に囲まれて、こうして街を歩いて捜査するのは、けっこう安全で、いい作戦かも。
 にしても、加夜さん、度胸あるなあ。
「ミレイユ。一さんから、連絡です。ロンドン塔へ行きましょう」
 シェイドに低い声で言われたんだけど、玉兎さんと比べたこと、怒ってるのかな。
 PMRの仲間の比賀一さんは、ノーマンを追ってるんだ。
「ねーねー。どうしたの。シェイドがロンドン塔へ行こうって言ってるけど、ワタシ、まだ姫様を見つけてなくって。えー。ノーマンが、ゴXXXみたいに一杯いるの。それは世界の危機だよね。わかった、すぐ行くよ」
 ワタシが電話を切ると、シェイドは、もう走りだしてて。信じられない、怒りすぎだよ。
 なんかね、ノーマンがらみになるとシェイドは、怖くなるんだよね。昔の因縁があるらしいけど、くわしく教えてくれないし。パートナーとして、怖いのは、困るんだけどな。
「ちょっと、シェイド、待ってよ。ワタシも行くって」