空京大学へ

天御柱学院

校長室

蒼空学園へ

新春ペットレース

リアクション公開中!

新春ペットレース

リアクション

 

09

 
 
『さあ、再びゴール地点です。
 各選手、一気にラストスパートをかけてきました。ペットたちが、勢いよくゴールになだれ込んできます。
 ちりめんじゃこ、今、先頭のスカイフィッシュがゴールラインを越えました。どうやら、レイストリオからやる気を吸い取って頑張ったようです。
 旭選手、地味に雪だるまのトップを飾りました。
 続いて、前回の汚名は晴らせたと言えるのか、レイストリオ、ゴールです。やっぱり、最後まで緊張感が続かなかったようです。
 やや遅れて、ディエゴ選手がゴールします。
 ここに来て、やっと遊び疲れたのか、納羽選手がトランポリンから下りました。
 なんだかとっても楽しそうな納羽選手に感化されたのか、コットン選手とラビー選手、入れ替わるようにトランポリンで遊びだしました。勢いで、わたげうさぎの長い毛がめくれあがり、珍しくも顔が顕わになります。おや、もしかして、コットン選手とラビー選手もお互いの顔をはっきりと見るのはこれが初めてか。互いに見つめあったまま目を離しません。ああ、ついに空中でチュッチュし始めました』
「いらっしゃーい。でも、ペットとはいえ、リア充は嫌いだから、2.02だもん」
 すっごく逆恨み的な点数をライゼ・エンブがつけた。
「さあ、おいでー、美味しい餌ですよー。美味しいよー」
 またもや月詠司が声を張りあげたが、雪だるまのダイヤにガン無視される。
「そりゃそうですよね。雪だるまですから、柏餅なんか食べないですよねえ」
 月詠司はほうっと溜め息をついた。ゲリとフレキは今どこにいるのだろう。せっかく好物や好きな匂いを用意して待ち構えているのに。やはり、ウォーデン・オーディルーロキの作戦には、最初から致命的な欠陥があったのではないだろうか。
『さあ、すばらしい走りで一気に追い上げたダイヤ選手に続いて、それに劣らないラストスパートでテオル選手がやってきました。右介選手左介選手、スピードは落ちていませんが、この追い上げに一歩遅れた。
 その後ろには、ミィ選手がつけています』
 
    ★    ★    ★
 
「よくやったわよ、じゃこ。頑張ったわね、じゃこ。でも、レイスなんか相手にしちゃだめよ、じゃこ。それから……」
 志方綾乃がスカイフィッシュの名を一匹ずつ呼んであげながら、声をかけていく。ただ、すべてちりめんじゃこという同じ名前なので、端から聞いていると、首をかしげたくなるような台詞だった。
 
    ★    ★    ★
 
「どうやら、私の旭さんが、名実ともに雪だるまナンバーワンのようですな。もちろん、約束は覚えていますな」
 鎌田吹笛が、『女王の国一握の闇』ハニバーに聞いた。
 二人の対決は、タッチの差で鎌田吹笛の勝利に終わったのだ。まさに好勝負であったと言えるかもしれない。
「しかたないよね。ちゃんと剪定鋏は手に入れてプレゼントするよ」
 『女王の国一握の闇』ハニバーは、うんとうなずいた。一人で探させられるのに、二人で見つけたことにされるのは少し気にくわないながらも約束は約束だ。
「よろしい」
 本当は、ちゃんと『女王の国一握の闇』ハニバーが見つけてきたと言うつもりの鎌田吹笛は、ちゃんとした口実を手に入れられて、満足そうに言った。
 
    ★    ★    ★
 
「よくやったぞ、お前たち。さあ、早く俺様の縄を……、って、こら、どこに行きやがる。早く解けったら、解け!」
 罰ゲームはまぬがれたものの、フリーダムなレイストリオにウィルネスト・アーカイヴスが放置される。
 椅子に縛りつけられたままピョンピョンと飛び跳ねて、ウィルネスト・アーカイヴスはレイストリオを追いかけていった。
 
    ★    ★    ★
 
『はい、こちら第二グループです。
 先頭は小ババ様、その後に白さん雪さん、村雨丸さんと続いていますぅ。
 小雪シスターズさん、かき氷を食べ終えて満足そうにレースに復帰ですぅ。なんだか、身体がうっすらと、ピンク、グリーン、ブルーに染まっていますぅ』
「さあ、あなたもどうぞですぅ」
 レティシア・ブルーウォーターが、レイちゃんにもかき氷を差し出した。
『レイちゃん、かき氷には気をとられずに進んで行きますぅ。いったい、レイスは何を食べるのでしょうかぁ。
 さて、ネコ軍団が近づいて来ましたぁ。その後ろには、うたまるさん、むるんさんがぴったりとつけてきていますぅ。
 少し離れて、影虎さんとはやぶささんも頑張っていますぅ』
 
    ★    ★    ★
 
「ゴールし始めたペットたちがいるから、中継はもういいそうですぅ」
 やれやれと、メイベル・ポーターが告げた。
「慣れないことはやるものではないですねぇ」
 ほっとしたように、ヘリシャ・ヴォルテールが言った。
「じゃあ、撮影しつつ、僕たちもゴールにむかおうよ」
 セシリア・ライトがみんなをうながした。
「ええそうですね」
 よいしょっとクーラーボックスを担ぐと、フィリッパ・アヴェーヌも歩きだした。
 
    ★    ★    ★
 
『最終グループだよ。さすがに、もうまったりしてはいられないはずなんだけど、やっぱりみんなフリーダムだよ。
 パラミタペンギンズを先頭に、シルヴァーナくんと垂うさくんが仲良くならんで走っているよ。シルヴァーナくんは、ここに来てやっとやる気を出したのかな。
 ヨルムーくんが、凄い! コタツを持って逃げて行くルナールくんを追いかけて全速力。あっと言う間に、四人抜きしたよ。
 驚いたコトくんとマカロンくんが、一所懸命、後を追っかけてる。
 あっ、やっと粘着シートからゲリくんフレキくんも脱出したみたい。何か凄くふらふらしてるけど、飼い主さん心配してないのかな?』
 
    ★    ★    ★
 
『さて、すでに三分の一近くの選手がゴールしました。制限時間も、残すところ同じく三分の一というところです。では、現在残っている選手の位置情報です』
 
7位 ちりめんじゃこ
8位 旭
9位 レイストリオ
10位ディエゴ
98 納羽
   コットン・ラビー
97 ダイヤ
96 テオル
95 右介・左介
93 ミィ
92 小ババ様
90 白・雪
89 村雨丸
88 レイちゃん
   小雪αβγ
87 ネコ軍団
84 うたまる
83 むるん
78 影虎
75 はやぶさ
69 パラミタペンギンズ
67 シルヴァーナ
   垂うさ
64 ヨルムー
61 ローゼンクライネ
58 コト
   マカロン
49 ゲリ・フレキ