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リアクション
第二章 大奥見学ツアーッ! 4
「本当にすみません。こんなはずではなかったんですが……」
本郷 翔(ほんごう・かける)が謝っている。
リュース・ティアーレ(りゅーす・てぃあーれ)と陽風 紗紗(はるかぜ・さしゃ)が、それを制していた。
「いいえ、大奥の中に入れるだけでも良かったんですから」
「でも……」
そう言っているところへ、葦原 房姫(あしはらの・ふさひめ)がやってきた。
「皆さん、よくいらっしゃいましたね」
「ああ、房姫様! 大奥最後の良心がいいところへ!」
翔の話を聞いて、房姫はそれならばと自分の部屋へ案内した。
緑水の間で房姫が花を生けているのを見ながら、リュースと紗紗も自分流にアレンジしている。
リュースの花は松と千両、小ぶりの菊で正月らしいものだ。
また、華道の家元である紗紗は、梅と水仙で和の要素の強い正月を演出している。
「普段は洋のフラワーアレンジメントが得意なので、薔薇やガーベラなどを加えてるのですが、今回はせっかくマホロバに来たので、そういった花を使わずに作ってみました」
リュースの言葉に房姫は微笑んでいる。
「ええ、あなたの誠実なお人柄がわかります。実は、大奥は色々とありすぎて、花を飾る余裕もありませんでした。それを、外からやってきた方に気付かせてもらいました……感謝いたします」
房姫はそう言って、女官たちに料理を運ばせてきた。
「お口に合うかはわかりませんがどうぞ。マホロバを、大奥を楽しんでくださいね」
「こちらこそ。大奥でお料理を食べれるなんて、夢みたい!」
紗紗は料理に舌鼓をうちながら、房姫に申し出る。
「房姫様、もしよければ、花の枝を使って大奥を飾ってみたいの。お正月らしく、ね」
「それは……是非お願いしたいです。美しい大奥で、新年迎えましょう」
房姫が快諾するのを聞いてリュースも笑顔を見せた。
「ええ、良い年になるといいですね。お互いに」
しばらくして大量の花と枝が、職人たちによって大奥へ運ばれてくる。
リュースと紗紗の手によって花で飾られた大奥は、それは大変美しいものであった。
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