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マホロバで迎える大晦日・謹賀新年!明けましておめでとう!

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第三章 カウントダウンイベント 2

「はい、皆さんどんどん食べてくださいですぅ〜!」
 百合園女学院メイベル・ポーター(めいべる・ぽーたー)が年越し蕎麦を配っていた。
 セシリア・ライト(せしりあ・らいと)フィリッパ・アヴェーヌ(ふぃりっぱ・あべーぬ)ヘリシャ・ヴォルテール(へりしゃ・う゛ぉるてーる)の三人も配膳を手伝っているが、なかなか間に合わないくらい盛況である。
 その原因の二人を紹介しよう。
「は、はふう……美味しいですぅ」
 インスミール魔法学校から来た咲夜 由宇(さくや・ゆう)は、ただひたすら蕎麦を食べていた。
「何だか今日はいくらでも食べれそうな気がしますよぉ。しかも無料だなんて、マホロバは天国みたいなところです〜ぅ」
 由宇の遠慮ない食いっぷりに、獣人ルンルン・サクナル(るんるん・さくなる)もつられてお替わりしている。
「だよね! インスミールの森は冬は山菜も取れないし、本当に今月は死ぬかと思ったよ〜。 このお蕎麦があれば一ヶ月は生き延びれそう!」
 ルンルンは今、死線を越えて蕎麦を食べているが、つい先ほどまでは、どこまで空腹を我慢できるかという極限をさまよっていた。
 ちょっとしたマゾである。
 しかし、本人はそう思っていない。
 また、天然気味の由宇も気付いていない。
 ある意味、アブナイ二人である。
「今月の食費のピンチは乗り越えられましたよぉ。マホロバの人に感謝。また、こういうイベントやってくれるといいんだけどなぁ。あれ、向こうでプロレスが始まったんですかぁ?」
 桜葉 忍(さくらば・しのぶ)織田 信長(おだ・のぶなが)の暴れぶりをみて、何かを勘違いした由宇はエレキギターを取り出した。
「マホロバの人にお礼しなくては。入場曲ならお任せくださいです〜ぅ!」

 ギュイィィィィン!!


 由宇ののんびした口調に似合わず、激しい曲が鳴り響く。
 ルンルンが合いの手を入れていた。
「きゃー由宇さんカッコかわいい〜!」
 あれよ、あれよのうちに、大広間がイベント会場のような熱気に包まれていた。



「皆、ノリがいいわね。さすがマホロバの大晦日。私も本気出していいかしらね?」
 空京大学から参加の宇都宮 祥子(うつのみや・さちこ)は、『マホロバ大奥譚』抽選全敗という脅威の悪運(?)を引っさげ、銘酒『男の娘』持参で単身乗り込んでいる。
「この憂さを晴らさずにいられようか……いやいられまい(反語)。あ、さっそく貞継様を発見!」
 貞継ロックオンに成功した祥子は、温和な笑顔を浮かべて彼に近付いた。
 黒髪がさらりと揺れる。
「貞継様、マホロバは日本の江戸とよく似た文化を持ってますね。お酒や小物など、日本に輸出すれば幕府の傾いた財政を立て直せるのではないでしょうか。それにはまず……宣伝も必要ですよね?」
「宣伝……だと?」
 真面目な政治談議か、と耳を傾けようとした貞継の目の前に出されたのは、リボンとフリルをたくさんあしらったメイド服である。
「これだけじゃないわ。あ○うぇ絵師のミニスカサンタ服とか! マホロバ風俗的には巫女装束や花魁風とか! あと、さわやかに水兵服ってのもどう?」
 未来の青狸ロボットのように、異次元小袖から次々に衣装を取り出す祥子。
 貞継は恐れおののいた。
「やめろ……女装は。前にあのシーン撮った後で38度の熱出したぞ。二度とやらん!」
「またまた〜。皆さん期待してますからね。スタッフぅ〜スタッフぅ〜!」
 祥子はエアスタッフを呼びながらいそいそと準備を進める。
 出来上がったのは、うさみみしっぽをつけた兎萌(ともえ)バージョンであった。
 白とぴんくの薄布がほわほわ揺れている。
 バックスタイルのスカートは、お尻が見える仕様。
 丸いしっぽがご愛嬌である。
「かかか可愛い〜! 来年もこれで逝きましょう!」
「誰が逝くか!」
「いえいえ、本編があんな終わり方で、年明け姫は○め仕込みができなかったんで、今のうちに……」
 ぴんく色のラビット風フェイクファー布団を大広間に敷く祥子。
 貞継の猫が反応してフェイクファーにじゃれついている。
「そんな恥ずかしい格好で酔い潰れても、私が介抱してあげますからね。キサさん(ハート)」
「キサさん?」
「そう、鬼城 貞継(きじょう・さだつぐ)の頭文字をとってキサさん」
「それ略しすぎだろう!!」
 貞継は祥子にいいように弄られながら、一年を締めくくろうとている――。