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空京暴走疾風録

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第6章 挑戦者の姿・1 環七東/夜20時頃

 ロザリンドから送られてきたメッセージを見て、紫月 唯斗(しづき・ゆいと)は苦笑した。
「これ、ひょっとして俺達の事言ってるのかね?」
「さあ、何の事やら?」
 エクス・シュペルティア(えくす・しゅぺるてぃあ)は肩を竦める。
「我々は警察の取り締まりに協力する善良な市民。“環七“周回は、暴走少年らに睨みを利かせるための方便に過ぎぬ」
「相手が“暴走族“だけならいいんですけれどもね。“暴走自警団““暴走警察“なんて全く笑えない話です」
 そう言うのは紫月 睡蓮(しづき・すいれん)だ。
「まぁ……私達もあまりとやかくは言えませんが」
 ちらりと眼を向けた先には、サドルにまたがってアクセルを吹かすプラチナム・アイゼンシルト(ぷらちなむ・あいぜんしると)の姿がある。
“環七““暴走(ハシ)“りたい)
 過日、そう言い出してきたのはプラチナだった。週末の“環七“が危険なのは知っていた筈なのだが、逆にそれが彼女の琴線に触れたのかも知れない。
 もちろん、ただ“暴走(ハシ)る“だけなら暴走族や警察に狙われるだけなので、「“環七“一帯を巡回する」という名目で警察に協力する形を取ったのである。
「準備はいいか、プラチナ?」
 唯斗の質問に、プラチナは頷いた。バイクには様々な改造が施されており、消音対策も抜かりはない。排気音やフルフェイスのヘルメット越しでも、ちゃんと会話はできるようだ。
「他の暴走族がちょっかいかけてきても俺達が何とかするから、お前は“環七一周“に集中していい」
 またプラチナは頷いた。
「ただ、俺たちは警察に協力、という形を取っているからな。応援要請があれば、そっちの方に行かざるを得ない。その事は覚えておくように」
 プラチナが「問題ない」とばかりに、親指を立てて見せた。
「よし、行くぞ」
 唯斗はレッサーワイバーンに騎乗し、飛び立った。
 エクスも自分の小型飛空挺オイレに乗り、睡蓮も装備した「アリスういんぐ」を起動させてレッサーワイバーンにつかまる。
 そして、プラチナは自分の駆るマシンを静かに進め始め──
 東方面より“環七“入りすると、一気にアクセルを開いた。